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2017年07月17日

ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法(看護・ケアのポイント)/膵がん

この連載では、抗がん剤のポイントや注意点について解説します。
今回は、膵がん(膵癌)の患者さんに使用する抗がん剤「ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法」について、看護・ケアのポイントについて紹介します。

第1話:『ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法(化学療法のポイント)/膵がん

ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法

堀口 繁
(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器・肝臓内科学)

 

ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法のポイントA・B・C

  • ポイントA:切除ができない膵がんの患者さんに対して投与を強く勧められている治療の一つです。
  • ポイントB:治療を重ねていくと、脱毛と末梢神経障害が高い頻度で出現するため、精神的ケアや早期発見の点で看護師の果たす役割は重要です。
  • ポイントC:FOLFIRINOX療法に比べて消化器毒性は軽く、嘔気や食欲低下は少ない点で管理が比較的容易な治療法です。

 

〈目次〉

 

必ず覚えて! ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法の注意点

投与前の注意点

投与前には、患者さんの発熱、食事、便通、睡眠について確認しましょう。 特に、前回投与後、自宅で発熱はなかったか問診をしましょう。 投与を繰り返している患者さんでは、しびれが日常生活の妨げになっていないか確認し、しびれが強い場合には医師と連携し、情報を共有しましょう。

また、特に女性で脱毛に対して強い抵抗感を持たれる方もいますので、ウイッグや帽子などについての説明が必要です。

 

ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法のポイントA

  • 切除ができない膵がんの患者さんに対して投与を強く勧められている治療の一つです。

 

ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法のポイントB

  • 治療を重ねていくと、脱毛と末梢神経障害が高い頻度で出現するため、精神的ケアや早期発見の点で看護師の果たす役割は重要です。

 

投与中の注意点

ナブパクリタキセル(アブラキサン)によるアレルギー症状(皮疹、蕁麻疹、掻痒感、喘鳴、呼吸苦など)に注意しましょう。また血圧、脈拍、パルスオキシメーターによる酸素飽和度(SpO2)などのチェックも重要です。事前に、アレルギー出現時の対応についてチーム内で確認をしておきましょう。

ゲムシタビン(ジェムザール)は血管痛をきたすことがあるので、点滴が入っている血管の変化の有無、また疼痛の有無について注意しましょう。

 

投与後の注意点

嘔気・嘔吐や食欲低下の頻度は少ないですが、もし起きた場合は、制吐剤の変更が必要な場合があります。

末梢神経障害は症状が完成してしまうと改善が難しいので、早めに伝えてもらうようにしましょう。

好中球減少から起こる発熱は重症になる場合があるので、投与後発熱した場合の対応について確認し患者さんに伝えましょう。

 

ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法のポイントC

  • FOLFIRINOX療法に比べて消化器毒性は軽く、嘔気や食欲低下は少ない点で管理が比較的容易な治療法です。

 

ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法時の申し送り時のポイント

皮膚症状を含めたアレルギー、末梢神経障害の有無と程度について申し送りましょう。好中球減少をきたしやすいので、発熱の有無とその場合の対応について伝えることが大切です。

また、便秘を起こす患者さんもいるため、その点も申し送りましょう。

 

申し送り例

今日、8日目の投与を行いました。初回投与と同様に、アレルギー症状は認められませんでした。また初日から食欲低下も認められず、調子は良好です。
本日の血液検査では好中球減少が軽度認められましたが、投与基準を満たしています。今後はさらなる好中球減少が予想されるので、発熱に注意していくことが必要です。
抗がん剤治療が始まってから便秘気味とのことでしたので、主治医と相談をお願いします。

 

ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法時の看護記録に記載すべきこと

来院時の発熱や倦怠感の有無、食欲、排便、睡眠の状況、体重の増減、手足のしびれの有無などを記載しましょう。

投与時のアレルギー症状の有無について、必ず記載しましょう。

また、血管痛の有無についても確認の上、記載しましょう。

 

患者ケア・看護ケアはココを押さえる

ゲムシタビン+nabパクリタキセル療法は、好中球が1,000/μL以下になる方が約70%、発熱性好中球減少(FN)を起こす方が約6%と骨髄抑制が強く1)、発熱には注意が必要です。そのため、来院時には当日発熱していないかだけでなく、前回の点滴と当日点滴の間に自宅で発熱していないかのチェックが必要です。発熱しているようであれば、主治医に連絡しましょう。また自宅で熱発したときの対応について記載した紙を患者さんに渡しておきましょう。

末梢神経障害は、特に寒くなると悪化するので、外出時には手袋を着用してもらいましょう。使い捨てカイロなどはしびれがあると低温やけどをしてもわかりにくいので、直接持たないようにしてもらいましょう。しびれが日常生活の妨げになる前に、症状を早めに捉えて主治医と情報を共有しましょう。

 

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[監 修]
齋藤信也
岡山大学大学院保健学研究科 教授

[編 集]
西森久和
岡山大学病院 血液・腫瘍内科

[執 筆]
堀口 繁
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器・肝臓内科学


*本連載では、登録商標マーク®の記載はすべて省略しています。

著作権について

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  • 1.白血球や血小板減少は、抗菌薬による骨髄抑制が原因と考えられるため、再度、VCMに変更するなど、他剤へ変更することを検討する。
  • 2.貧血傾向は、抗菌薬投与による腎機能障害から来る、腎性貧血であるため、医師と相談し、腎性貧血の治療を実施してもらう。
  • 3.LZDは臓器移行性が最も良いため、白血球減少や血小板減少、貧血に対し治療を行いながら使い続ける。
  • 4.解熱と炎症所見も改善していることから、抗菌薬を中止とし経過を見る。
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