1. 看護roo!>
  2. 看護・ケア>
  3. 看護のためのからだの正常・異常>
  4. なぜ体温を一定に保つ必要があるの?

2019年04月01日

なぜ体温を一定に保つ必要があるの?

解剖生理Q&A

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

今回は体温の恒常性について説明します。

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

 

なぜ体温を一定に保つ必要があるの?

ヒトは恒温動物なので健康であれば、マイナス30℃の寒波に襲われようとも、40℃の熱波にさらされようとも、体温はほとんど変わりません。しかしなぜ、体温は一定に保たれる必要があるのでしょうか。

それは、生命を維持するために絶えず行われている化学反応に関係します。体内では摂取した食物を、体に必要な栄養素に分解したり、細胞が活動する時に必要なエネルギーに転換するなど、休みなく化学反応が行われています。その際、触媒(メモ1)として大きな役割を果たすのが酵素です。

メモ1触媒

化学反応の時にほかの物質の仲立ちになり、反応を早めたり遅らせたりする物質を触媒といいます。触媒そのものは反応の前後で変化しません。

 

酵素は大変な働き者なのですが、力を発揮できる条件の範囲がとても狭いという特徴があります。

例えば、酵素が触媒になって起こる反応の速度(酵素触媒反応速度)は、温度が増すにつれて増大します。多くの生物学的反応速度は、温度が10℃高くなると2倍の速度になります。

しかし、温度が上昇しすぎると、とたんに反応速度が遅くなります。酵素はタンパク質なので、60℃を超えると熱変性を起こすからです。逆に、温度が10℃下がると酵素触媒反応速度は半分の速さになります。つまりある一定の温度を超えた場合、または、ある温度以下の場合、ともに酵素の働きが悪くなるのです(図1)。

図1酵素触媒反応速度に及ぼす温度の効果

酵素触媒反応速度に及ぼす温度の効果

 

そこで、体温を一定に保つ必要性が出てきます。酵素が最も活性化され、バリバリと働くことができるのは37℃の時で、これを至適温度といいます。酵素が一番働きやすい環境を作り出すため、体温はホメオスタシスによって一定に保たれているのです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

この連載

  • 体温はどのようにして保たれているの? [04/15up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は体温調節について説明します。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長   体温はどのようにして保たれているの? 体温調節を行うのは、間脳にある視床... [ 記事を読む ]

  • 体のどこの温度を一定にする必要があるの? [04/08up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回はヒトの体温について説明します。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長     体のどこの温度を一定にする必要があるの? 寒い時に手袋をしな... [ 記事を読む ]

  • なぜ体温を一定に保つ必要があるの? [04/01up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は体温の恒常性について説明します。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長     なぜ体温を一定に保つ必要があるの? ヒトは恒温動物なので健...

  • リンパ節の果たす役割は何? [03/25up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回はリンパ節の役割について説明します。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長   リンパ節の果たす役割は何? リンパ節はリンパの流れに沿って全身に数... [ 記事を読む ]

  • リンパはどこを流れているの? [03/18up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回はリンパ管について説明します。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長   リンパはどこを流れているの? 私たちの体には、静脈に沿うような形で毛細リ... [ 記事を読む ]

もっと見る

関連記事

  • 体温の調節|生体を維持する恒常性のはたらき(3) [12/19up]

    ナースのための解剖生理の解説書『身体のしくみとはたらき―楽しく学ぶ解剖生理』より 今回は、生体を維持する恒常性のはたらきから解剖生理を理解するお話の3回目です。 〈前回の内容〉 血圧・血糖値・pHの調節|生体を維持する... [ 記事を読む ]

  • ヒトの体内で発見された新たな臓器とは? [04/04up]

    アイルランドのUniversity Hospital Limerick(リムリック大学病院)の研究チームによって、ヒトの体内に「新たな臓器」の存在が確認されました。医学雑誌「The Lancet」で報告された、この「新しい臓器」につ... [ 記事を読む ]

  • 免疫反応の流れ|守る(4) [10/01up]

    解剖生理が苦手なナースのための解説書『解剖生理をおもしろく学ぶ』より 今回は、免疫についてのお話の3回目です。 〈前回の内容〉 リンパ球と抗体|守る(3) 解剖生理学の面白さを知るため、リンパ球と抗体について知り... [ 記事を読む ]

  • いざ、からだを探る旅へ|解剖生理をおもしろく学ぶ [06/30up]

    解剖生理は苦手・・・という人多いですよね?そんなナースのための新連載。 今までになかった、楽しく読める解剖生理学の解説書『解剖生理をおもしろく学ぶ』より。 難解な解剖生理を会話形式でやさしく説明。身体をめぐるナスカさんの旅にお付... [ 記事を読む ]

  • 呼吸のしくみ|ガスの流れから理解する(1) [11/14up]

    ナースのための解剖生理の解説書『身体のしくみとはたらき―楽しく学ぶ解剖生理』より 今回は、ガスの流れから解剖生理を理解するお話の1回目です。 〈前回の内容〉 大腸と肛門のはたらき|食物の流れから理解する(7) 前... [ 記事を読む ]

いちおし記事

全国の病院に聞きました「看護師の採用、増やす?減らす?」

いずれ看護師余りの時代が!?病院ナースの採用…これからどうなる? [ 記事を読む ]

認知症とうつ状態・せん妄の違いは?

認知症に似た2つの症状…。見分けるポイントを解説します。 [ 記事を読む ]

人気トピック

看護師みんなのアンケート

ここを褒めて!あなたの褒めてほしいポイントは?

投票数:
1263
実施期間:
2019年05月28日 2019年06月18日

TV番組、毎週どれだけ録画してる?

投票数:
1242
実施期間:
2019年05月31日 2019年06月21日

院内のジンクス教えて!

投票数:
1084
実施期間:
2019年06月04日 2019年06月25日

4番目に大切な人は?

投票数:
1057
実施期間:
2019年06月07日 2019年06月28日

「採血が難しい血管」選手権!

投票数:
965
実施期間:
2019年06月11日 2019年07月02日

勤務先にめずらしい福利厚生、ある?

投票数:
787
実施期間:
2019年06月14日 2019年07月05日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者186

びらんや浅い潰瘍程度の褥瘡のケアについて最も適切なものは以下のうちどれでしょうか?

  • 1.皮下組織に至る創傷用ドレッシング材のハイドロコロイド材を用いた。
  • 2.真皮に至る創傷用ドレッシング材のハイドロジェルを使用した。
  • 3.スルファジアジン銀含有クリームを使用した。
  • 4.ポリウレタンフォーム材を使用した。
今日のクイズに挑戦!