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2017年04月20日

シバリング-原因と対応

『オペナース』2016年第2号<体温管理>より抜粋。
シバリングについて解説します。

Point

  • シバリングは,主に体温低下・セットポイント上昇により起こります。
  • シバリングの予防には,体温低下の防止が重要です。そのために,保温・加温,熱産生促進,適切 な薬物療法を行いましょう。
  • シバリングの治療には,加温・硫酸マグネシウムやメペリジンなどの薬物療法を行います。

中山禎人
(札幌南三条病院 麻酔科 部長,札幌医科大学医学部 麻酔科学講座 臨床准教授)

 

〈目次〉

はじめに

シバリングとは,体温の回復を主な目的とした,無意識に生じる身震いのことをいいます。手術患者さんでは,主に全身麻酔からの覚醒後に起こります。

シバリングは,普通の身震いとは違い,比較的長時間続くことが多いため,体内の酸素消費量の著明な増加,眼圧や脳圧の上昇,創部痛の増強など,患者さんにとって不利益な反応を引き起こします。

さらに,血圧やSpO2 など,術後早期にとくに大切なバイタルサインの測定を妨げる可能性があるため,見過ごしてはいけない合併症といえます。そのため,シバリングの発生防止法と,不幸にも発生してしまったときの対処法について,きちんと理解する必要があります。

本コラムでは,シバリングの概念,原因,発生予防のために大切な体温低下の防止法としての保温・加温,熱産生促進法や薬物療法,そして発生してしまった場合の薬物療法などの対応策について,具体的に述べていきます。

 

シバリングって何?

シバリング(shivering)とは,患者さん自身の体温の自己回復を主な目的とした身震いのことをいいます。

通常,患者さんの意思とは関係なく発生し,患者さん自身で止めることは難しい場合が多くみられます。手術患者さんでは,主に全身麻酔からの覚醒後に起こります。

麻酔から醒めた直後から,患者さんが激しくガタガタと震え出す様子は,初めて見たときには衝撃を受けたという方も多いのではないでしょうか。

 

シバリングの原因

「セットポイント」とは?

体温調節機構は視床下部の体温調節中枢で働きます(図1)。

セットポイントとは,そのときどきで,体温調節中枢が「正常」と設定する目標体温のことをいいます。セットポイントより実際の体温が低い場合に,シバリングが発生すると考えられています。

図1視床下部による体温調節(文献1)より引用)

視床下部による体温調節(文献1)より引用)

体温調節機構は,脳,脊髄,深部組織,皮膚などからの温度入力が,視床下部前部で統合処理された結果として働きます。具体的には,適温(セットポイント)以下になると血管収縮により熱放出を抑制し,非シバリング熱およびシバリング熱を産生して体温上昇を図ります。逆に,適温を上回ると,血管拡張や発汗で熱放出を促進し,体温を下げて適温に体温を維持しようとします。

 

シバリングはなぜ起こるの?

シバリングはなぜ起きるのでしょうか?

一般に,手術時は室温を比較的低く保つことが多く,また術野は直接手術室温にさらされることが多いため,手術中,患者さんの体温は徐々に低下しがちです。

体温が低下した場合においても,全身麻酔中は麻酔薬によりセットポイントが下がっているため,患者さん自身が体温を一定に保とうとするシバリングなどの自己調節機能は強く抑制されますが,麻酔覚醒後にはセットポイントが復元し,患者さん 自身の体温自己調節機能が再び働き始めます。

その結果,低体温の場合は,体温を患者さん自身が上げようとして,シバリングが発生することがあるのです(図2)。

 

図2全身麻酔中のセットポイント推移のイメージ

全身麻酔中のセットポイント推移のイメージ

全身麻酔中は麻酔薬の影響で体温のセットポイントが下がり,シバリング閾値も低下します。麻酔覚醒時にセットポイントが正常化した時点で低体温があると,シバリングとして症状が表出します。

以下に,いろいろなシバリングを示します。

 

体温調節性シバリング

中枢温が低下すると,体温調節性の末梢血管収縮を伴う,持続緊張性で筋電図上4〜8サイクル/分の漸増・漸減のパターンのシバリングが起こります。

これを体温調節性シバリングといい,麻酔後の震えの80%以上はこのシバリングです(表1)。

表1体温調節性シバリングと非体温調節性シバリング

体温調節性シバリングと非体温調節性シバリング

 

非体温調節性シバリング

麻酔後には,体温調節性シバリングの他に,まれに筋電図上で5〜7Hz(300〜420サイクル/分)の連射的なパターンを示す震えが生じることがあり,これを非体温調節性シバリングといいます。

その詳しい原因はわかっていませんが,痛みや,残存する揮発性吸入麻酔薬により脊髄反射が促進されることが推測されています(表1)。

 

体温が正常でもシバリングが発生するのはなぜ?

