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2017年01月30日

血液ガス分析(BGA)|知っておきたい臨床で使う指標[14]

臨床現場で使用することの多い指標は、ナースなら知っておきたい知識の一つ。毎回一つの指標を取り上げ、その指標が使われる場面や使うことで分かること、またその使い方について解説します。

根本 学
埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科診療部長

 

血液ガス分析(Blood Gas Analysis;BGA)

血液ガス分析は一般的に動脈血を用いるため、「動脈血液ガス分析(Arterial Blood Gas Analysis;ABG)」とも呼ばれています。血液ガス分析装置で直接測定される項目は、動脈血酸素分圧(Arterial Partial Pressure of Oxygen;PaO2)、動脈血二酸化炭素分圧(Arterial Partial Pressure of Carbon Dioxide;PaCO2)、水素イオン指数(Potential of Hydrogen;pH)の3つです。
このほか、血液ガス分析で測定された数値を計算することで、塩基過剰(Base Excess;BE)や動脈血酸素飽和度(Arterial Oxygen Saturation:SaO2)などを間接的に求めることができます。

〈目次〉

 


血液ガス分析(Blood Gas Analysis;BGA)

血液ガス分析基準値_BGA_動脈血酸素分圧_PaO2_動脈血二酸化炭素分圧_PaCO2_水素イオン指数_pH_塩基過剰_BE_動脈血酸素飽和度_SaO2

 

血液ガス分析を主に使う場所と使用する診療科

血液ガス分析は緊急検査として行われることが多いため、血液ガス分析装置は救急外来や集中治療室、手術室などには設置されていることが多いです。救急医や集中治療医、麻酔科医およびそこに配属されている看護師などが使用します。

 

血液ガス分析で何がわかる?

血液ガス分析の主たる測定項目は、PaO2、PaCO2、pH、BEです。 これらの数値から、酸素化状態、換気状態、酸塩基平衡状態を知ることにより、患者さんの病態を知り、治療方法を決めることができます。

 

memo血液ガス分析装置の歴史

血液ガスは、今日では当たり前のように救急外来や集中治療室、手術室等で測定されていますが、血液ガス分析装置は1950年代あたりから開発が進み、1973年に最初の全自動型血液ガス分析装置であるABL1がラジオメーター社より市販されたようです(1)。それまでの装置は手動で、測定もメンテナンスも大変だったことから、臨床研究用に使用されていたのですが、全自動装置が開発されたことで、検査やモニターとして使用できるようになりました。

 

血液ガス分析をどう使う?

PaO2の数値では酸素化の状態を知ることができるため、酸素投与の適応や投与量を検討することができます。
PaCO2の数値では肺胞における換気状態を知ることができるため、補助呼吸や人工呼吸器の設定に役立ちます。
pHの数値からは代謝性あるいは呼吸性のアシドーシスか、アルカローシスかを知ることができます。
BEの数値は塩基の過剰か欠乏かを知ることができ、またこのBEの変化は、代謝性の変化を表します。

また、血液ガス分析の適応を表1に示します。

表1血液ガス分析の適応

呼吸不全
・代謝疾患
・循環不全(各種ショック)
意識障害
・重症熱傷
・重症感染症
・中毒
・手術・集中治療中のモニタリング

 

さらにプラスα血液ガス分析の注意点

採血

採血は動脈から行うため、通常は医師が実施します。集中治療室や手術室などで動脈にカニューレが挿入されており、動脈圧がモニタリングされている場合は三方活栓やコネクターから看護師によって採血されることもあります。いずれの場合も空気が混入しないように注意して採血します。

 

ヘパリンを使用

ガス分析装置内で血液が凝固しないように、ヘパリンコーティングされた血液ガス分析専用の採血キット、もしくはヘパリンで外筒内側を濡らした1~5mLのシリンジを使用します。

 

保存方法

採血後15分以内に測定できない場合は、氷中内に検体を保存しておきます。

 

血液ガス分析を実際に使ってみよう

症例1

68歳の男性。もともと慢性閉塞性肺疾患で近医に通院していた。
朝、家族が声をかけても応答しないため、救急搬送された。救急外来で血液ガス分析を行ったところ、室内気(room air)でpH7.26、PaO256.2mmHg、PaCO272.2mmHg、BE2.2mEq/L、SaO289%であった。
血液ガス分析の結果からこの患者をどう評価する?

答え:慢性閉塞性肺疾患の急性増悪

PaO2が極端に低いため、低酸素状態であると判断できる。一方、PaCO2は72.2mmHgと高値であることから、換気不全がある。また、pHは7.26と基準値よりも低下していることから、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪による呼吸性アシドーシスが生じていると考えられる。

→血液ガス分析の基準値を確認

 

症例2

23歳の女性。音楽のDVDを観ていたところ突然泣き出し、様子がおかしくなったため、友人により自家用車で救急外来を受診した。
救急外来で動脈血ガス分析を行ったところ、室内気(room air)でpH 7.56、PaO2102mmHg、PaCO2 15.3mmHg、SaO2100%であった。外来受診後もまだ泣いており、呼吸は36回/分で手足の痺れを訴えている。友人によると有名グループが年末に解散したことにショックを受けていたらしい。
血液ガス分析の結果からこの患者をどう評価する?

答え:過換気症候群

PaCO2は15.3mmHgと極端に低いが、PaO2室内気で102mmHgと高い。ほかに原因がなければ、DVD鑑賞中に精神的に動揺して過換気に陥ったものと考えてよい。

→血液ガス分析の基準値を確認

 

症例3

19歳の男性。2、3日前から倦怠感と口渇、頻尿を自覚しており、心配になった家族が下宿先のアパートを訪ねると意識がもうろうとしていたため、救急車で搬送された。
救急外来で動脈血ガス分析を行ったところ、室内気(room air)でpH6.98、PaO298mmHg、PaCO2 14.3mmHg、BE -21.2mEq/L、SaO2100%であり、同時に実施した血糖値測定で血糖値は1563mg/dLであった。家族によると大学入学時の健康診断で糖尿病の可能性があると言われていたらしい。
血液ガスの結果からこの患者をどう評価する?

答え:糖尿病による代謝性アシドーシス

pH値は6.98であるためアシドーシスであり、BEが-21.2mEq/Lであることから代謝性アシドーシスと判断できる。PaCO2が14.3mmHgと低いのは、アシドーシスを過換気によって代償しようとしているためである。

→血液ガス分析の基準値を確認

 



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