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2017年07月05日

大動脈瘤に関するQ&A

疾患に関するQ&A

『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』より転載。

今回は「大動脈瘤」に関するQ&Aです。

〈目次〉

 

大動脈瘤ってどんな病気?

大動脈瘤とは、大動脈壁の病変によって血管が拡張し、瘤状になった病態です。動脈瘤が大きくなるほど血管壁への圧力が増加し、破裂の危険性が高くなります。破裂すると大出血を起こし、生命に危険が及びます。

 

なぜ動脈瘤ができるの?

動脈瘤のおもな原因は動脈硬化です。動脈硬化によって大動脈の内膜が弱くなり、そのために内圧に負けて血管が拡張したり瘤状になったりします。また、高血圧も大きな誘因になります。

 

大動脈瘤はどのように分類されるの?

大動脈瘤は、発生部位によって、胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤に分類されます。最も多いのは腹部大動脈瘤で、腎動脈分岐部より下部に発生することが多いです。

また、動脈瘤の構造によって、真性動脈瘤、仮性動脈瘤、解離性動脈瘤に分類されます(図1)。

図1動脈瘤の構造による分類

動脈瘤の構造による分類

(風岡たま代:大動脈瘤。長谷川雅美、林優子:疾患と看護過程実践ガイド。改訂版、p. 32 、医学芸術社、2007より改変)

 

真性動脈瘤は、動脈壁を構成する内膜・中膜・外膜の3層が揃って拡張し、動脈瘤が形成されたものです。

一方、仮性動脈瘤は、動脈壁の一部が裂け、そこから流出した血液が血腫(けっしゅ)を形成したものです。

解離性動脈瘤は、動脈壁に亀裂(エントリー:入口部)が生じ、そこから血液が流入して内膜が二層化した状態です。エントリーによって生じた偽腔(ぎくう)の外側は膜が薄いため、解離性動脈瘤は破裂を起こしやすい病態です。

 

大動脈瘤ではどんな症状が出現するの?

大動脈瘤は、破裂前は、ほとんどの場合が無症状です。胸部大動脈瘤においては、動脈瘤が反回神経を圧迫していれば嗄声が、気道を圧迫していれば呼吸困難が、食道を圧迫していれば嚥下障害を生じることがあります。腹部大動脈瘤では、腹痛や腰痛が起こることがあります。

大動脈瘤が破裂すると、激しい痛みが生じます。胸部大動脈瘤では胸痛、腹部大動脈瘤では腹痛や腰背部痛です。また、出血性ショックを生じることがあります。

 

大動脈瘤はどんな検査で診断するの?

大動脈瘤の診断は、各種画像検査(X線撮影、超音波検査、CT・MRI検査など)や血管造影検査などを行い、下します。

X線撮影と超音波検査では、大動脈瘤の部位や大きさなどを知ることができ、CT検査とMRI検査では、より精密に部位や大きさを把握できます。血管造影検査は、動脈に挿入したカテーテルから造影剤を流す検査で、血管の内腔が鮮明に描出されます。このような検査の結果をもとに診断が下されます。

 

大動脈瘤にはどんな治療法があるの?

大動脈瘤の治療法には、内科的治療と外科的治療があります。

根治的な治療は外科的治療ですが、動脈瘤が小さく、破裂の危険性が低い場合や、症状がない場合などは、内科的治療を行いながら経過を観察することがあります。内科的治療とは、薬剤による血圧コントロールや動脈硬化の進展の予防などです。

外科的治療には、手術と血管内治療があり、一般的には動脈瘤の最大径が5cm以上のものが適応となります。

図2大動脈瘤の外科的治療

大動脈瘤の外科的治療

(池田京子、小池武嗣:解離性大動脈。疾患別看護過程セミナー。統合改訂版、 p. 163、医学芸術社、2006より改変)

 

手術は、動脈瘤が形成されている部分の大動脈を切除し、人工血管に置き換える人工血管置換術で、全身麻酔下で行われます。血管内治療は、大腿動脈からカテーテルとともに折りたたんだ人工血管〔ステントグラフト(金属製の筒)〕を挿入し、動脈瘤の部分で人工血管を広げます。人工血管によって、動脈瘤への血流の侵入が阻害され、動脈瘤の増大や破裂を防ぐことができます。

大動脈瘤が破裂した場合は、緊急手術になります。

 

大動脈瘤の看護のポイントは?

大動脈瘤の内科的治療を行う場合は、服薬指導や生活指導がポイントになります。薬をきちんと服薬するように、また、動脈硬化を進展させないように、食事指導、運動指導、禁煙指導などを行います。

大動脈瘤の外科的治療を行う場合は、まず、手術や術後の生活に対する不安を解消します。術後は合併症の出現に注意するとともに、身体的・精神的苦痛を緩和します。手術が成功しても、動脈硬化や高血圧などの危険因子を是正するために、退院前には生活指導を行いましょう。

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典]『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』(監修)山田 幸宏/2016年2月刊行

看護のための病気のなぜ?ガイドブック

 引用・参考文献

著作権について

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