全身麻酔中に十分な体温管理を行い,たとえ手術終了時の体温が37℃以上と低体温が認められない場合でも,麻酔終了後にシバリングが発生することをときどき経験します。

これは,はたして非体温調節性のシバリングなのでしょうか?実は,こういうときには,筋電図上では体温調節性のシバリングと同様である場合がほとんどです。

それでは,体内では何が起きているのでしょうか?手術侵襲により,体内では炎症性サイトカインが増加します。その結果,体温調節中枢のセットポイントが上昇し,通常の体温でも,体温が低下していると誤認してしまい,手術終了後にシバリングを生じてしまうのです(図3)。

図3体温が正常でもシバリングが発生するメカニズム

体温が正常でもシバリングが発生するメカニズム

大きな手術後に,低体温でなくてもシバリングが発生してしまうことを経験します。これは,手術侵襲により,体内で炎症性サイトカインが増加する結果,体温調節中枢のセットポイントが上昇してしまい,術後低体温がなくても体温が低下していると誤認してしまうのが原因です。

IL-6などの炎症性サイトカインは侵襲の大きい手術ほど分泌されるため(図4),術後のシバリングがより起こりやすいと考えられます。

図4中・大侵襲手術における炎症性サイトカインやストレスホルモン分泌の増加(文献2)より引用)

中・大侵襲手術における炎症性サイトカインやストレスホルモン分泌の増加(文献2)より引用)

低侵襲な眼科手術では,炎症性サイトカインの血漿IL-6や,ストレスホルモンである力テコールアミン値は有意な変動を示さないのに対し,中侵襲である婦人科開腹手術では術中にこれらの値は有意に増加します。さらに,高度侵襲の食道亜全摘術や人工心肺下心臓手術では,これらの値は高度に増加し,術後1日目でも高値であることが示されました(結果は平均値±標準偏差)。

そのため,とくに大きな手術後のシバリング発生を防止するためには,この体温調節中枢のセットポイント上昇に対する対策が必要となります。

 

レミフェンタニルとシバリング

レミフェンタニルの使用により,術後のシバリング発生頻度が他のオピオイド使用群と比べて約2倍増加したと報告されています。

レミフェンタニル自体はμオピオイドであり,抗シバリング作用を有しますが,投与中止後に速やかに薬効が消失する特徴を持つ薬剤であるため,手術終了後にレミフェンタニル投与を中止すると,抗シバリング作用もすぐに消失してしまい,シバリングが発生しやすくなると考えられています。

そのため,レミフェンタニルを用いた麻酔の後は,シバリングの発生に十分注意しましょう。

 

シバリングは有害!

体の震えは,本来は生体の防御機構であり生理的な反応ですが,シバリングは震えが大きく,比較的長時間続くことが多いため,体内の酸素消費量が著明に増加し,代謝性アシドーシスや低酸素血症の原因になったり,眼圧や脳圧の上昇,創部痛の増強,また縫合した部位の離解など,患者さんにとって不利益な反応を引き起こし,予後も悪化させる場合があります。

また,血圧やSpO2など,術後早期にとくに大切なバイタルサインの測定を妨げる可能性もあります。なにより,シバリングは術後の患者さんに強い不快感を与えてしまいます。

体温の上昇だけは期待できるものの,やはりシバリングは「招かれざる客」といえます。

 

シバリングの予防法は?

