2017年03月08日

PEGカテーテルの交換

病院から在宅まで PEG(胃瘻)ケアの最新技術

『病院から在宅までPEG(胃瘻)ケアの最新技術』より転載。

今回はPEGカテーテルの交換について説明します。

 

Point

  • PEGカテーテルは定期的に交換する必要がある。交換時に、患者状態や家族の取り扱いやすさなどを考え、カテーテルの種類やサイズを変更することもある。
  • PEGカテーテル交換時には腹腔内誤挿入に注意が必要。交換前後には、バイタルサインの変動や出血の有無などを注意深く観察する。
  • PEGカテーテル交換は原則として医師が行うが、急な事故抜去の発生に備え、日ごろから医師に約束指示を受けておくことが重要。

 

〈目次〉

 

はじめに

PEGカテーテルは、造設したものをずっと用いるのではなく、一定期間ごとに交換する必要があります。現在、各メーカーから、さまざまな特徴をもったPEGカテーテルが発売されており、交換手技は製品ごとに異なります。

適切な方法で交換を行わなければ、腹腔内誤挿入など重篤なトラブルが起こる危険性があります。本項では、医師が行う交換の手技と、看護師の介助・観察について示します。

 

交換時のPEGカテーテル選択のポイント

PEGカテーテルの交換時には、患者の療養環境に合った製品を選択することで、より快適な生活を送ってもらうことができます。そのためには、製品の知識をもっておくことが必要です。

 

1PEGカテーテルの交換時期

PEGカテーテルの種類は、①バンパー型ボタン、②バンパー型チューブ、③バルーン型ボタン、④バルーン型チューブに分かれます(図1)。

図1PEGカテーテルの種類と交換頻度

PEGカテーテルの種類と交換頻度

 

診療報酬上、バンパー型は「留置期間4か月以上で交換可能」、バルーン型は「留置期間24時間以降で交換可能」となっています。つまり、この期間を過ぎた時期の交換であれば、医師による交換手技料(胃瘻カテーテル交換法)として、診療報酬が算定できるのです。

北美原クリニックにおける交換の時期を以下に示します。

  • バンパー型:患者の状態やPEGカテーテルの状態を確認して「6~10か月の間」に交換。
  • バルーン型:原則は「1か月に1回」。ただし、患者や家族に説明し、希望があった場合には、負担軽減のため「2か月に1回」交換。

 

2PEGカテーテル選択

「造設用キット」と「交換用キット」の違い

造設用キットには、造設用カテーテル(バンパー型が多い)、穿刺針やスネアなど造設時に必要な物品が含まれています(キットの内容は、造設方法やメーカーによって多少異なる)。

一方、交換用キットの内容は、以下のようになっています(メーカーによってキット内容は異なる)。

  • バンパー型:交換用カテーテル、オブチュレーター(バンパーの形状を縦長に変形させて抜きやすくする器具)、ガイドワイヤーなど。
  • バルーン型:交換用カテーテル、ガイドワイヤー、交換用の蒸留水など。
  • ボタン型:栄養投与時に必要なフィーディングチューブ。

それぞれ適応が異なるため、造設か交換か、そのときに合わせたキットを選択する必要があります。

 

造設時は「バンパー型」が多い

はじめての胃瘻造設時に用いる「胃瘻造設用キット」には、バンパー型が選択されることが多いでしょう。

胃瘻造設後2週間は瘻孔が未完成、確実な瘻孔完成には1か月以上がかかります。バルーン型の場合、2週間に1回バルーン蒸留水の交換を行いますが、適切に蒸留水交換を行ってもなお、蒸留水が抜けて自然抜去が起こる危険があります。事故抜去を防ぐためにも、抜去が起きにくいバンパー型が適しているといわれています。

 

交換時には患者に適したものを選択(図23

交換時には、造設時とは異なり、PEGカテーテルを幅広い選択肢から選ぶことができます。以下に、選択の基準を示します。

 

「取り扱いやすさ」による選択

患者や家族が実際に使用してみて“扱いにくかった点”などを確認し、ほかの種類のPEGカテーテルに交換することも可能です(図2)。つまり、PEGカテーテルの交換は“患者や家族の負担を減らすいい機会”ととらえることもできるのです。

現在、新しい素材や形状のPEGカテーテルが、どんどん開発されてきています。たとえば、現在発売されているもののなかには「バルーンの水抜けが少ないもの(図3-❶)」「ポリウレタン製のバンパー型で劣化しづらく、長期間留置が可能とされるもの(図3-❷)」などがあります。

私たち医療者は、古い製品から新しい製品まで、その特徴と交換手技を理解し、対応していかなければなりません。少なくとも、自分の病院などで使われているPEGカテーテルの種類・メーカーについては、理解しておく必要があるでしょう。

