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2017年06月07日

不整脈に関するQ&A

疾患に関するQ&A

『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』より転載。

今回は「不整脈」に関するQ&Aです。

〈目次〉

 

不整脈ってどんな病気?

人間の心臓は、健康時には1分間に60回〜80回、同じリズムで規則正しく収縮・弛緩を繰り返しています(正常洞調律)。そのリズムが早くなったり、遅くなったり、乱れたりする状態が不整脈です。

心臓が収縮するのは、洞房結節という部位が、自動的に規則正しく刺激(インパルス)を発生させ、その刺激が瞬時に心臓全体に伝わるからです。

洞房結節で発生した刺激は、心房内伝導路を経て左右の心房に伝わり、まず心房を収縮させます。その後、房室結節に伝わり、ヒス束、左脚と右脚に分かれ、さらにプルキンエ線維へと一気に伝わり、左右の心室がほぼ同時に収縮します。

刺激が伝わる経路を整理すると、洞房結節→房室結節→ヒス束→左・右脚→プルキンエ線維となり、この経路を刺激伝導系といいます(図1図2)。刺激伝導系は神経線維ではなく、刺激をすばやく伝えられる特殊な心筋線維でできています。

 

図1刺激伝導系

刺激伝導系

 

図2刺激の伝導

刺激の伝導

 

なぜ不整脈が起こるの?

不整脈のおもな原因は遺伝的素因や心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心不全)です。また、健康な人であっても、疲れが溜まっていたり、アルコールの飲み過ぎ、ストレスなどで起こることがあります。

 

不整脈だとどんな症状が出現するの?

不整脈の代表的な自覚症状は動悸です。動悸とは、心臓の拍動をドキドキと自分で感じることをいいます。動悸は、拍動が早くなったときと乱れたときに生じ、正常な状態では生じません。胸がモヤモヤした感じがするといった、胸部の不快感を感じることもあります。

また、不整脈に伴い失神や意識消失が出現することがあります。不整脈により、血液の拍出量が減少したり一時的に拍出されないと、脳が虚血状態になることが原因です。脳は非常に多くの酸素を必要とする臓器なので、わずかな虚血でも失神や意識消失が現れます。

 

不整脈にはどんな種類があるの?

不整脈には大きく、刺激興奮の異常によるものと、刺激伝導の異常によるものがあります。

さらに、刺激興奮の異常によるものには、様々な部位から刺激が発生するものと、刺激が発生しないものがあります。刺激伝導の異常によるものには、刺激が伝わらないものと、副伝導経路ができるものがあります(表1図3)。

 

表1不整脈の種類

刺激興奮の異常 ①様々な部位から刺激が発生するもの
②刺激が発生しないもの
刺激伝導の異常 ③刺激伝導が伝わらないもの
④副伝導路ができるもの

 

図3不整脈の種類と心電図

①様々な部位から刺激が発生するもの

②刺激が発生しないもの

③刺激伝導が伝わらないもの

④副伝導路ができるもの

 

①様々な部位から刺激が発生する不整脈ってどんなもの?

様々な部位から刺激が発生する不整脈には、洞性頻脈、期外収縮、心室頻拍があります。これらの不整脈は、いずれも脈が速くなります。

洞性頻脈は、刺激興奮の回数が増え、心拍数が100回/分以上になります。健康な人でも、疲労、運動、喫煙、精神的興奮、発熱などによって起こります。

期外収縮は、洞房結節以外の部位が異常に興奮し、洞房結節の刺激が伝わる前に、異常興奮が心房や心室に伝わって心筋が収縮します。健康な人でも、疲労や運動などによって起こることがありますが、2回以上連発して起こる場合は、虚血性心疾患などが原因になっていることがあります。

心室頻拍は、ヒス束分岐部以下の心室で、興奮が規則的に多発(140〜180回/分)している状態です。血圧の低下により、ショックや心不全を起こすことがある危険な不整脈です。

 

②刺激が発生しない不整脈ってどんなもの?

