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2017年01月15日

めまいに関するQ&A

症状に関するQ&A

『看護のための症状Q&Aガイドブック』より転載。

今回は「めまい」に関するQ&Aです。

岡田 忍
千葉大学大学院看護学研究科教授

 

めまいの患者からの訴え

  • めまいがします」
  • 「くらくらします」
  • 「目が回ります」
  • 「ふわふわします」

 

〈めまいに関連する症状〉

めまいに関連する症状

 

〈目次〉

 

めまいって何ですか?

実際に身体が動いているわけではないのに、身体やまわりの景色がぐるぐる回っている、もしくはふわふわ宙に浮いているみたい。このような「身体の位置やバランスの異常感覚」を主とする自覚的な症状が、めまいです。

 

めまいはなぜ起こるの?

めまいの原因を理解するためには、「なぜ、普段はめまいが起こらないか」を考えるのが近道です。

では、ちょっとその場に直立してみてください。それから、ゆっくりと身体を斜めに倒してみましょう。倒れないようにちゃんと必要な筋肉が収縮して姿勢を保ってくれますね。これは、バランスを保つ仕組みが正常に働いているからです。

 

なぜ身体のバランスを保てるの?

身体には、自分の身体がどのような向きにあるのかを認識し、それに合わせて姿勢や目の位置を調節する機能、つまり平衡(へいこう)機能があります。

めまいは、この平衡機能に障害が生じると現れる異常感覚といえます。

 

平衡機能には身体のどの器官が関係しているの?

平衡機能に関係しているのは、の中にある、前庭器官というところです。耳は音を聞き取る聴覚だけでなく、身体のバランスを感じ取る平衡感覚という2つの感覚機能を備えた器官です。

耳は、外耳、中耳、内耳の3つの部分に分けられます。このうち平衡感覚に関係するのは、内耳にある前庭(ぜんてい)器官です(図1)。

 

図1耳の構造

耳の構造

 

めまいのメカニズムは?

まず図2を見てください。

図2内耳の構造

内耳の構造

 

内耳は、カタツムリに似た形をしている蝸牛(かぎゅう/聴覚に関係する)と前庭器官が作る、管構造になっています。

前庭器官はさらに、頭の回転運動を感じる半規管(はんきかん)と、直線運動や重力、遠心力を感じる前庭器(耳石器/じせきき)に分けられます。

これらの管の中は、リンパ液で満たされています。身体が動いたり、傾いたりすると、管内のリンパ液も動きます。この動きが、前庭神経を経由して小脳や大脳などに伝えられ、「身体の動きや向きに応じた姿勢を取るように」と司令が出ます。

これらの過程のどこかに破綻が起こると、身体のバランスをうまく調整することができなくなり、めまいが生じます。

 

めまいを起こす疾患は?

めまいを起こす代表的な疾患として知られるのがメニエール病です。

このほか、前庭神経炎や良性発作性頭位目眩(めまい)症、小脳・脳幹・脳神経の障害によるものなどがあります。

 

めまいの種類と特徴は?

めまいの種類は、大きく4つに分類することができます。

①回転性めまい 自分自身や周囲が回転するように感じます。「くるくる回る」「ぐるぐる回転する」「揺れる」などと表現されます。
②非回転性(浮動性)めまい 脳幹や小脳に虚血が起こることによって起きます。「ふらふらする」「ふわふわする」「酔ったよう」などと表現されます。
③漠然としためまい 情緒障害、不安症候群、うつ病などによって起きます。「頭がふらふらする」「目がくらむ」「倒れそう」などと表現されます。
④失神、前失神

「立ちくらみ」「気が遠くなる感じ」と表現されます。冷汗、悪心、不安感、一過性の視力喪失などを伴います。

 

図3めまいの種類

めまいの種類

 

メニエール病のめまいのメカニズムは?

メニエール病とは、反復するめまい発作と難聴・耳鳴(じめい)を主な症状とする疾患です。

その原因はわからないことも多いのですが、自律神経障害やストレス、内耳の循環障害により、リンパ液が過剰に溜まってしまうこと(内リンパ水腫/すいしゅ)から生じるとされています。

その結果、身体が傾いていないにもかかわらず、「傾いている」という誤った情報が脳に送られ、めまいの原因になります。

 

前庭神経炎で起こるめまいはどんなもの?

前庭神経炎は、平衡感覚を伝える役目をしている前庭神経に、何らかの原因で炎症が起きるものです。突然ぐるぐる回るような、回転性の激しいめまいが出現します。

 

良性発作性頭位目眩症のめまいは?