図2PEGカテーテルの「取り扱いにくさ」による変更の例

PEGカテーテルの「取り扱いにくさ」による変更の例

 

図3新しい特徴的なPEGカテーテルの例

新しい特徴的なPEGカテーテルの例

 

栄養アセスメントによる選択

新しいPEGカテーテルは、患者の体重や体型に変化がないかを観察してから準備しましょう。

特に在宅療養患者では、栄養が十分になっておなか周りに脂肪がつき、ボタン型を使用している場合にはシャフト長がきつくなることがあります(図4)。このような場合、医師と相談してカロリーの見直しを行うとともに、PEGカテーテルの種類・サイズ変更が必要になる場合もあります。

この点、チューブ型では、シャフト長を外部バンパーで調節しやすいため、調整がききやすいでしょう。

図4栄養改善によるPEGカテーテルの交換

栄養改善によるPEGカテーテルの交換

 

PEGカテーテル交換の手技(図5

図5PEGカテーテル交換の手技

PEGカテーテル交換の手技

 

PEGカテーテルの交換は、医師が行うのが基本です。

特に、交換手技に技術を要する場合や、痛みを伴う場合、患者の状態が不安定な場合など、交換時に何らかのトラブルや危険が予測されるケースについては、より注意して行う必要があります。

 

1バンパー型の交換は要注意

留置されているのがバンパー型PEGカテーテルで、オブチュレーターを用いるタイプであれば、必ずオブチュレーターを用いて行います(図6)。

しかし、一般的にバンパー型は、形状を縦長に変えられる種類であっても、交換時には患者に痛みと苦痛を与えてしまいます。また、患者が抗血栓薬を内服している場合、出血も伴います。

バンパーを抜く際には、医師の技術と、ある程度の力が必要です。そのため、介助につく看護師は、腹壁を軽く押さえてバンパーが抜けやすくするよう介助します。

これらのことを考えると、特に在宅や施設でのバンパー型PEGカテーテルの交換にはリスクが伴うため、熟練した医師が行う必要があります。少しでも異常を感じた場合には、ただちに病院で交換を行います。

北美原クリニックでは、在宅での交換を希望される患者には、留置時に、主にバルーン型のPEGカテーテルをお勧めしています。

図6オブチュレーターの使用

オブチュレーターの使用

 

2PEGカテーテル交換に伴うリスク

最も注意しなければならないのは、腹腔内誤挿入です(図7)。腹腔内誤挿入を防ぐためには、病院での交換であれば、内視鏡下での交換が理想的です。また、造影剤を用いて透視下で行う交換方法もあります。

図7交換時における腹腔内誤挿入

交換時における腹腔内誤挿入

 

造設後1年は病院での交換が理想

北美原クリニックでは、胃瘻造設後1年以内は、必ず造設した病院もしくは連携病院で交換をお願いしています。なぜなら通常、瘻孔は3週間程度でしっかりと完成しますが、瘻孔の腹腔内の部分が斜めに入っていたり長かったりすると、交換時に損傷するリスクが高まるからです。

特に、PEG造設後はじめての交換は、必ず造設した病院で、内視鏡下で行うのが望ましいでしょう。万一、胃瘻が大腸をつき抜けて作成されていた場合には、1回目の交換ではじめて気づくこともあります。そのため、必ず造影などの処置ができる病院で行うべきです。

 

在宅などでの交換時には確実な確認が必要

しかし、在宅や施設の患者にとって、交換のたびに病院を受診することは負担も多く、現実的ではありません。そのため、北美原クリニックでは、希望する患者には在宅でのPEGカテーテル交換を行っています。その際、腹腔内誤挿入のリスクを回避するために行う交換後の確認方法として、以下の方法をとっています。

  • 交換30分~1時間前に、お茶など“色のついた水”を200mL程度、胃瘻から注入しておく(交換時にあまり早くから注入してしまうと、腸へ流れてしまうため注意する)。
  • 交換後に、胃瘻から吸引してみて、確実に胃内に入ったことを確認する。

最近では上記に加え、ベッドサイドに持ち込めるコンパクトな内視鏡を用いた確認も行っています。ただし、1回の往診で1人にしか使えない(クリニックに戻って洗浄・消毒を行う必要がある)ため、複数患者のPEGカテーテル交換が重なった場合には、往診時間をずらす、日程を変更するなどの対応が必要になります。

また、現在、PDN(PEGドクターズネットワーク)を中心として、全国的に「スカイブルー法(図8)」を用いた交換の安全性の検討が行われ、有用性が示されてきています。