シバリングの予防には,まず第一に,手術中の体温低下を最小限にし,体温を保持する必要があります。

さらに,手術侵襲により炎症性サイトカインの分泌が増えて,セットポイントが上がってしまった場合には,セットポイントを正常に近づける方法を取る,または体温低下防止だけでなく,体温を上げる工夫が必要となります。

 

体温の喪失を防止する

体温喪失の原因として,体表からの熱放射があります。

手術室では室温を低く保ちがちですが,たいてい暑いと感じるのは術者だけで,患者さんは暑がりの術者からの要請による低い室温の「巻き添え」になりがちです。

とくに,手術中に室温を22 ℃以下にすると,患者さんの体温が著しく低下するとされています(文献3)。

そのため,入室時はもちろん,術中も手術に支障がない範囲で極端に室温を低くしすぎないことが,放射による体温喪失の防止のために大切です。

また,手術開始までは可能なかぎり患者さんの体を覆うなどの保温に努め,さらに術中も,術野と関係ない部分をブランケットや温風加温システムなどで保温や加温に努めることも重要です。

また,冷たい輸液でも体温低下は起こるため,輸液剤を保温庫で温める,また輸液加温システムを使用するなどの工夫も有効です。

 

熱の再分布の抑制

多くの手術患者さんでは,手術室入室時に中枢と末梢の温度較差があります。麻酔をかけると,熱の再分布が起こり,中枢と末梢の温度較差が少なくなります。

実際に,3時間の全身麻酔では,無処置の場合,体温は2.8℃も低下するといわれていますが,その65%が熱の再分布が原因とされています。

熱の再分布を抑制するためには,以下の方法があります。

 

麻酔導入前に患者さんを加温する

温風加温システムを用いて,麻酔導入2時間前から患者さんの末梢組織を加温し,中枢と末梢の温度格差を少なくしておくことにより,熱の再分布を抑制することが可能です(図5)。

図5末梢組織の術前加温による熱再分布抑制効果(文献4)より引用)

末梢組織の術前加温による熱再分布抑制効果(文献4)より引用)

麻酔導入前に加温を2時間行った場合と加温しなかった場合では,加温した群のほうが鼓膜温の低下が有意に小さいことが示されています(結果は平均値±標準偏差)。

確実に体温低下が予想される手術の前には,こういう工夫を検討してみるのも一法といえます。

 

術前に血管拡張薬(降圧薬)を服用する

患者さんにみられる中枢と末梢の温度較差は,末梢血管収縮によるものです。

そのため手術の12時間前から血管拡張薬を服用して末梢血管収縮を抑制し,中枢と末梢の温度較差を少なくしておくことで,手術中の熱の再分布を抑制し,体温低下を防げることが示されています(図6)。

図6血管拡張薬(ニフェジピン)の熱再分布に及ぼす効果(文献5)より引用)

血管拡張薬(ニフェジピン)の熱再分布に及ぼす効果(文献5)より引用)

ニフェジピンを手術12時間前と90分前に投与すると,麻酔に伴う体温低下が減弱することが示されています。ここで,麻酔導入直前にだけニフェジピンを投与すると,かえって体温低下を助長する結果となったため要注意です(結果は平均値±標準偏差)。

ただし,麻酔導入の直前だけ血管拡張薬を用いると,かえって体温が低下しやすくなるとも報告されています。

また,高血圧のない患者さんに,降圧薬でもある血管拡張薬を投与すると,低血圧を起こす危険性もあります。もともと高血圧があり,血管拡張薬・降圧薬を内服中の患者さんでは,前日はもちろん当日の朝も継続したほうが体温低下を防げると考えられます。

 

麻酔前投薬を積極的に使用する

最近,術中の体温低下がよく生じるようになった施設はありませんか?

近年,麻酔前投薬をしなくなった施設も多いと思いますが,もしかしたらそれが原因かもしれません。麻酔前投薬は,患者さんの術前の不安を抑えるだけでなく,熱の再分布を抑制するのにも役立つのです。

ミダゾラム0.04mg/kg(2〜3mg)の術前筋注投与は,非投与群に比べて有意に麻酔導入後の体温低下を抑制することが示されています(図7)。

図7麻酔前投薬ミダゾラムによる術中体温低下の抑制(文献6)より引用)

麻酔前投薬ミダゾラムによる術中体温低下の抑制(文献6)より引用)

麻酔前投薬としてミダゾラムを投与した症例では,投与していない症例に比べて,術中の体温低下が有意に抑制された(*:P<0.05)ことが示されています(結果は平均値±標準偏差)。