良性発作性頭位目眩症のめまいは、寝返りを打つ、起き上がるなどの動作で、頭を特定の方向に急に動かすと起こるめまいです。原因はよくわかっていませんが、前庭器(耳石器)の耳石の異常が関係するといわれています。

耳石は感覚細胞の上に乗っている小さな石で、身体が動くとこの石も動き、この動きが脳に伝えられます。このめまいは一過性のもので、2〜3週間すれば元に戻るとされています。

 

小脳や脳幹の異常が疑われるめまいは?

「ふらふらする」「ふわふわする」などの特徴を伴うめまいの時は、内耳ではなく小脳や脳幹の異常が疑われます。

例えば、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍によって脳幹がダメージを受けると、「身体が傾いている」という情報は届いても、身体の平衡を保つために姿勢や目の動きを調整することができないため、バランスを保てずにめまいが生じます。

 

立ちくらみのメカニズムは?

視細胞が受け取った光の刺激を視覚として感じる部分は、脳の後頭葉にあります。そこに血液を送る椎骨動脈の血流量が減ると、この部分の機能が停止して目の前が真っ暗になることがあります。

例えば、急に立ち上がった時に立ちくらみがする場合があげられます。座位や臥位では、重力に抗して高い位置まで血液を送る必要がないため、心臓はゆっくりと収縮しています。しかし、突然立ち上がると、心臓の収縮力が追いつかず、結果として脳に十分に血が行きわたらなくなってしまいます。

 

めまいの観察のポイントは?

まずは、めまいの特徴を把握します。

「ぐるぐる」「ふらふら」「立ちくらみ」など、回転性・非回転性などのいずれに当たるのか、タイプを識別することが大切です。それによって、めまいの原因を推測し、脳血管障害のよう に緊急を要するものかどうかを見分けます。

また、めまいの程度、起こり方、経過、目や耳の異常の有無など、めまい以外の症状はないかを注意深く聞きます。めまい以外の症状については、めまいの発生と関係がないかをチェックします。

平衡感覚に異常がないかどうかは、平衡機能検査(用語解説)によって知ることができます。平衡感覚が乱れると、眼振といって、眼球が特定の方向に行ったり来たりする動きを繰り返すことがあります。眼振の有無から、逆に平衡感覚に異常がないかを推測することもできます。

 

用語解説平衡機能検査

平衡機能の検査には、足踏み検査などの体平衡検査、眼運動検査、特殊平衡検査があります。

なかでも眼運動検査は、簡単で有効な検査なのでよく用いられます。代表的なものは、注視眼振検査と温度性眼振検査です。

注視眼振検査では、座位または仰臥位で前や上下左右をまっすぐ見つめてもらい、眼振の有無と性状を観察します。

温度性眼振検査では、44℃の温水と30℃の冷水をそれぞれ外耳道に注入し、左右の眼振の誘発の程度、持続を比較することにより、迷路の機能を評価します。

 

めまいのケアは?

めまいのケアでは、安静を保つことが第一です。音や光、振動はめまいや耳鳴りを増強します。照明を抑えた静かな部屋で、安楽な姿勢で心身の安静を図れるように環境を整えます。

めまいがあると、日常動作にも影響を及ぼすので、必要に応じて介助します。患者の動くペースに合わせ、せかしたり、焦らせたりすることがないように配慮します。

また、ベッドから起き上がる時には、一気に立ち上がらずにゆっくりと起きてもらうようにし、転倒を防ぎましょう。

難聴や耳鳴があり、言語によるコミュニケーションがうまくとれない時は、筆談など可能な方法を取り入れましょう。

 

コラム『メニエール病の症状・治療』

メニエール病では、突然起こるめまい発作と、めまい発作の反復に並行して次第に悪化する難聴・耳鳴りがみられます。

メニエール病の治療は、まず、めまい発作を防ぐことが重要です。ストレス・過労を避け、規則正しい生活を心がけます。気圧の変化に敏感なので、飛行機に乗ったりすると発作が起こる場合があります。

めまい発作時には、安静にするとともに、嘔吐などの症状に対して制吐薬の投与などの対症療法を行います。嘔気・嘔吐が強いと食事が取れない場合もあるので、栄養の補給も必要です。

再発を繰り返す症例に対しては、内リンパ嚢(のう)を切開してリンパ水腫を軽減するなどの手術が行われることがあります。

 

⇒〔症状に関するQ&A一覧〕を見る


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『看護のための 症状Q&Aガイドブック』 (監修)岡田忍/2016年3月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

この連載

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