PEGカテーテル留置の確認方法を表11にまとめます。交換する場所に合わせて、できる方法を選択するといいでしょう。

図8スカイブルー法

スカイブルー法

 

表1PEGカテーテル留置の確認方法

PEGカテーテル留置の確認方法

 

3事故抜去での一時的な交換

夜間などの事故抜去で医師がすぐに駆けつけられないとき、あるいは在宅患者で日中であってもかかりつけ医が駆けつけられないときなど、医師が不在の場面で、看護師が事故抜去に対応して“胃瘻の閉塞”を予防しなければならない場合があります。あらかじめ、急な事故抜去が起きた場合の約束指示を、医師に日ごろから確認しておく必要があります。

たとえば“事故抜去に備えて、患者のベッドサイドに新しいPEGカテーテルを用意しておく”などです。用意できない場合には、一時的な対応として同じサイズの尿道カテーテルを用意しておくか、抜けたPEGカテーテルを挿入することが必要でしょう。

また、事故抜去の際には「抜けたPEGカテーテルの先端があるか」「途中で切断されていないか」を確認しておきます。

 

バンパー型の事故抜去への対応

バンパー型の事故抜去は、患者が無理に引っ張って抜いてしまう場合がほとんどです。そのため、瘻孔が損傷されていることが多く、PEGカテーテルが途中でちぎれて、内部ストッパーが胃内に残ってしまうことがあります。

残った破片が腸へ流れてしまうと腸閉塞を起こす危険もあるため、その場では処置せず、病院で医師に診察をしてもらいましょう。その際、抜けたPEGカテーテルを確認のため持参します。

 

バルーン型の事故抜去への対応

バルーン型の事故抜去は、カフが破損したりしぼんだりして抜けてしまった場合がほとんどです。この際は、医師の指示のもと、看護師が新しいチューブに交換できます。バルーン型では、挿入の際に痛みが伴わず、手技に特殊な器具を要しません。

再挿入の際には、瘻孔に沿ってまっすぐ挿入します。抜去後、数時間で瘻孔の閉塞が起こりうるため、抵抗を感じるようであれば無理せず病院に搬送するか、医師の到着時間を確認して指示を受けます。患者の緊張が強いときなども、腹壁に力が入って入れづらいことがあります。

再挿入できたら、胃内容物を吸引し、誤挿入がないか確認します。その後、外部バンパーの固定の長さを、以前と同じにします。

その後は、医師の診察を受けてから栄養を開始しましょう。交換時の責任の所在をはっきりとさせておく必要があります。

 

交換前後の観察ポイント

表2交換前後の観察ポイント

交換前後の観察ポイント

 

1交換前の観察

バイタルサインは正常か

PEGカテーテルの交換は、患者の全身状態が安定しているときに行いましょう。

発熱など、バイタルサインが不安定なときは、PEGカテーテルにトラブルがない限り、交換を延期します。

 

抗血栓薬は中断されているか

抗血栓薬を内服している場合は、交換にあたり、休薬が必要となる場合があります。事前に医師に確認しましょう。

 

2交換後の観察

出血

抗血栓薬を休薬した場合でも、交換後は出血に注意が必要です。

特にバンパー型では、交換時には、瘻孔に大きな負担がかかります。交換後は、アルギネートドレッシング材(カルトスタット®)や、ストーマ用のパウダー(バリケア®パウダー、プロケア®パウダー)を瘻孔周囲に使用し、1日程度ガーゼで圧迫固定すると、出血は落ち着きます。

 

誤挿入

胃内に確実に留置されていることが大切です。前述したように、PEGカテーテル留置の確認を十分に実施してください。

また、チューブ型の場合には、外部ストッパーの長さが適切かどうかも確認しましょう。前回と比べて、長さの調節が必要になる場合もあります。

 

3栄養剤投与再開後の観察

交換後、特に問題がなければ経腸栄養剤の投与を再開します。はじめて注入するときは、患者の状態変化に特に注意しましょう。

具体的には、腹痛や腹部膨満感、冷汗、顔色不良、バイタルサイン(発熱、脈拍や血圧)の変動などの症状に注意します。もしも症状が出現した場合は、栄養剤の投与を中断して医師へ報告し、診察を受けます。

注意したいのは、交換の際に胃の中が空の状態で行うと、胃がしぼんだ状態となり、挿入後の確認が困難となることです。そのため、お茶などを200mL程度、事前に注入しておき、交換後の確認を確実に実施できるようにしておきましょう。

 

4一時的に尿道カテーテルを留置した場合

図9一時的に尿道カテーテルを留置した場合の対応

一時的に尿道カテーテルを留置した場合の対応

 

