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2017年04月13日

看護師が行うフットケア外来の役割

『WOC Nursing』2016年7月号<足を救うためのチーム医療>より転載。
フットケア外来の役割について解説します。

 

Point

  • 疾患別足病変が理解できる
  • 下肢の血流評価ができる
  • 足病変の治療がわかる
  • 創傷治癒がわかる
  • 医師とディスカッションができる

石橋理津子
社会医療法人天神会新古賀クリニック糖尿病センター内創傷外来 看護師長

石原康裕
社会医療法人天神会新古賀クリニック 形成外科 部長

 

〈目次〉

 

はじめに

平成20年に糖尿病重症化予防加算が実施され,糖尿病患者を対象としたフットケア外来を設置する施設が増加しています。これは糖尿病患者のフットチェック・フットケア・患者指導を行い,糖尿病性足病変による下肢切断を予防しようという取り組みです。

当院(社会医療法人天神会新古賀クリニック)では平成18年よりフットケア外来(通称,足外来; 以下,足外来)を設置しています。当院がめざしている足外来は,糖尿病患者のみでなく足に問題のある患者すべてを対象とした下肢救済です。

予防的フットケアのみ実施している施設でも,必ず「傷」と遭遇します。このときの初期判断,初期対応によって,下肢救済が大きく左右されることを知っておきましょう。

 

足病変は糖尿病だけではない

足病変とは,糖尿病性足病変・末梢動脈疾患・静脈系疾患・リンパ系・巻き・胼胝・外反母趾,さらには膠原病二分脊椎など多岐にわたります(図1)。

 

図1いろいろな足病変

 

これらに挙げた疾患は,診療科がまったく違います。必ずしも担当医師が足病変のすべてを網羅しているわけではありません。

足を診ている看護師が,足に特化したさまざまな疾患を理解しておく必要があります。糖尿病患者を対象とする予防的フットケア外来であっても,静脈瘤やリンパ浮腫などの疾患をもっている患者が受診する可能性はあります。

また,足の壊疽でも,糖尿病による感染性壊疽と下肢の血流障害による壊疽では治療が異なります。コンサルト先を誤ると治療が遅れてしまい,救肢ができなくなるおそれもあります。

 

下肢の血流評価は必須

足外来に患者が受診した際,下肢の血流評価は必須です。視診・触診で容易に評価することが可能です。視診で足の色を,触診で冷感の有無をみていきます。

このとき左右差があるかを評価するため,両側の足を揃えて出してもらいます。下肢の動脈は足背動脈・後脛骨動脈・膝窩動脈の触知を必ず行います(図2)。

図2足背動脈触知

 

この段階で下肢の血流障害の有無を判断することができます。看護師が評価した結果を医師へ報告すれば,足関節上腕血圧比(ankle brachial index;ABI)測定・下肢動脈エコー・下肢3D-CTなどの下肢の非侵襲的検査を医師が必要かどうか判断することができ,外来診療がスムーズとなります(図3)。

図3ドップラー

 

また,検査結果を看護師レベルで評価できることも,足外来看護師としては必要です。足の創傷がある場合,皮膚組織灌流圧(skin perfusion pressure;SPP)検査は必要です(図4)。

図4皮膚組織灌流圧検査

 

今ある傷が治癒に向かうだけの血流があるかの判断が容易にできます。血行再建を行えば必ずしも創が治癒するとはいえません。このような非侵襲的な検査を駆使し,いかに判断するかといったところも,足外来の看護師には求められると思います。

 

足病変治療過程をどう選択するか

予防的フットケア外来においても,治療が必要となるケースに遭遇する可能性は多いにあります。

足病変治療は,血行再建,感染コントロール,創傷管理,足の除圧やフットウェア(図5)などさまざまであり,どの治療が必要なのか判断できれば適切な診療科へのコンサルトが可能です。

図5フットウェア

 

また,患者本人の歩容や関節可動域制限が疾患に関与しているケースも多々あります。理学療法士の介入によって,歩くことでできる足病変の予防につながります(図6)。

図6理学療法士

 

さらに創傷管理においては,傷の局所安静を保ちつつ下肢の筋力を保持しながら治癒をめざすことが可能となります。

足病変治療がスムーズに進むかどうか,そのときに関わった看護師のアセスメント能力・ゲートキーパー能力によって大きく左右される,といっても過言ではありません。

 

足の傷は血流がなければ治らない

足に傷ができた場合,下肢の血流がなければ創傷治癒に向かいません。そのため創傷管理も,血流や感染の有無を判断して行う必要があります。

軟膏や被覆材も,血流の有無によって使い分ける必要があります。虚血肢の場合,膝下3分枝の血管は血行再建を行っても再狭窄率が高いといわれています。

創傷治癒が遷延した場合は再度,血流評価を行う必要性があります。

 

