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2019年02月25日

異なる血液型を輸血してはいけないのはなぜ?

解剖生理Q&A

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

今回は輸血の注意点について説明します。

異なる血液型を輸血してはいけないのはなぜ?

輸血できる血液型は、本人の血液型と同じ血液型か、輸血しても異常反応が現れない血液型に限られます。

例えば、同一血液型の血液が得られない緊急時には、A型、B型の場合、О型の血液を輸血することが可能です。また、AB型の人は、すべての血液型の血液を輸血することができます。しかしО型の場合は、О型の血液しか輸血を受けられません。これは、なぜなのでしょう。

ABO式の血液型はA型、B型という2つの抗原によって分類されていると、Q18で記しました。この抗原は凝集原(ぎょうしゅうげん)ともいい、凝集する性質をもともと持っています。

一方、血清のなかには、凝集原(ぎょうしゅうげん)を凝集させる物質が含まれています。これを凝集素(ぎょうしゅうそ、抗体)といいます。

A型の血清には、B型の凝集原と反応して血球を凝集させる凝集素があり、これを抗B凝集素といいます。同様に、B型の血清にはA型の凝集原と反応して血球を凝集させる凝集素があり、これを抗A凝集素といいます。О型には両方の凝集素があり、AB型にはどちらもありません。

A型の血液をB型の人に輸血したと想定してみましょう。B型の人の血清中には抗A凝集素がありますので、A型の凝集原と反応して血球が凝集してしまいます。同様に、輸血したA型の血液の血清中には抗B凝集素がありますので、B型の凝集原と反応して血球が凝集してしまいます。すなわち、2つの方向から血液を凝集させてしまうのです。

AB型の人にすべての血液型の血液を輸血できるのは、凝集素が全くないからです。О型の人にほかの血液型の血液を輸血できないのは、A型とB型の双方の凝集素を持っているためです(表1)。

表1ABO式血液型と輸血(◯は輸血可能、×は輸血不可)

ABO式血液型と輸血

なお、実際の臨床現場においては輸血者の血液型と受血者の血液型は同一のものを使用し、また、血清中に不規則抗体がないことを確認して行っています。

 

Rh(−)型への輸血の注意点

Rh(−)の人にRh(+)の血液を輸血してしまうと、どうなるでしょう。

Rh(−)の人は、もともとRh因子を持っていませんので、輸血された血液のRh因子を抗原とした抗Rh凝集素という抗体が作られます。輸血が1回ですめば何の問題も起きないのですが、もう一度輸血しなければならない時、問題になります。Rh(−)の人にRh(+)の血液を再輸血すると、ただちに血球の凝集や溶血などの反応が現れ、命に係わるからです。

こうした反応は、輸血だけでなく妊娠時にも現れる可能性があります。例えば、男性がRh(+)で、女性がRh(−)という組み合わせで妊娠が成立すると、胎児がRh(+)の血液型になることがあります。分娩時、胎児のRh(+)の血液が母親にも流れ込むことがあり、この時、母体内では抗Rh凝集素という抗体が作られます。

1回目の妊娠では作られる抗Rh凝集素が少ないので、胎児に移行する心配はほとんどありません。しかし、2回目の妊娠では母体内の抗Rh凝集素が胎児に移行し、胎児内でRh因子と結びついて赤血球の溶血を引き起こします。その結果、重症新生児黄疸、全身浮腫などをまねくことがあります。

現在では、1回目の出産の後に抗Rhの抗体である免疫グロブリンを注射することで、こうした発症を防ぐことができます。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典]『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』(監修)山田幸宏/2016年2月刊行

看護のためのからだの正常・異常ガイドブック

引用・参考文献

著作権について

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