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2017年04月12日

迷走神経反射に注意! エコー下の穿刺術のポイント

画像検査のなかでも、エコー(超音波)検査は、侵襲度が低く、簡便に行える検査です。
外来や病棟で、看護師が目にすることの多いエコー検査について、コツやポイントを消化器内科医が解説します。
今回は、看護師さんに知っておいて欲しい「エコー下の穿刺術中に注意してほしい迷走神経反射」についてのお話です。

 

加藤真吾
(横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学教室)

 

普段、看護師の皆さんには、検査の最中に患者さんの確認をしていただいていますが、どこを意識して見ていますか?

一番は患者さんの表情ですね。
痛がっていないかとか、不快感がないかとかを確認しています。

すばらしいですね!
でも、肝生検などの検査や治療のときは、患者さんの顔にドレープを覆ってしまうので表情が見え難い場合もあります。

それじゃあ、私たち(看護師)はどこを確認すれば良いんですか?

実は、表情以外にも見て欲しいポイントがあるんです。
ここでわかりやすく解説しますので、確認してください。

 

〈目次〉

 

穿刺術中は患者さんの表情の確認が難しい

腹部エコー(超音波)は、エコー検査以外に、穿刺術のガイドとして用いられることがあります。

穿刺術には、肝生検や肝腫瘍に対する経皮的ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation:RFA)などがありますが、これらの処置は、基本的に清潔野を作って行います。清潔野の作り方は施設によって異なると思いますが、多くの場合、穿刺する部分だけを露出して、それ以外の部分(顔を含む)を清潔なドレープで覆います(図1)。

図1肝生検時の清潔野の作り方

肝生検時の清潔野の作り方

穿刺する部位だけを露出し、それ以外の部分(顔を含む)を清潔なドレープで覆います。
患者さんが横を向いている場合は、看護師さんは横から表情を確認します。

 

施設によっては患者さんの顔を出すこともありますが、処置中に患者さんが咳をすると唾液が飛んでしまうため、顔も一緒に覆うことを筆者はオススメします。

 

心臓や血管に作用する血管迷走神経反射に注意しよう

処置の間、看護師さんはモニターで患者さんのバイタルサインを確認します。しかし、患者さんの顔はドレープで覆われているため、意識的に注意しないと、患者さんの表情を確認することはできません。このような状況下で、看護師さんに最も注意して確認してほしいことは、血管迷走神経反射(vasovagal reflex:VVR)が挙げられます。

血管迷走神経反射とは、強い痛みやストレスが誘因となって、脳神経の一つである迷走神経を介して心拍数が低下したり、血圧が低下したりすることを言います。

 

memo迷走神経は脳神経の一種

迷走神経は、脳から伸びてきて、胸腔や腹腔にあるさまざまな臓器に分布する脳神経の一種です。第Ⅹ脳神経と呼ばれることもあります。

 

迷走神経の作用は多岐に渡りますが、特に重要なものとして、心臓や血管に作用し、心拍数や血圧を低下させる作用があります。この作用は、正常時に心拍数や血圧を制御する点で重要ですが、強く作用しすぎると、失神してしまったり、心停止に至る場合があります。

 

処置前は救急カートのアトロピンの確認を

血管迷走神経反射の前兆として、顔が白くなる、冷や汗をかく、気持ちが悪くなるといった自律神経症状を示す場合があります。処置中は、患者さんに適切なかけや観察をして、前兆を見逃さないようにしてください。

また、血管迷走神経反射が起こった際には、アトロピンを使用することが多いです。そのため、処置前には救急カート内のアトロピンを確認しておき、必要時にはすぐに使えるように準備しておくとよいでしょう。

 

memoアトロピンを使用するタイミング

施設によっては、血管迷走神経反射の予防のためにアトロピンを使用するところもあります。しかし、アトロピンは副作用が起こることもあるため、血管迷走神経反射が起こった際に使用する方が良いでしょう。

 

Check Point

  • エコー検査中は、患者さんの表情の確認ができないこともあるため、血管迷走神経反射に気を付けよう。
  • 迷走神経反射の対応にはアトロピンを使うため、処置前には、救急カート内に準備されているかを確認しよう。

 

 


[執筆者]
加藤真吾
横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学教室


Illustration:田中博志


著作権について

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