近年普及してきているenhanced recovery after surgery(ERAS)プロトコールなどでは,麻酔前投薬のすべてが「目のかたき」にされている印象がありますが,ERASでは,「とくに作用時間の長い(ジアゼパムなどの)薬剤を使用しない」とする一方で,ミダゾラムなどの短時間作用型の薬剤は,硬膜外チューブを入れる症例での投与を容認しています(文献7)。

実際に,前投薬をせずに硬膜外チューブを入れる患者さんが,手に汗を握り緊張している場面を見て,いたたまれなくなったことはないでしょうか? 不安を抑えるうえに,体温低下防止にも寄与する前投薬は,患者さんにとって有益なはずです。

ミダゾラムなど短時間作用型薬剤を用いた前投薬の積極的な使用を再検討してみてください。

 

生体内での熱産生をうながす

分枝鎖アミノ酸(バリン,ロイシン,イソロイシンなど)を含むアミノ酸輸液を行うと,生体内で熱が産生され,体温が上昇することが知られています(図8)。

これを応用して,術中低体温が危惧される症例や,体温が低下しだした症例に対して,術中にアミパレン®200mL 程度の輸液を行うことが推奨されます。

図8アミノ酸輸液の体温低下抑制効果(文献8)より引用)

アミノ酸輸液の体温低下抑制効果(文献8)より引用)

整形外科手術症例で,対照群(アミノ酸輸液非投与群)はアミノ酸輸液投与群に比較して有意に体温が低下したため,アミノ酸輸液の体温低下抑制効果が示されました(結果は平均値±標準偏差)。

また近年は,アルギニン滋養飲料など,ある種のアミノ酸飲料の術前摂取によってもアミノ酸輸液と同様に,生体内での熱産生効果が期待される可能性が指摘されており,今後はこの方法も一般的になる可能性があります。

 

十分な鎮痛を図る

痛みはシバリングを誘発します。そのため,術後鎮痛は重要です。

膝関節手術患者さんで,膝関節内リドカイン注入による術後鎮痛を生理食塩水注入群と比較した研究によると,生理食塩水投与群に比べてリドカイン投与群では有意に痛みが少なかったと同時に,生理食塩水投与群では約半数に認められた術後のシバリングも,リドカイン投与群ではまったく出現しなかったと報告されています(表2)。

表2膝関節手術患者における関節内リドカイン注入の術後シバリングに及ぼす効果(文献9)より引用)

膝関節手術患者における関節内リドカイン注入の術後シバリングに及ぼす効果(文献9)より引用)

とくにレミフェンタニルを使用する場合は,急性耐性が生じる結果,術後の疼痛過敏が生じる可能性があるため,十分な術後鎮痛を図る必要があります。

術後鎮痛は,非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti‐inflammatory drugs;NSAIDs)や麻薬などに加えて,持続硬膜外鎮痛や末梢神経ブロックなど局所麻酔による鎮痛を効果的に用いて行いたいものです。

 

シバリングが発生してしまったら:治療について

シバリングは,体温がその時点でのセットポイントより低いことにより生じるため,低体温の場合は体温をセットポイントまで高めるか,セットポイントが高くなってしまった場合は,正常に近づけるように下げることが治療の基本です(図9)。

図9シバリング予防・治療法

シバリング予防・治療法

シバリングを予防・治療するには,体温の低下を防ぎ,覚醒時の体温がセットポイントを下回らないようにするか,薬剤などにより体温のセットポイントを下げるのが有効です。

 

保温・加温

低体温がみられる場合はもちろん,極端な高体温でないかぎりは,温風加温システムなどを用いて患者さんを加温することと,酸素投与がシバリング治療の基本です。

軽度の体温低下では,皮膚からの温かいという信号が入力されるだけでシバリングが抑制されるため,皮膚表面の加温・保温が有効です。

しかし,体温低下が高度の場合やセットポイントが上昇している場合は加温だけでは効果が少ないため,薬物療法を組み合わせる必要が生じます。

 