足病変と戦うためのチームが必要

足病変は,医師の判断を待っていては手遅れとなるケースも時としてあります。この背景には,国内には足病専門医は存在しないということ,さまざまな診療科に属する医師が足病変患者の診療および治療を行っているといった実情があります。

今でこそ下肢救済に賛同し,足病変治療に取り組む医師も増えてきましたが,全国的にみればまだ一部です。足がわるく歩行ができない患者が,足を救ってほしい一心で,他県にまで治療を受けに行くといったケースもあります。

地域でのフットケア連携が可能となれば,足がわるい患者が遠方にまで治療のために受診に行くこともなくなるでしょう。患者が初めに受診すると思われる施設において適切な判断を行い,各々の診療科へスムーズにコンサルトを行うこと,また治療過程には理学療法士や義肢装具士の介入も必要です。

いかにチーム医療を構築し,予防と治療の双方をあわせもったフットケア外来を作り上げていくか,マネージメント能力も発揮できるのが,このフットケア外来ではないかと思います。

 

おわりに

フットケア外来=看護外来として,糖尿病患者の足を守るための爪切り・角質ケア・セルフケア指導・患者教育が主に実施されているところが多いかと思います。予防的フットケアは重要であり,糖尿病患者の下肢切断には効果的です。

しかし,予防的フットケア外来でも,治療を必要とする患者が受診することも考えられます。そのときのアセスメント能力と治療マネージメント能力が患者の足を救えるかどうかを左右することを,フットケア外来看護師は自覚しておくべきでしょう。

 

コラム:足外来医師よりフットケア外来看護師へ

虚血や潰瘍,感染など,足病変において医師による治療が必要な状態となった患者を,「黄」,「赤」の状態と定義します。

医師が頭も体もフル回転でがんばらなくてはならない状態です。そうすると,治療がうまく経過し危機を脱した患者や,足部の異常を心配し受診したものの,幸い症状が軽度な患者は「青」となり,定期的なフットケアの継続で様子をみることができる状態となるわけです。

しかし,

  1. 糖尿病足病変で一度ハイリスクとなった患者は,一生ハイリスク状態が持続し,卒業にはほとんどなりえないこと
  2. 「青」の患者が,少し生活で無理をした2 日後には「赤」の状態になっていることも珍しくなく,急速に,容易に状態が推移すること
  3. 新規紹介の重篤な患者の割合と同じかそれ以上に,フットケア外来に通っていたよく知っている患者が増悪,治療を要する状態となって入院するケースが多いことなどの特徴があること

を,看護師にもよく理解していただきたいと思います。

フットケア外来は,透析の前後など患者の都合に合わせることも多く,必ずしも医師にすぐ相談できる環境ではないかもしれませんが,患者の足から「何か今までと違う不穏な予兆」を感じたら,先送りにせず,電話で医師に相談,次回受診日を早める,荷重の制限を勧めるなど,できるだけ迅速な対応をしてほしいと思います。

私自身も何度も看護師の「経験に基づく第6感」に救われた患者を経験しています。「黄信号点滅」を拾い,医師への相談の壁や自信のなさの壁を越えて,積極的に報告をあげてくれる看護師には,とくに信頼を寄せています。

 

石原康裕

 


[Profile]
石橋理津子(いしばし りつこ)
社会医療法人天神会新古賀クリニック糖尿病センター内創傷外来看護師長
日本フットケア学会評議員,日本フットケア学会認定フットケア指導士,日本下肢救済・足病学会 評議員,日本下肢救済・足病学会足病認定師,日本褥瘡学会 認定看護師,日本静脈学会認定 弾性ストッキングコンダクター。

石原康裕(いしはら やすひろ)
社会医療法人天神会新古賀クリニック形成外科部長,足専門外来担当医
日本形成外科学会認定医。

 

*略歴は掲載時のものです。


本記事は株式会社医学出版の提供により掲載しています。/著作権所有 (C) 2016 医学出版
[出典]WOC Nursing2016年7月号※リンク先確認

WOC Nursing2016年7月号

P.13~「フットケア外来の役割」

著作権について

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  • 3.一包化した処方薬ごとに、患者さん自身で、内服する日にちと曜日を書き入れてもらい、配薬カレンダーに入れるように指導した。訪問看護師は、訪問時に配薬カレンダーを確認して正しく内服しているか確認した。
  • 4.訪問看護師が薬の袋に内服する時間を記入した。患者さん自身でその都度、ヒートのままの数種類の薬を取り出し、内服するように指導した。訪問看護師は、訪問時に残薬数の確認をして正しく内服できているか確認した。
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