1. 看護roo!>
  2. 看護・ケア>
  3. 看護のためのからだの正常・異常>
  4. 異なる血液型を輸血してはいけないのはなぜ?

2019年02月25日

異なる血液型を輸血してはいけないのはなぜ?

解剖生理Q&A

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

今回は輸血の注意点について説明します。

異なる血液型を輸血してはいけないのはなぜ?

輸血できる血液型は、本人の血液型と同じ血液型か、輸血しても異常反応が現れない血液型に限られます。

例えば、同一血液型の血液が得られない緊急時には、A型、B型の場合、О型の血液を輸血することが可能です。また、AB型の人は、すべての血液型の血液を輸血することができます。しかしО型の場合は、О型の血液しか輸血を受けられません。これは、なぜなのでしょう。

ABO式の血液型はA型、B型という2つの抗原によって分類されていると、Q18で記しました。この抗原は凝集原(ぎょうしゅうげん)ともいい、凝集する性質をもともと持っています。

一方、血清のなかには、凝集原(ぎょうしゅうげん)を凝集させる物質が含まれています。これを凝集素(ぎょうしゅうそ、抗体)といいます。

A型の血清には、B型の凝集原と反応して血球を凝集させる凝集素があり、これを抗B凝集素といいます。同様に、B型の血清にはA型の凝集原と反応して血球を凝集させる凝集素があり、これを抗A凝集素といいます。О型には両方の凝集素があり、AB型にはどちらもありません。

A型の血液をB型の人に輸血したと想定してみましょう。B型の人の血清中には抗A凝集素がありますので、A型の凝集原と反応して血球が凝集してしまいます。同様に、輸血したA型の血液の血清中には抗B凝集素がありますので、B型の凝集原と反応して血球が凝集してしまいます。すなわち、2つの方向から血液を凝集させてしまうのです。

AB型の人にすべての血液型の血液を輸血できるのは、凝集素が全くないからです。О型の人にほかの血液型の血液を輸血できないのは、A型とB型の双方の凝集素を持っているためです(表1)。

表1ABO式血液型と輸血(◯は輸血可能、×は輸血不可)

ABO式血液型と輸血

なお、実際の臨床現場においては輸血者の血液型と受血者の血液型は同一のものを使用し、また、血清中に不規則抗体がないことを確認して行っています。

 

Rh(−)型への輸血の注意点

Rh(−)の人にRh(+)の血液を輸血してしまうと、どうなるでしょう。

Rh(−)の人は、もともとRh因子を持っていませんので、輸血された血液のRh因子を抗原とした抗Rh凝集素という抗体が作られます。輸血が1回ですめば何の問題も起きないのですが、もう一度輸血しなければならない時、問題になります。Rh(−)の人にRh(+)の血液を再輸血すると、ただちに血球の凝集や溶血などの反応が現れ、命に係わるからです。

こうした反応は、輸血だけでなく妊娠時にも現れる可能性があります。例えば、男性がRh(+)で、女性がRh(−)という組み合わせで妊娠が成立すると、胎児がRh(+)の血液型になることがあります。分娩時、胎児のRh(+)の血液が母親にも流れ込むことがあり、この時、母体内では抗Rh凝集素という抗体が作られます。

1回目の妊娠では作られる抗Rh凝集素が少ないので、胎児に移行する心配はほとんどありません。しかし、2回目の妊娠では母体内の抗Rh凝集素が胎児に移行し、胎児内でRh因子と結びついて赤血球の溶血を引き起こします。その結果、重症新生児黄疸、全身浮腫などをまねくことがあります。

現在では、1回目の出産の後に抗Rhの抗体である免疫グロブリンを注射することで、こうした発症を防ぐことができます。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典]『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』(監修)山田幸宏/2016年2月刊行

看護のためのからだの正常・異常ガイドブック

引用・参考文献

著作権について

この連載

  • リンパってどういうもの? [03/11up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回はリンパについて説明します。   リンパってどういうもの? もともとは組織液(組織間液)から発生したものがリンパで、リンパ液とリンパ球から構成されています。組... [ 記事を読む ]

  • 血球はどこで作られるの? [03/04up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は血球を作り出している骨髄について説明します。   血球はどこで作られるの? 赤血球、白血球、血小板などの血球を作り出しているのは骨髄です。 骨髄は骨の... [ 記事を読む ]

  • 異なる血液型を輸血してはいけないのはなぜ? [02/25up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は輸血の注意点について説明します。 異なる血液型を輸血してはいけないのはなぜ? 輸血できる血液型は、本人の血液型と同じ血液型か、輸血しても異常反応が現れない血液型に...

