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2017年01月12日

血小板数(platelet、PLT)の読み方|「全身状態の経過」を 読む検査

『エキスパートナース』2015年10月号より転載。
血小板数(platelet、PLT)の読み方について解説します。

血小板数の基準範囲

  • 158-348×103/μL

低下↓に注意
上昇↑にも注意

血小板数はどんなときに見る?

  • 血管内凝固の検索

DIC、敗血症、血栓症、塞栓症など

  • 血小板産生低下が起こりうる場合

白血病、肝疾患、放射線照射、化学療法、ウイルス感染

井出裕一郎
(信州大学医学部附属病院臨床検査部)

〈目次〉

 

血小板とは、血小板数の読み方

血小板は、止血という生体にとって欠くことのできない機能の一端を担っています。止血には血小板と凝固因子が関与し、血管の傷害部位に作用して血栓を形成します。

血小板数が低下した状態では出血傾向と考えられ、皮下出血や内臓出血をきたしたり、出血時に止血機構が正常に機能しなかったりと、大変危険な状態であることを意味します。特に血栓形成による血小板数低下は、肺塞栓症(PE)をはじめとする血栓症や播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation、DIC)のような重篤な疾患を示唆する所見となるため、常に注意を向けておく必要があります。

memo血小板数が著明に上昇する疾患

血小板数が著明に上昇する疾患としては主に以下の3つが挙げられる
・慢性骨髄性白血病、真性多血症:白血球数や赤血球数に付随する形で血小板数も増加する
・本態性血小板血症:血小板数のみが上昇する

 

血小板数は、骨髄で産生され血管内に供給される数と、血管内で消費または血管外に出ていく数のバランスによって決まります。

血小板数減少が生じた場合、骨髄の異常による産生低下が原因となる場合と、血管内での消費・破壊の増大が原因となる場合の2通りを考える必要があります。

血小板数の読み方

手順1|血小板数低値の原因を絞り込む(消費↑or産生↓)

1消費・破壊の増大は、さまざまな要因を想定しておく

血小板消費や破壊増大に伴う血小板数低下にはさまざまな要因があります(図1)。血小板数が低下している原因が何なのかを、他の検査項目から推測します。

図1血小板数減少をきたす疾患

血小板数減少をきたす疾患

血小板数減少をきたす疾患

文献1を参考に作成)

2産生の低下=骨髄に関連する疾患の有無を検討する

骨髄での血小板産生低下は、白血病、悪性リンパ腫、がんの骨髄浸潤などの骨髄占拠性病変、再生不良性貧血や骨髄異形性症候群などの造血幹細胞傷害性疾患、放射線照射や抗がん剤投与といった外的要因による産生低下など、原因が明確な場合が多くを占めます。

白血病、悪性リンパ腫、がんの骨髄浸潤など、悪性細胞が骨髄中に存在する場合は、骨髄の機能が低下するため、骨髄中での巨核球産生が減少し、末梢血中の血小板数が低下します。

このような骨髄占拠性病変の有無は末梢血血液像や骨髄像で評価します。骨髄像における悪性細胞の割合の増加、巨核球数の低下や形態異常の有無から疾患が鑑別されます。

これらの疾患と診断されている患者の血小板数を見ていく際、注意すべき点は、治療によっても血小板数が減少するという点です。白血病や悪性リンパ腫の治療に用いられる抗がん剤や放射線治療の影響で骨髄の機能が低下すると、血小板をはじめ骨髄で産生される血球の産生が低下します。

疾患の特徴と、現在どのような治療が行われているのかを念頭に置きつつ検査データを見ると、より患者の状態を理解しやすくなります。

 

手順2|凝固検査にも注目する(敗血症、DICの可能性を検討)

DICのような重篤な病態であるかどうかを評価する

血小板の消費による血小板減少として、最も頻度が高いのがDICです(2)

DICはさまざまな基礎疾患の存在下に、全身性持続性の著しい凝固活性化をきたし、微小血管内に微小血栓が多発する重篤な病態です。

なお、DICを誘発しうる疾患としては、急性白血病、固形がん、敗血症等が挙げられます(3)。ただし、敗血症はそれ自体が血栓傾向を示す状態です(前DIC状態)。

 

フィブリノゲンの減少をチェック

血小板数は、出血などの局所的な血管障害でも減少しますが、DICでは血小板に加え、凝固因子も消費されます。特にフィブリノゲンは血液凝固第Ⅰ因子で、血小板同様、止血のための重要な要素の1つです。したがって、凝固活性が亢進し、血小板が消費されるDICのような病態では、フィブリノゲンも同様に消費が亢進します(表1-①)。

表1PLTとあわせて見たい検査値

PLTとあわせて見たい検査値

 

ただし、フィブリノゲンは肝臓で合成されるタンパク質であるため、重症肝障害(劇症肝炎、肝硬変など)や極度の低栄養状態など、産生が低下する病態でも低下します。これらが否定できれば、減少する原因はDICなどによる消費亢進と考えられます。

 

PTの延長をチェック

血栓傾向であれば、フィブリノゲン以外の凝固因子も消費が増大し、PTは延長します(表1-②)。さらに線溶系の亢進を伴うこともあるので、Dダイマーの値にも注目するとよいでしょう(表1-③)。

 

手順3|全身状態を見るため、他の検査値を併用しながら、検査値の推移を見ていく

1全身状態の経過を、血小板数の推移でリアルタイムにつかむ

血小板の消費亢進は、全身性または局所的な血管内炎症の存在を意味し、特にDICや敗血症といったに血管内凝固が亢進する重篤な病態では、病態に伴い血小板が消費され、血小板数は低下します。

逆に、基準値以下であった血小板数が増加に転減少させる原因が消失し、回復に向かっていることを意味します。

このように、血小板数は重症患者の全身状態をリアルタイムに見抜く(評価する)検査項目とのです。

ただし、血小板の減少は必ずしも全身状態の意味しないことがあります。出血などの局所病血小板の消費亢進により血小板数が減少するのが必要です。

 

2数日~数週間単位の変化は、アルブミンにも現れる

また、全身状態の経過の評価においては、血小板に加えてアルブミン(ALB)にも注目します。アルブミンは肝臓で合成されるタンパク質で、一般的には栄養状態の指標として利用されることが多いですが、アルブミン低下はあらゆる病態で引き起こされ、全身状態の悪化を反映します(アルブミン参照)。

逆に、低値であったアルブミンが上昇すれば、回復傾向にあることを示します。ただし、アルブミンは血管外プールとして蓄えられているぶんも存在するため、短期間の合成低下では血中濃度にはほとんど影響がありません。また、体内水分量にも大きく左右されるため、数日~数週間単位の経時的変化で判断する必要があります。


[引用文献]

  • (1)本田孝行:ワンランク上の検査値の読み方・考え方─ルーチン検査から病態変化を見抜く─.救急・集中治療2012;23(11-12):1625-1636.
  • (2)尾崎由基男:血栓症の臨床─研修医のためにⅤ1.血小板数の低下する疾患・病態の鑑別.血栓止血誌2008;19(4):447-450.
  • (3)朝倉英策:臨床に直結する血栓止血学.中外医学社,東京,2013:168-178.

[Profile]
井出裕一郎
信州大学医学部附属病院臨床検査部
いで・ゆういちろう:東京医科歯科大学医学部保健衛生学科検査技術学専攻卒業。2011年、信州大学医学部附属病院臨床検査部就職。

*略歴は掲載時のものです。


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有©2015照林社
[出典]エキスパートナース2015年10月号

エキスパートナース2015年10月号

P.26~「血小板数」

著作権について

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