2019年05月13日

発熱はどうして起きるの?

解剖生理Q&A

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

今回は発熱のメカニズムについて説明します。

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

 

発熱はどうして起きるの?

発熱を起こす原因は、機械的刺激、あるいは化学的刺激によって体温調節中枢のセットポイントが上昇することです。ほとんどの場合、細菌の持つ発熱物質、マクロファージが作り出す発熱物質などの化学的刺激が原因になります(図1)。

図1発熱による機能障害

発熱による機能障害

 

風邪のような感染症では、これらの発熱物質によって本来の深部体温設定温度であるセットポイント(37℃)よりも高いレベルにセットポイントが移されます。例えば、セットポイントが40℃に設定されると、体温調節中枢は40℃になるまで体温を上昇させる指令を出し続けます。

発熱時に震えや悪寒がするのは、できるだけ早く体温を上げるために筋肉運動しているからです。

しかし、いくら発熱物質が放出されるといっても、私たちの体には恒常性を維持する機能が備わっています。発熱が不必要であればほかの機能が働き、体温を一定に保つはずです。そうしないのは、体温の上昇が必要だと体が判断したからです。

体温が上昇することのメリットの1つに、ウイルスの活動の抑制があります。ウイルスは37℃くらいで最も増殖が活発になりますが、39℃の環境ではほとんど増殖できなくなります。

メモ1発熱の分類

熱の高さにより、微熱(37℃以上、37.5℃未満)、中程度の発熱(37.5℃以上、38.5℃未満)、高熱(38.5℃以上)に分類されます。熱型では、稽留熱(1日の日差が1℃以内で高熱が持続)、弛張熱(日差が1℃以上で、解熱時も平熱にならない)、間欠熱(日差が1℃以上で、平熱になる時間がある)に分けられます。

 

メモ2解熱

発熱物質の刺激が抑制されることで、体温調節中枢の体温のセットポイントが正常値に戻り、これによって解熱します。それまで高いセットポイントに順応していた身体を、セットポイントが低くなる(解熱)のに合わせ、体温を下げるために、皮膚血管を拡張して放熱を促したり、発汗による熱放散を促進します。

 

発熱によって起こる体の変化

発熱すると代謝亢進します。体温が1℃上昇すると代謝が13%増加し、熱感、発汗、倦怠感などが生じます。また、代謝の亢進に伴って各組織で酸素や栄養分が必要とされ、それを供給するために心拍数が増加し、血流速度も上昇します。

熱を作り出すために酸素が必要になるため、呼吸数は多くなります。反対に血圧は低くなりますが、これは熱を放散させるために血管が拡張するからです。

発熱の影響は消化機能にまで及びます。食欲不振や悪心・嘔吐下痢などの症状が現れ、発熱によって水分が失われるため、脱水や便秘を起こしやすくなります。

また、発熱によって頭痛めまい、悪心、嘔吐、せん妄などが起きやすいのは、中枢神経の機能障害によるものです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

この連載

  • 免疫にはどのような種類があるの? [05/27up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は免疫の種類について説明します。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長   免疫にはどのような種類があるの? 免疫は大きく2つに分けることができま... [ 記事を読む ]

  • 免疫って何? [05/20up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は免疫について説明します。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長   免疫って何? 免疫は、病気、特に細菌やウイルスや感染症に対する防衛機構です。... [ 記事を読む ]

  • 発熱はどうして起きるの? [05/13up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は発熱のメカニズムについて説明します。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長     発熱はどうして起きるの? 発熱を起こす原因は、機械的刺...

