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2016年12月21日

子宮筋腫に関するQ&A

疾患に関するQ&A

『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は「子宮筋腫」に関するQ&Aです。

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

〈目次〉

 

子宮筋腫ってどんな病気?

子宮筋腫とは、子宮の筋層に平滑筋から発生した良性の腫瘍が生じた状態のことです。

子宮の壁は厚さ約1cmの平滑筋からなり、内膜・筋層・漿膜(しょうまく)の3層で構成されています。

子宮筋腫は、筋腫の発育方向により、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫に分類されています。粘膜下筋腫は、内膜直下に発生し、子宮腔内に向けて発育するものです。筋層内筋腫は、筋層内に発生・発育するものです。漿膜下筋腫は、漿膜直下に発生し、粘膜に向かって発育するものです(図1)。

図1子宮筋腫の種類

子宮筋腫の種類

 

子宮筋腫は子宮体部に発生し、多発することが多いです。いずれの子宮筋腫も、悪性化することはほとんどありません。

子宮筋腫は初経前には発生せず、エストロゲンmemo1)の分泌が盛んな30歳代に多く見られます。閉経後は子宮筋腫は縮小します。

memo1エストロゲン(卵胞ホルモン)

卵巣から分泌される女性ホルモン
①第二次性徴を発達させる、②卵胞を発育させる、③子宮粘膜を肥厚させる、④子宮頸管の粘液の分泌を促進させる、⑤腟の粘膜上皮の増殖を促し、腟の自浄作用を助ける、⑥カルシウムの骨への沈着を促進する、という働きがある。

 

子宮筋腫って何が原因なの?

子宮筋腫の原因は、胎児期の分化の過程において、未分化な子宮平滑筋細胞が何らかの原因で筋腫の芽になり、それが思春期から分泌が活発になるエストロゲンに反応して増殖すると考えられています。

 

子宮筋腫ではどんな症状が出現するの?

子宮筋腫では、月経過多・不正性器出血、月経過多による貧血、月経困難症(memo2)、帯下の増加、骨盤内臓器の圧迫症状、不妊などの症状が現れます。

筋腫が大きくても、症状が現れないまま経過することもあります。また、一般的には、漿膜下筋腫は症状が少なく、粘膜下筋腫は症状が強いです。

memo2月経困難症

月経に伴い、下腹部痛腰痛が生じること。

 

子宮筋腫による月経過多と不正性器出血はなぜ起こるの?

子宮筋腫による月経過多と不正性器出血は、粘膜下筋腫によく見られます。

月経過多は、筋腫の増殖による局所的な循環障害、子宮内膜の肥厚(ひこう)、子宮筋の収縮不全などによって生じます。不正性器出血は、筋腫による血行障害に伴う、小血管の破綻などが主な原因です。

 

子宮筋腫によって起こる骨盤内臓器の圧迫症状ってどんなもの?

筋腫の発生部位や大きさによって異なりますが、膀胱や尿道が圧迫されると排尿障害が現れます。直腸が圧迫されると、便秘、鼓張(こちょう)、排便時痛が見られます。頻度は高くありませんが、下大静脈や腸骨静脈が圧迫され、下肢に浮腫が生じることがあります。

 

子宮筋腫はどんな検査で診断するの?

子宮筋腫は、内診(双合診)(memo3)によって診断できることが多いですが、超音波検査、CT検査、MRI検査、子宮卵管造影検査などの検査を実施し、総合的に診断します。

内診(双合診)では、子宮の大きさ、筋腫の部位、圧痛の有無、子宮の可動性、周囲臓器の圧迫状態などを見ます。

memo3内診(双合診)

腟から示指を挿入し、もう一方の手で腹壁を押さえ、内性器の位置、形状、硬さ、圧痛の有無などを調べる検査(図2)。腟鏡を挿入して腟鏡診を実施することもある。

 

図2内診(双合診)

内診(双合診)

 

子宮筋腫にはどんな治療が行われるの?

