1. 看護roo!>
  2. 看護・ケア>
  3. “コレ何だっけ?”な医療コトバ/エキスパートナース>
  4. 酸塩基平衡|“コレ何だっけ?”な医療コトバ

2016年11月24日

酸塩基平衡|“コレ何だっけ?”な医療コトバ

『エキスパートナース』2015年4月号より転載。
酸塩基平衡について解説します。

酸塩基平衡とは・・・

  • 換気能低下、腎機能低下でよく聞くコトバ
  • 血液ガス分析により確定されるが、リスクのある疾患では呼吸数や意識レベルに注意

島惇
(自治医科大学医学部 麻酔科学・集中治療医学講座)

布宮伸
(自治医科大学医学部 麻酔科学・集中治療医学講座 教授)

 

〈目次〉

 

酸塩基平衡とは?

酸塩基平衡とは、体内での酸と塩基のバランスを指し、主に肺と腎臓で調節されます。

動脈血液ガス分析のデータから判断します。

酸塩基平衡

 

酸塩基平衡のメカニズム

生体内では絶えず栄養素の代謝が行われ、その結果、酸が産生されています。産生される酸は「揮発酸」と「不揮発酸」に分けられます。

揮発酸は二酸化炭素であり、肺から呼吸により体外に排出されます。また不揮発酸には乳酸やリン酸、アセト酢酸があり、腎臓から尿として排出されます。このように体内で産生された酸を肺や腎臓を介して体外へ排出することで、体内のpHは適正に保たれます。

しかし病的状態に陥ると酸塩基平衡が崩れ、それを肺や腎臓により適切なpHになるように調節する機構、すなわち「代償機構」がはたらくようになります。このような酸塩基平衡の障害やその代償は4つに分類され、以下のように呼ばれます。

  1. 呼吸性アシドーシス
  2. 呼吸性アルカローシス
  3. 代謝性アシドーシス
  4. 代謝性アルカローシス

ここで注意したいのは、アシドーシス、アルカローシスという言葉は、体内の酸と塩基のバランスを“酸性側に傾ける”“塩基(アルカリ)性側に傾ける”という方向を表しているもの(図1-①)であり、動脈血液ガス分析のpHの値が酸性かアルカリ性かを指す言葉ではありません。動脈血液ガス分析のpHが酸性の場合(pH<7.35)はアシデミア、アルカリ性の場合(pH>7.45)はアルカレミアと呼び方が異なるので(図1-②)、間違えないようにしてください。

図1酸塩基平衡

酸塩基平衡

文献1より引用)

 

言葉の定義を理解したら、実際に動脈血液ガス分析の結果を解釈するのですが、アシドーシス、アルカローシスを判断するにはさまざまな計算式が必要であり、解説は成書に譲ることとします。

 

酸塩基平衡が崩れるとどんな症状が出る?

体内の酸塩基平衡が崩れると全身の臓器が障害され、さまざまな症状が出現します。

アシデミアが進行すると、意識障害頻呼吸、肺水腫、不整脈、心収縮能の低下など、中枢神経、肺、心臓の症状が現れます。そのほかにも、悪心・嘔吐など消化器症状や腎機能障害をきたすこともあります。

アルカレミアが進行すると、低カルシウム血症となり、頭痛傾眠、痙攣発作などの症状が出現します。また、低カリウム血症もきたし、脱力や不整脈といった症状が現れます。

 

酸塩基平衡について知りたいポイント

酸塩基平衡が崩れる疾患を覚えよう

アシドーシス、アルカローシスをきたす代表的な疾患を表1に挙げました。

表1アシドーシス・アルカローシスをきたす疾患

アシドーシス・アルカローシスをきたす疾患

 

では臨床ではどのような例があるか考えてみます。

ここに敗血症の患者がいるとします。

敗血症では末梢循環不全により嫌気性代謝が亢進し、不揮発酸である乳酸の産生が増加します。またさまざまな臓器障害を起こし、その1つとして腎機能障害を認め、不揮発酸の排出が低下するかもしれません。