刺激が発生しない不整脈には、洞性除脈と洞不全症候群があります。これらの不整脈は、いずれも脈が遅くなります。

洞性除脈は、興奮回数が減少し、50回/分以下になります。多くは副交感神経の緊張によって起こります。

洞不全症候群は、洞房結節の病変的な機能低下によって、興奮の発生回数が減少したり、発生が停止したりします。そのため、洞房結節に代わって房室結節が興奮して刺激を伝達します。

 

③刺激が伝わらない不整脈ってどんなもの?

刺激が伝わらない不整脈には、脚ブロックと房室ブロックがあります。これらの不整脈は、いずれも脈が遅くなります。

脚ブロック(心室内伝導障害)は、脚の伝達が悪くなる状態で、右脚ブロックと左脚ブロックがあります。心筋の酸素不足により、いきなり右脚ブロックが起こることがあります。左脚ブロックは、心臓の何らかの障害が原因です。

房室ブロックは、房室結節やヒス束、左脚と右脚の機能が低下し、興奮刺激が心房から心室へ伝わりにくい状態です。Ⅰ度からⅢ度の3段階に分かれています。

Ⅰ度房室ブロックは、心房から心室への伝導時間が延長します。心臓に炎症が生じたときに起こることがあります。Ⅱ度房室ブロックは、刺激が時々伝わらなくなる状態です(モビッツⅠ型、モビッツⅡ型)。Ⅲ度房室ブロックは、心房と心室間の刺激伝導が完全に遮断された状態です。心室は房室結節で発生する刺激で収縮するため、心房の収縮とは別の周期になります。

 

④副伝導経路ができる不整脈にはどんなものがあるの?

副伝導経路ができる不整脈には、WPW症候群(memo1)があります。WPW症候群は、房室結節以外に、心房と心室を直接結ぶ副伝導路が形成され、刺激の一部がその副伝導路を通って、通常の刺激よりも心室を早く興奮させます。WPW症候群では、脈が速くなります。

 

memo1WPW 症候群

WPWは、3人の循環器学者Wolff、Parkinson、Whiteの頭文字である。δ波がみられる。

WPW 症候群

 

不整脈の特徴的な検査所見は?

不整脈の特徴的な検査所見は、心電図の波形(図4)の異常です。

図4正常心電図の波形

正常心電図の波形

 

しかし、波形が正常と異なっていても、必ずしも不整脈とは限りません。以下4項目を観察し、これらに異常があれば不整脈と鑑別します。

  1. 1.RR時間は正常か
  2. 2.QRSの幅は正常か
  3. 3.QRSの前にP波があるか
  4. 4.PQ時間は正常か

 

不整脈の治療ではどんなことを行うの?

不整脈の治療では、薬物療法、人工ペースメーカの使用、電気的除細動、カテーテルアブレーションなどが行われます。

 

不整脈の薬物療法にはどんな薬が使われるの?

薬物療法において使用される薬物は、Naチャネル抑制薬、β遮断薬、Kチャネル抑制薬、カルシウム拮抗薬の4群に分かれます。これらは、心筋細胞内外のイオン濃度に関与する薬物です。

心筋は、電気的刺激の発生に伴って心筋細胞内外のイオン濃度が変化し、収縮・弛緩を繰り返します。まず、その仕組みを見てみましょう。

通常、心筋細胞内にはカリウムイオンK+が、心筋細胞外には、ナトリウムイオンNa+とカルシウムイオンCa2+が多く存在しています。その結果、心筋細胞内はマイナスの電気を帯びています。洞房結節に電気刺激が発生すると、心筋細胞内にNa+が流入し、心筋は一気にプラスの電気を帯び、次いで流入するCa2+の作用で心筋が収縮します。その後、心筋細胞内のK+が細胞外へ流出し、心筋が弛緩します。そして、それぞれのイオンはもとの状態に戻ります。