子宮筋腫の治療方法には、経過観察、対症療法(薬物療法)、手術療法があり、大きさや症状の程度などにより選択されます。

筋腫が小さくて症状がない場合や、閉経に近い年齢の場合は経過観察を選択することが多いです。

こぶし大以上の大きさの筋腫があったり、症状が強い場合は手術(子宮筋腫核摘出術や単純子宮全摘出術)を行います。

COLUMN月経の状態

月経は、視床下部から分泌される卵胞刺激ホルモン放出ホルモン、下垂体前葉から分泌される卵胞ホルモン、黄体形成ホルモン、卵胞から分泌されるエストロゲン、プロゲステロンの作用によって起こる。

したがって、月経に異常があれば、女性ホルモンの分泌機能が低下していると考えられる。月経の周期、月経量、月経痛の有無に注意が必要である(表1)。

 

表1月経の状態

月経の状態

 

子宮筋腫の対症療法ってどうするの?

子宮筋腫の対症療法では、男性ホルモンや黄体ホルモンを使用し、閉経を促進します。また、出血に対しては止血剤、貧血に対しては鉄剤を与薬し、併せて輸血によって改善をはかります。

 

子宮筋腫の手術療法ってどうするの?

子宮筋腫の手術療法には、単純子宮全摘術と、子宮筋腫核摘出術があります。

単純子宮全摘出術は、子宮頸部を含めて子宮全体を摘出する手術です。子宮筋腫核摘出術は、筋腫のみを摘出し、子宮を温存する手術です。若い人や将来出産を希望する人には、子宮筋腫核摘出術が選択されます。

 

子宮筋腫の看護のポイントは?

経過観察や対症療法を実施している時期は、患者の不安を緩和することがポイントです。子宮筋腫は悪性化することはほとんどありませんが、患者には、癌になるかもしれないという不安があります。対症療法を行っている場合は、予後に対する不安もあります。そのような心理を理解し、受容的な態度でかかわります。

手術を受ける患者は、手術そのもの不安と、女性生殖器を失う不安があります。術前には、どのような手術なのか、どのような合併症が起こるのか、術後は性交渉が可能なのか、などについてパートナーも一緒に説明を聞いてもらいましょう。

術後は異常の早期発見と、合併症の予防に努めることが大切です。また、性に関する不安や悩みを持つことが多いため、それらへの支援も大切です。

いずれの患者にも、検査・診察・処置では、生殖器の露出を最小限にし、羞恥心を軽減できるようにかかわりましょう。

 

コラム『月経のメカニズム』

女性は生まれたときに、左右の卵巣に合わせて数十万個の原始卵胞を持っている。思春期になると、性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌により下垂体前葉から卵胞刺激ホルモンが分泌され、多数ある原始卵胞の内15〜20 個が発育を開始する。そのうちの1個の卵胞の発育が促進し、成熟卵胞になる。このとき卵胞から多量のエストロゲンが分泌される。

エストロゲンの分泌がピークに達すると、下垂体前葉から黄体形成ホルモンが分泌される。すると卵胞が破裂し、1個の卵子が卵巣から押し出される。これが排卵である。卵子は卵管を通って子宮に向かい、受精する場合はこの過程で行われる。

排卵後の卵胞は、脂質を多く含む黄体を形成し、プロゲステロンと少量のエストロゲンを分泌する。

卵子が受精しなければ、黄体は12〜14日ぐらいで収縮して白体となり、ホルモンの分泌も停止する。受精すれば黄体は増大し、継続してプロゲステロンとエストロゲンを分泌する。

卵胞からエストロゲンとプロゲステロンが分泌されると、子宮は受精卵の着床に備えて子宮内膜を肥厚させる。授精が成立して受精卵が着床すると、子宮内膜はやがて胎盤を形成する。

ところが、受精が成立せず、これらのホルモンの分泌が停止すると、子宮内膜の機能層が剥がれ落ち、血液とともに子宮外に排出されていく。この出血が月経である。月経は通常3〜7日間続き、およそ28日の周期で起こる(図3)。

図3性周期(卵巣周期と月経周期)とホルモン分泌

性周期(卵巣周期と月経周期)とホルモン分泌

 

⇒〔病気のなぜ?〕記事一覧を見る


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』 (監修)山田 幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

この連載

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