事故抜去への対応として、やむを得ず一時的に尿道カテーテルを留置した場合は、挿入の長さを確認し、固定の工夫をして、バルーンの十二指腸への引き込みや、再度の事故抜去防止に備えましょう(図9)。

特に、十二指腸へのバルーンの引き込みがあった場合は、栄養剤が急激に腸へ流れ込むことによって、ダンピング症状(発汗、頻脈、動悸、脱力感、悪心・嘔吐など)と同じような症状が出現します。

冷汗・倦怠感・呼吸の乱れなどの症状が出現した場合は、バルーン内の蒸留水を抜いて一度小さくしてから、挿入部分の長さを確認します。この場合、バルーンが膨らんだまま操作すると、幽門部損傷の危険があるので注意が必要です。

尿道カテーテルのカフ先端は、カテーテルが飛び出した状態になっているため、先端が胃壁を刺激し、潰瘍を作ってしまうことがあります。腹痛や胃内容物の血液混入や、黒色便などの症状に注意するとともに、なるべく早期にPEGカテーテルに交換しましょう。

***

PEGカテーテルの交換時には、患者や介護者に合った製品の選択が必要です。そのためには医師・看護師が、患者や介護者に情報を提供していくことも、とても重要なのです。

 

事例:PEGカテーテル交換予定まで、まだ日数があるのにカテーテルが詰まってしまった!

患者の情報

70歳代、男性。胃瘻を造設したあと退院し、在宅療養を行っている。

バンパー型チューブタイプのPEGカテーテルを使用しているが、4か月経たないうちにカテーテルが詰まってしまい、頻繁に交換しなければならず、患者や家族の負担が大きい状態である。

 

1バンパー型の場合

チューブタイプの場合

バンパー型チューブタイプのPEGカテーテルの場合、次の交換は6~10か月後です。そのため、管理が不十分のためカテーテル内がひどく汚れてカテーテルが閉塞しないよう、普段から酢水を充填しておく方法を紹介します。また、専用のペグブラシがあるので、毎回チューブにブラシを通してきれいに使ってもらうこともできます。

もしも詰まってしまったら、まずは、フラッシュする、カテーテルをしごく、PEGブラシで洗浄してみる、などの対応を行います。それでも開通しなければ、交換を行う必要があります。

 

ボタンタイプの場合

バンパー型ボタンタイプのPEGカテーテルの場合には、フィーディングチューブを交換することで、汚れは解決されます。

 

2バルーン型の場合

バルーン型の場合は1~2か月ごとの交換なので、汚れや閉塞が原因で交換時期を早めなければならなくなることはありません。

ただし、チューブタイプの場合には、栄養セットを接続するたびにフィーディングアダプターの蓋が劣化して機能しなくなったり、カフの注水孔からうまく水の出し入れができなくなったりしたら、1か月を待たずに交換します。

バルーン型は、24時間経過していれば保険請求が可能です。

 

COLUMN:家族から「PEGカテーテルの種類を変更したい」と言われたら…

在宅でPEG患者を見ている家族はとても熱心で、本やインターネットなどでPEG管理について勉強されています。ときには、栄養剤の変更やカロリーの調整、PEGの種類の変更など、家族側から提案されることがあります。医療者は、家族からの提案に関するメリット・デメリットをきちんと判断し、家族とともに決めていくのがよいでしょう。

在宅患者の家族が「バンパー型は交換時にとても痛がるので、バルーン型にしてもらえないだろうか?」と相談してきたことがあり、種類を変更したことがあります。

また、外来に来院された小児PEG患者の家族から、「次回の交換時にPEGの種類を変えたいと思っている。今、施設で流行しているPEGがあって、とても使いやすそうなのでそれにできないか?」という相談を受けたこともあります。たくさんの種類がある中で、今、何が流行っているのでしょうか? この方は病院での交換をお願いしていたので、もう一度メーカーや名前を調べ、交換が可能かどうか、病院に相談に行ってもらうことにしました。

新しい製品について、医療者も常に勉強していかなければなりません。

 

 


[Profile]
駒谷末季
北美原クリニック看護師長

*略歴は掲載時のものです。

 


[引用・参考文献]

  • (1)西口幸雄編:PEG器具の種類とマネージメントケアにおける要点とQ&A.フジメディカル出版,大阪,2008:45.
  • (2)小川滋彦:カテーテルの交換に関する知識.臨牀看護2003;29:651.
  • (3)駒谷末季:胃瘻チューブの交換は、どんなタイミングで、どう行う?.エキスパートナース2007;23(1):112-118.

本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)2010照林社

[出典]『病院から在宅までPEG(胃瘻)ケアの最新技術 第一版』(監修)岡田晋吾/2010年2月刊行

病院から在宅までPEG(胃瘻)ケアの最新技術 第一版

著作権について

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