  • 血液型にはどんな種類があるの? [02/18up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は血液型の種類について説明します。 血液型にはどんな種類があるの? 血液型というのは、赤血球の表面にある抗原の種類によって区別される血液の型のことです。輸血を行う際... [ 記事を読む ]

  • 出血はどのようにして止まるの? [02/11up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は血小板について説明します。 出血はどのようにして止まるの? 血管を傷つけてしまった時、いち早く止血に係わるのが血小板です。血小板は2〜3μmの小さな細胞で、1mm... [ 記事を読む ]

もっと見る

関連記事

  • 肺の構造とガス交換|呼吸する(3) [08/03up]

    解剖生理が苦手なナースのための解説書『解剖生理をおもしろく学ぶ』より 今回は、呼吸器系についてのお話の3回目です。 〈前回の内容〉 呼吸系の器官のしくみ|呼吸する(2) 解剖生理学の面白さを知るため、身体を探る旅... [ 記事を読む ]

  • 遺伝と染色体|子孫をつくる(1) [10/03up]

    解剖生理が苦手なナースのための解説書『解剖生理をおもしろく学ぶ』より 今回は、生殖についてのお話の1回目です。 〈前回の内容〉 免疫反応の流れ|守る(4) 解剖生理学の面白さを知るため、免疫反応の流れについて知り... [ 記事を読む ]

  • 中枢神経と末梢神経|感じる・考える(2) [09/08up]

    解剖生理が苦手なナースのための解説書『解剖生理をおもしろく学ぶ』より 今回は、神経系についてのお話の2回目です。 〈前回の内容〉 神経細胞とグリア細胞|感じる・考える(1) 解剖生理学の面白さを知るため、感覚がと... [ 記事を読む ]

  • 体温の調節|生体を維持する恒常性のはたらき(3) [12/19up]

    ナースのための解剖生理の解説書『身体のしくみとはたらき―楽しく学ぶ解剖生理』より 今回は、生体を維持する恒常性のはたらきから解剖生理を理解するお話の3回目です。 〈前回の内容〉 血圧・血糖値・pHの調節|生体を維持する... [ 記事を読む ]

  • ヒトの体内で発見された新たな臓器とは? [04/04up]

    アイルランドのUniversity Hospital Limerick(リムリック大学病院)の研究チームによって、ヒトの体内に「新たな臓器」の存在が確認されました。医学雑誌「The Lancet」で報告された、この「新しい臓器」につ... [ 記事を読む ]

いちおし記事

初戦ボロ負け!婚活大反省会|マンガ・ママナースもも子の今日もバタバタ日誌

初デートが失敗に終わった松本ナースに伝授された「恋の鉄則」とは!? [ 記事を読む ]

術前の呼吸訓練

呼吸訓練。やりすぎると逆効果に!? [ 記事を読む ]

看護師みんなのアンケート

術後せん妄について、どれくらい知ってる?

投票数:
1281
実施期間:
2019年03月01日 2019年03月22日

認知症患者さんの終末期医療、どう考える?

投票数:
1182
実施期間:
2019年03月05日 2019年03月26日

看護師以外の医療職、やってみたいのは?

投票数:
1168
実施期間:
2019年03月08日 2019年03月29日

今シーズン、インフルエンザにかかった?

投票数:
1083
実施期間:
2019年03月12日 2019年04月02日

「墓場まで持っていきたい秘密」ある?

投票数:
914
実施期間:
2019年03月15日 2019年04月05日

家族看護、意識してる?

投票数:
547
実施期間:
2019年03月19日 2019年04月09日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者2661

以下の患者さんを、PAT法を使ってトリアージをした場合、適切な評価はどれでしょうか?
50代の女性。呼吸回数24回/分。血圧80/40mmHg。脈拍120回/分。
橈骨動脈微弱で末梢冷感あり。声かけに容易に反応あり。『お腹が痛い』と話している。
右上腹部打撲痕および、右腹部圧痛あり。

  • 1.生理学的評価では循環に異常があるため、カテゴリーは赤。解剖学的評価は腹部圧痛、右上腹部打撲痕があることから、カテゴリーは赤となる。
  • 2.意識レベルは低下していないため、生理学的評価ではカテゴリーは黄。解剖学的評価は、右上腹部に打撲痕があるため、カテゴリーは黄となる。
  • 3.橈骨動脈微弱のため、生理学的評価ではカテゴリーは赤。解剖学的評価は、右上腹部打撲痕があることから、カテゴリーは黄となる。
  • 4.呼吸回数24回/分、意識レベル清明で生理学的評価は黄色のため、最終的な優先順位のカテゴリーは黄となる。
今日のクイズに挑戦!