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2017年04月03日

痛み止めを頻繁に希望する患者はどうすればいいの?

『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』より転載。

今回は「鎮痛薬の定期投与」に関するQ&Aです。

痛み止めを頻繁に希望する患者はどうすればいいの?

鎮痛薬の定期投与が有効な場合があります。

〈目次〉

 

術後疼痛管理の重要性

術後疼痛は患者が最も避けたいと思う症状であり、また痛みだけの問題ではなく術後経過そのものに影響を及ぼします(表1)。そのため今日では術後疼痛管理は非常に重要視されています。

表1術後疼痛による悪影響

呼吸機能の低下 低酸素血症、無気肺、肺炎
交感神経刺激 不整脈、頻脈、高血圧、心筋虚血狭心症や心筋梗塞)
凝固能の亢進 深部静脈血栓症、肺塞栓
免疫能の抑制 各種感染症
異化代謝の延長 栄養障害、手術侵襲からの回復遅延
腸蠕動の抑制 悪心・嘔吐、イレウス

[以下の2 文献を参考に作成]
・関洲二:術後患者の管理(改訂新版).金原出版,東京,2000:129-133.
・ 林田眞和,藤本幸弘,花岡一雄:術後痛の成因.花岡一雄監修,術後痛 改訂第2 版,
克誠堂出版,東京,2006:1-18.

 

「予防鎮痛」という考え方

予防鎮痛とは、疼痛が発生する前に痛み刺激の伝達神経を遮断あるいは、各種鎮痛薬を投与し、痛み刺激が中枢神経系に到達しないようにして、痛み起因物質の発生を抑え、術後疼痛を軽減させようという考え方です。

ここ数年、術後疼痛管理の分野ではその有用性が議論されていますが、最近では「術後疼痛は治療するよりも予防すべき」とされており、鎮痛薬は痛みを感じてから投与するより、痛みを感じる前に投与したほうがはるかに効果が高く、鎮痛薬の総投与量を減ずることができるといわれています(3),(4)。

 

痛みが強い・長びく場合は合併症の可能性も

術後疼痛が術後経過そのものに悪影響を及ぼすことを考えても、可能な限り痛みをとり除く必要があります。

特に痛みが強い患者の場合は、痛みを感じてから鎮痛薬を投与する頓服ではなく、痛みを感じる前に投与する定期投与のほうが、鎮痛効果が高いでしょう。ただし、あまりにも痛みが強い場合や長びく場合は、単なる術後疼痛ではなく外科的合併症(例:手術部位感染や縫合不全による腹膜炎など)が隠れている可能性を考えなければいけません。

また、一般的によく用いられるNSAIDsのような解熱効果のあるものでは、定期投与によって発熱が不顕性化され、これらの合併症の発見が遅れる可能性もあり、その適応は慎重に考える必要があります。

 

「痛がり」の患者さんにはどう 対応すればいいのでしょうか。

痛みの程度は個々人によって大きく異なるので、 「痛がり」と決めつけずに、鎮痛薬の定期投与や 多角的鎮痛(→ Q40)などを駆使して十分な鎮 痛処置を施しましょう。 また、不安感や恐怖感が強いと術後痛の訴え も強くなる傾向があるので、精神面のケアに努 めることも重要です。


[文献]

  • (1)関洲二:術後患者の管理(改訂新版).金原出版, 東京,2000:129-133.
  • (2)林田眞和,藤本幸弘,花岡一雄:術後痛の成因. 花岡一雄監修,術後痛−改訂第2 版−,克誠堂出版, 東京,2006:1-18.
  • (3)林田眞和,花岡一雄:術後疼痛コントロールの基 本的考え方.花岡一雄監修,疼痛コントロールの ABC,日本医師会,東京,1998:S286-288.
  • (4)谷口英喜:術後回復能力強化プログラムにおける 術後鎮痛.川真田樹人編,手術後鎮痛のすべて, 文光堂,東京,2013:115-116.

[Profile]
久保健太郎
大阪市立総合医療センター看護部


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

[出典]『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』(編著)西口幸雄/2014年5月刊行

術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100

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