  • 1日の中で体温が変動するのはなぜ? [05/06up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は1日の体温変動について説明します。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長   1日の中で体温が変動するのはなぜ? 体温が最も低いのは早朝(午前4... [ 記事を読む ]

  • 暑い時はどんな方法で体温を維持するの? [04/29up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は暑い時の体温調整について説明します。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長   暑い時はどんな方法で体温を維持するの? 外気温が暑い場合、体温調... [ 記事を読む ]

もっと見る

関連記事

  • 細胞には発電所とゴミ処分場まである?|細胞ってなんだ(4) [07/13up]

    解剖生理が苦手なナースのための解説書『解剖生理をおもしろく学ぶ』より 今回は、細胞についてのお話の4回目です。 〈前回の内容〉 細胞はタンパク質の工場|細胞ってなんだ(3) 細胞の世界を探検中のナスカ。前回はたんぱく... [ 記事を読む ]

  • 視覚のメカニズム――眼|感じる・考える(3) [09/10up]

    解剖生理が苦手なナースのための解説書『解剖生理をおもしろく学ぶ』より 今回は、神経系についてのお話の3回目です。 〈前回の内容〉 中枢神経と末梢神経|感じる・考える(2) 解剖生理学の面白さを知るため、情報を分析... [ 記事を読む ]

  • 本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 記事一覧 [01/15up]

    本当に大切なことが1冊でわかる循環器 記事一覧 照林社×看護roo!のコラボにより実現した循環器の看護が1冊でわかる書籍。 解剖に疾患、フィジカルアセスメント、検査、治療などなど…ナースに必要なことだけ網羅しました。 もち... [ 記事を読む ]

  • 神経細胞とグリア細胞|感じる・考える(1) [09/05up]

    解剖生理が苦手なナースのための解説書『解剖生理をおもしろく学ぶ』より 今回は、神経系についてのお話の1回目です。 〈前回の内容〉 体温の調節|調節する(5) 解剖生理学の面白さを知るため、体温を一定に保つための仕... [ 記事を読む ]

  • 栄養と代謝|食べる(1) [08/07up]

    解剖生理が苦手なナースのための解説書『解剖生理をおもしろく学ぶ』より 今回は、消化器系についてのお話の1回目です。 〈前回の内容〉 呼吸する(4)呼吸のメカニズム 解剖生理学の面白さを知るため、身体を冒険中のナス... [ 記事を読む ]

いちおし記事

患者さんから“深い話”を打ち明けられたとき…。あなたならどう受け止める?

【マンガ】大切な人が死ぬとき~私の後悔を緩和ケアナースに相談してみた~(12) [ 記事を読む ]

点滴静脈内注射が血管外に漏れたら、どうなるの?

どんな症状が起こるか、どう対応すればよいか解説!観察ポイントがひと目でわかるイラストも紹介! [ 記事を読む ]

人気トピック

もっと見る

看護師みんなのアンケート

病院でお正月にちなんだ特別なことをした?

投票数:
1496
実施期間:
2020年01月03日 2020年01月24日

2020年の抱負教えて!

投票数:
1388
実施期間:
2020年01月07日 2020年01月28日

インフルエンザにかかったら、有休?欠勤?

投票数:
1307
実施期間:
2020年01月10日 2020年01月31日

あなたの病院で成功した画期的な「働き方改革」はある?

投票数:
1233
実施期間:
2020年01月12日 2020年02月02日

実録!? 私はこう太った!!!!

投票数:
1205
実施期間:
2020年01月14日 2020年02月04日

チェックしてる「勉強垢」ってある?

投票数:
814
実施期間:
2020年01月17日 2020年02月07日

あなたが作り出した「自分史上最低の料理」は?

投票数:
722
実施期間:
2020年01月21日 2020年02月11日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者3933

◆精神科の問題◆精神障害に対する薬物療法に使用される薬剤の説明として、適切でないものはどれでしょうか?

  • 1.抗うつ薬は内服開始後、効果発現までに1~2週間を要する。
  • 2.抗不安薬であるエチゾラムは、長時間型であり半減期は12~24時間程度である。
  • 3.クロルプロマジン塩酸塩は、フェノチアジン系の抗精神病薬である。
  • 4.睡眠薬は超短時間型・短時間型・中時間型・長時間型に分けられる。
今日のクイズに挑戦!