酸素療法で加湿する/しないは、 どうやって決めるの?

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

 

今回は「酸素療法での加湿」に関するQ&Aです。

 

露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)

 

酸素療法での加湿する/しないは、どうやって決めるの?

 

低流量システムでは酸素流量3~5L/分以下、高流量システムでは酸素濃度40%以下のときは、加湿は必要ありません。
ただし、人工気道留置により上気道がバイパスされているときは加湿する必要があります

 

〈目次〉

 

酸素加湿の考え方

ガイドラインにより異なるが、低流量システムでは酸素流量3~5L/分以下のとき、高流量システムでは酸素濃度40%以下のとき、酸素加湿は必要ないといわれている。その理由を以下に示す(2)

 

  1. 腔(天然の加湿器)を介して呼吸している。
  2. 一回換気量に占める配管からの酸素(乾燥酸素)の割合が少ない。
  3. 酸素を加湿しなくても気道から失われる水分量が少ない。
  4. 酸素加湿の有無で自覚症状に差がない。

 

必ず加湿が必要な場合

リザーバーマスクは、配管からの乾燥した酸素をリザーバーバッグ内にためて吸入するため、必ず加湿が必要である。

 

気管挿管や気管切開で人工気道留置により上気道がバイパスされている場合は、加湿機能が不十分であるため、酸素加湿や人工鼻が必要になる。

 


[文献]

  • (1)田勢長一郎:酸素療法・酸素療法の適応と中止.丸川征四郎,槇田浩史 編,呼吸管理・専門医にきく最新の臨床,中外医学社,東京,2003:58-60.
  • (2)瀧健治:呼吸管理に活かす呼吸生理 呼吸のメカニズムから人工呼吸器の装着・離脱まで.羊土社,東京,2006:95.
  • (3)Kallstrom TJ. AARC Clinical Practice Guideline:Oxygen thrapy for adults in the acute care facility-2002 revision & update. Respir Care 2002; 47: 717-720.
  • (4)宮本顕二:インスピロンQ&A「より安全にお使い頂くために」 Q10.日本メディカルネクスト株式会社.(2014年11月18日閲覧).

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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