周術期管理を変える“ERAS” とは?

『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』より転載。

 

今回は「ERAS/イーラス(enhanced recovery after surgery、術後回復強化)」に関するQ&Aです。

 

編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長

 

“ERAS” とはなんですか?

 

ERAS/イーラス(enhanced recovery after surgery、術後回復強化)は、欧州で2001年ごろから提唱されはじめ、注目を集めている包括的な術後管理の手法です。

 

〈目次〉

 

ERASとはなんですか?

ERAS/イーラス(enhanced recovery after surgery、術後回復強化)は、欧州で2001年ごろから提唱されはじめ、注目を集めている包括的な術後管理の手法です。

 

ERASでは、科学的に有効性が立証されてきた周術期管理法を取り入れ、特に結腸切除術患者を対象にエビデンスが積み上げられてきています。

 

術後回復強化計画の全体を指して「ERASプロトコル」と呼び、5か国で構成されるERASグループにより作成されました。ESPEN(European Society for Clinical Nutrition and Metabolism、ヨーロッパ静脈経腸栄養学会)でも取り上げられ、2005年には論文が発表されました(1)。

 

ERASの具体的な手法は?

具体的には、入院前カウンセリングを行う、前投薬を行わない、経胃管を留置しない、術後は過剰な輸液やNa負荷を避ける、悪心・嘔吐を予防する、カテーテルの早期抜去に努めるなど、さまざまなエビデンスのある介入を行います。

 

ERASプロトコルで成果をあげるには?

ERASプロトコルの導入により安全性が向上し、手術侵襲や術後感染、合併症の軽減、在院日数の短縮、医療コストの抑制などにつながると考えられます。成果を上げるためには、看護師を含めた多職種によるチーム医療の構築が必須です。

 


 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社

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