Naチャネル抑制薬は、細胞膜にあるNaの通り道(チャネル)に作用して、心筋細胞内に入るNa+を少なくし、異常な刺激生成や伝導を抑えます。

β遮断薬は、交感神経の作用を伝えるノルアドレナリンなどを受け取る細胞膜のβ受容体を遮断し、Ca2+の心筋細胞内への流入を抑えます。その結果、心拍数を低下させます。

Kチャネル抑制薬は、Kチャネルを 塞いで、K+の心筋細胞外への流出を抑え、異常な早期興奮を抑制します。

カルシウム拮抗薬は、細胞膜にあるCa2+のチャネルに作用し、心筋細胞内に流入するCa2+を抑制し、異常な刺激生成や伝導を抑えます。

 

人工ペースメーカってどんなもの?

人工ペースメーカとは、心臓に人為的に電気刺激を与えて、心拍動を起こさせる機器です。めまいや意識消失など、徐脈による症状がある場合に、心拍保持を目的として人工ペースメーカが用いられます。

緊急時に一時的に使用する体外式ペースメーカと、永久的に使用する体内植え込み式ペースメーカがあります。

体外式ペースメーカは、鎖骨下静脈などから電極を右心室に挿入し、導線を体外式ペースメーカにつなぎます。体内植え込み式ペースメーカは簡単な手術により、体内植え込み式ペースメーカの本体を皮下(右か左の鎖骨下部)に植え込み、導線を鎖骨下静脈から右心房か右心室に挿入し、体内で本体と導線します。

 

図5人工ペースメーカ

人工ペースメーカ

 

電気的除細動ってどんな治療法?

電気的除細動とは、体外から電流を流して心筋に電気ショックを与えることで、正常な刺激伝導に改善する治療法です。心室細動では、ただちに電気的除細動が必要です。その他、心室頻拍、心房細動も電気的除細動の適応です。

電気的除細動を実施するときは、患者の胸部を乾いたタオルで拭き、ペーストを十分に塗布したパドル(電極)を、右上前胸部鎖骨下と左下側胸部に当てます(図6)。成人の場合は通常200Jから開始し、効果のない場合は最大360Jまで上げて、2回目、3回目の通電を行います。実施者は、自身が通電しないように、ベッドにも除細動器にも触れてはいけません。

 

図6自動体外式除細動器(memo2)のパドルをあてる位置

自動体外式除細動器のパドルをあてる位置

 

memo2自動体外式除細動器(AED)

2004年から、一般の市民も自動体外式除細動器を使用できるようになり、空港や駅などの公共施設を始め、街中のあちこちにAEDが設置されるようになった。AEDは自動で心電図を解析し、除細動が必要な場合は、音声やディスプレイで実施の手順を指示してくれる。

 

カテーテルアブレーションってどんな治療法?

カテーテルアブレーションとは、大腿動脈などからカテーテルを挿入し、不整脈の発生部位に高周波を流し、原因細胞を焼き切る治療法です。WPW症候群、心房粗動、突発性心室頻拍などが適応となります。

 

不整脈の看護のポイントは?

危険な不整脈を見逃さないことが大事です。危険な不整脈とは、洞不全症候群、Ⅲ度房室ブロック、心室頻拍です(図7)。

図7危険な不整脈

危険な不整脈

(細川美由紀、小林加代子監:循環器系—心筋への酸素・栄養供給機能。実習に生かすアセスメントのコツ6、ナーシングカレッジ、10(10):66 、2006より改変)

 

心電図の波形を判読するのは難しいですが、少なくとも危険な不整脈だけは鑑別できるようにしましょう。危険な不整脈が認められれば、ただちに医師に連絡します。

 

⇒〔病気のなぜ?〕記事一覧を見る


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典]『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』(監修)山田 幸宏/2016年2月刊行

看護のための病気のなぜ?ガイドブック

著作権について / 引用・参考文献

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