薬物療法

薬物療法は,上昇してしまったセットポイントを正常に近づけるために行います。

シバリングの治療に試みられている薬剤としては,オピオイド(メペリジン,モルヒネ,フェンタニル,ナルブフィン,ペンタゾシン),中枢性鎮痛薬(トラマドール),ナトリウムチャネルブロッカー(リドカイン),α2-アゴニスト(クロニジン),メチルフェニデート,ドキサプラム,ケタンセリン,フィゾスチグミン,デキサメタゾン,マグネシウムなどが挙げられます(文献3)。

さらに解釈を広めれば,麻酔薬であればおよそすべての麻酔薬はシバリングの閾値を減少させるため,これらもこの範疇に当てはまります。薬剤でとくに有効なものとしては,メペリジン,クロニジン,ドキサプラムが挙げられます。

メペリジン(=ペチジン)は他のオピオイドより有効なことから,α2受容体の刺激作用やκレセプターへの作用が推測されており,投与量は25 mg程度が推奨されています。

α2アゴニストであるクロニジンは,150μg程度の投与による有効性が多く報告されています。作用機序は不明なものの,交感神経活動の抑制と,血中カテコールアミン濃度の低下が関与していることが推測されています。

ドキサプラムは末梢性呼吸刺激薬として知られていますが,これも機序は不明なものの,シバリングへの有用性が知られています。投与量は100mg程度とされています。

マグネシウム製剤に含まれるMg2+は,Ca2+チャネル阻害作用やNMDA受容体括抗作用を持ち,これらの作用が抗シバリング作用に関与していると考えられていますが,詳細な機序は不明です。

硫酸マグネシウム30mg/kg(成人でマグネゾール®約1A〔2.0g/20mL〕)の投与による有効性が多く報告されています。ただし,使用に際しては,心筋・刺激伝導系への抑制作用に対する十分な注意が必要です。

フィジオ140®などのMg2+添加輸液剤の術中使用でも,長時間手術後に術後のシバリングの発生頻度が有意に抑制された報告があることから,麻酔中に血漿Mg2+濃度を維持するだけでもシバリングをある程度予防できると考えられます。

術後の痛みもシバリングを誘発することから,ボルタレン®50mg坐剤やロピオン®50mg静注薬などのNSAIDsは鎮痛薬としての抗シバリング作用が期待できる他,炎症性メディエーターによって上昇した体温のセットポイントを正常化する効果がある点でも,侵襲の大きい手術に用いた場合の抗シバリング作用が期待できます。

 

おわりに

シバリングは,おもに体温低下・セットポイント上昇によって起こり,患者さんにとって有害です。シバリングに対する最も有効な対応策は,その発生の予防に全力を注ぐことであるといえます。

シバリングの予防には,体温低下の防止が重要であり,そのためには,保温・加温,熱産生促進,適切な薬物療法を行う必要があります。

そして,不幸にもシバリングが発生してしまったら,加温を続けながら,麻酔科医や外科医と相談して,次善の策としての硫酸マグネシウムやメペリジンなどの薬物療法を行うことを検討してみてください。

皆さんは,今までシバリングに対して,どのような認識を持っていましたか?「大きな手術の後では発生するのは仕方がない」とか,「布団をかけて時間がたてば,そのうち何とか落ち着くだろう。」という風な認識ではありませんでしたか?

表3のまとめなどを参考にしながら,本コラムが明日からの手術患者さんのシバリング対策に役立つことを願い,稿を終えたいと思います。

表3すぐに実践できるシバリング対策

すぐに実践できるシバリング対策

 


[引用・参考文献]


[Profile]
中山禎人(なかやま よしと)
札幌南三条病院麻酔科部長,札幌医科大学医学部麻酔科学講座臨床准教授
1966 生まれ。1991年札幌医科大学卒業,同年同大学麻酔科学講座入局。2002年札幌医科大学大学院修了。2004年より現職。2009年より札幌医科大学医学部臨床准教授兼務。専門は呼吸器外科麻酔,分離肺換気,気道管理。日本麻酔科学会指導医,麻酔科学サマーセミナー代表世話人。趣味はチェロ演奏。

*略歴は掲載時のものです。


本記事は株式会社医学出版の提供により掲載しています。/著作権所有 (C) 2016 医学出版
[出典]オペナース 2016年第2号

『オペナース』2016年第2号

P.53~「シバリング-原因と対応」

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