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2017年11月19日

乳腺炎ドレナージ | ドレーン・カテーテル・チューブ管理

ドレーン・カテーテル・チューブ管理 完全ガイド

ドレーンカテーテル・チューブ管理完全ガイド』より転載。

今回は乳腺炎ドレナージについて説明します。

 

《乳腺炎ドレナージについて》

主な適応
乳癌の手術で腋窩リンパ節郭清を行った場合、乳房切除を行った場合、組織拡張器による再建を行った場合
目的
術後貯留するリンパ液・滲出液、血液などの排出、出血・感染などの観察など
合併症
リンパ液貯留、出血、感染など
抜去のめやす
排液量がおよそ30mL/日以下のとき
観察ポイント
患者の移動や体動により、ドレーン留置位置が移動していないか観察する。
排液の量・色・性状を観察し、出血などの合併症の早期発見・対処に努める。
ケアのポイント
閉塞予防 : ドレーンの屈曲や吸引装置の不具合がないか確認し、必要に応じて触診やミルキングを実施する
固定部 : 発赤腫脹時は感染を疑いただちに抜去するほか、固定によるスキントラブルなどに注意する

 

 

〈目次〉

 

乳腺炎ドレナージの定義

乳腺炎」は授乳期の女性にしばしばみられる症状であり、原因として授乳に伴う乳頭部の外傷や乳汁のうっ滞に伴う細菌感染が考えられている。

授乳と関連しない乳腺炎は、乳管閉塞、陥没乳頭などを基礎に「細菌性乳腺炎」として発症し、これらはしばしば繰り返される。

肉芽腫性乳腺炎」のように原因不明のもの、「炎症性乳癌」のように鑑別が重要な疾患も一部に存在する。

乳腺炎ドレナージは、膿貯留を伴う化膿性乳腺炎の患者に介入して排膿することであるが、ドレナージ方法には針穿刺による単回または複数回の「穿刺吸引法」と外科的処置である「切開排膿法」がある。

通常は外来管理にて対処するため、管理が煩雑なドレーン留置による閉鎖式のドレナージ法はあまり行われない。

 

乳腺炎ドレナージの適応と禁忌

乳腺炎に対する治療として、細菌性乳腺炎が疑われる場合には感受性のある抗生物質の内服投与が行われる。

ドレナージが適応になるのは局所に波動がみられたり、エコーにて液体貯留が確認されるなど膿貯留を認める場合である。

授乳期の場合、単なる乳房の緊満や乳管閉塞との鑑別が重要で、特に外科的に切開排膿をする場合は膿貯留の確認が必須である。臨床的、画像的に膿貯留が明確でない場合には、エコーガイド下に針穿刺を行い、膿貯留を確認してから切開排膿することが望ましい。

 

乳腺炎ドレナージの挿入経路と留置部位

ドレナージの方法に関しては、外来管理で行われるため、患者の通院可能な程度も考慮して、現実的な選択をする必要がある。

 

1穿刺吸引法

単回の針穿刺を行う場合は、直上の皮膚から最短経路で行うことが最も確実な方法と思われる。

 

2切開排膿法

切開排膿を行う場合は、乳輪に沿った傍乳輪切開が整容的にはすぐれており、通常、この方法が採用される。しかしながら、膿の貯留部位によっては、直上の皮膚を切開して、より確実な排膿を行う必要もある。

膿の量が多い場合は、ペンローズドレーンなどを留置して排膿を促し、量が少ない場合や少なくなってきた場合は込めガーゼなどを挿入し、十分な排膿効果が得られる前に皮膚創部が先行して閉鎖してしまうことを予防する。

 

乳腺炎ドレナージの合併症

単回穿刺は、経験のある外科系医師が実施すれば、特に問題になる合併症はないと思われる。

切開排膿を行う場合は、十分なドレナージが得られない場合、逆行性感染の感染ルートを提供するだけに終わることもあり、実施のタイミングとその経路の選択が重要である。

 

乳腺炎ドレナージの利点と欠点

ドレナージを実施することで、創傷治癒を早め、特に授乳中の場合、授乳に関する障害を早期に改善することができる。また自壊排膿に比較して、創自体の整容性も保たれやすい。

切開をする場合は、十分に排膿されることが重要である。膿貯留がない状態で行っても効果がないばかりか創管理が煩雑になるだけの懸念もあり、介入のタイミングを見きわめることが重要である。

 

乳腺炎ドレナージのケアのポイント

1ドレナージ実施時の介助

清潔野を保持しながら、処置しやすいように物品の位置や患者の体位を整える。

切開直後の膿を検体として提出する場合は、周囲に膿が触れないよう採取する。また、挿入時に出てきた膿の色調や性状、量を観察する。

患者が痛みや不安などから処置の最中に動くことがないよう、手を握ったり処置が終わるめやすを伝えるなどの声かけを行う。

 

2ドレーン留置中の管理

排液の量が多いときは、ペンローズドレーン、量が減ってきたら込めガーゼなどが挿入される。これらのドレーンや込めガーゼは脱落しやすいため、脱落がないかを来院時に確認する。

ドレーンはガーゼで保護するが、排液がガーゼの上層まで染みてくるようであれば適宜ガーゼを交換する。

ガーゼ交換時に排液の色やにおいを観察し、排液量を測定する。保護ガーゼの剥がれがないか、テープかぶれが生じてないかを確認する。

発赤・かぶれなどスキントラブルを生じている場合は、皮膚に過度の圧がかかるテープの固定方法をしていないか確認し、テープをより肌にやさしい製品(カブレステープU®、優肌絆®など皮膚刺激が少なく、剥離時の痛みを低減するもの)に変更する。

 

3患者へのケア

外来通院患者は自己消毒を行う場合もある。患者が正しく清潔操作で消毒を行えるように指導し、継続できているか確認する。

固定に防水テープを使用することで、シャワー浴が可能である。

患者は授乳中であったり、消毒のために連日外来通院しなければならないため、日常生活や社会生活において困っていることなどがないか相談にのる。

 


[Profile]
川端英孝
国家公務員共済組合連合会虎の門病院乳腺・内分泌外科部長
大野木由美子
国家公務員共済組合連合会虎の門病院看護部チーフナース、がん看護専門看護師

 

*略歴は掲載時のものです。



本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)2015照林社

[出典]『ドレーン・カテーテル・チューブ管理完全ガイド第一版』(編著)窪田敬一/2015年7月刊行

ドレーン・カテーテル・チューブ管理完全ガイド第一版

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