この結果、体内に不揮発酸が蓄積し、代謝性アシドーシスとなります。そして、代謝性アシドーシスを代償する機構がはたらかなければ、pHはどんどんアシデミアに傾いてしまいます。

そこで、呼吸回数を増やすことで、CO2の体外への排出を増やし、呼吸性アルカローシスにより代償します。

図2敗血症での酸塩基平衡の例

 

敗血症での酸塩基平衡の例

このように、肺や腎臓が補い合いながら体内のpHを適正に保つようにはたらいています。

 

これらの疾患では臨床症状も観察

酸塩基平衡は動脈血液ガス分析で評価しますが、どのようなときに検査を行えばよいのでしょうか。

前述したように、酸塩基平衡が崩れると全身のさまざまな臓器で症状が出現します。特にアシデミア・アルカレミアに共通する、意識障害に早期に気づくことでさらなる重篤化を防ぐことができます。

また、酸塩基平衡が崩れると電解質異常をきたします。アシデミアでは高カリウム血症、アルカレミアでは低カルシウム血症となるため、ふだん行う血液検査でこれらK、Caなどの値に注意を払う必要があります。

 

酸塩基平衡の崩れにどう対応する?

原疾患の治療+呼吸管理や血液透析を

では、酸塩基平衡が崩れたときには、どのように治療を行えばよいでしょうか。

まず最も大切なのは原疾患の治療です。しかし、原疾患の治療のみではアシデミア・アルカレミアの進行を防げないこともしばしばあります。

そのような場合には、肺や腎臓の代わりとなる治療が必要になります。

肺を補助する治療としては、NPPVや挿管による人工呼吸管理があります。腎臓を補助する治療としては、血液透析やCRRT(continuous renal replacement therapy、持続緩徐式血液濾過)などの腎代替療法があります。

しかし、pHが正常範囲内であれば、COやHCO-が異常値であったとしても、必ずしもこれらの治療は必要ありません。また、患者の状態によってはpHが7.2程度までならアシデミアを許容することもあります。

 


[引用文献]

  • (1)布宮伸:よくわかる!人工呼吸管理.メヂカルフレンド社,東京,2007:11.

[参考文献]

  • (1)清水敬樹編:ICU実践ハンドブック-病態ごとの治療・管理の進め方.羊土社,東京,2009:20-23.

[Profile]
島惇
自治医科大学医学部 麻酔科学・集中治療医学講座

布宮伸
自治医科大学医学部 麻酔科学・集中治療医学講座 教授

*略歴は掲載時のものです。


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有©2015照林社

P.40~「酸塩基平衡」

[出典] 『エキスパートナース』 2015年4月号/ 照林社

著作権について

この連載

関連記事

いちおし記事

「急性期ベッドが減る」って本当に本当なの?|看護roo!ニュース

次の改定、7対1看護の条件がさらに厳しくなるかも!?なぜかというと… [ 記事を読む ]

与薬原則の6つのR、言える?

与薬のミスを防ぐために…! [ 記事を読む ]

人気トピック

もっと見る

看護師みんなのアンケート

看護師のお給料って安くないですか?

投票数:
1290
実施期間:
2019年06月28日 2019年07月19日

看護へのやる気がなくなったこと、ある?

投票数:
1198
実施期間:
2019年07月02日 2019年07月23日

「今年の夏こそ◯◯するぞ!」ナースの主張

投票数:
1095
実施期間:
2019年07月05日 2019年07月26日

こんなのあったらいいな「ナースのヒミツ道具」大募集!

投票数:
1001
実施期間:
2019年07月09日 2019年07月30日

疾患を見ると感じる季節は?

投票数:
924
実施期間:
2019年07月12日 2019年08月02日

残業代がきちんと出るなら残業したい?

投票数:
648
実施期間:
2019年07月16日 2019年08月06日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者5008

以下の中で、羊水過多の原因はどれでしょうか?

  • 1.妊娠糖尿病
  • 2.妊娠高血圧症候群
  • 3.Potter症候群
  • 4.胎児機能不全
今日のクイズに挑戦!