腎機能の状態は何を見れば分かるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
[前回]
今回は「腎機能を評価する指標、クリアランス」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
腎機能の状態は何を見れば分かるの?
腎臓の排泄機能を数字で表したものがクリアランスです。
クリアランスは血液中に含まれている特定の物質が、単位時間(1分間)当たりに完全に清掃された(濾し取られた)と想定される血漿量によって表します。
クレアチニンやイヌリンという物質は、尿細管での再吸収も分泌も全く行われません。この物質の、クリアンス値が100mL/分ということは、1分間に、100mLの血漿からこの物質が完全に漉し取られたということを表します。すなわち、腎臓にそれだけの濾過機能があるということを表しています。この濾過機能を糸球体濾過量といいます。
腎機能を評価するうえで最も重要視されているのが、クレアチニンクリアランス(CCr)です。
クレアチニンは老廃物の一種で、糸球体の機能を正確に反映する物質の代表格です。そのため、腎機能の評価にはクレアチニンクリアランスが汎用されています。
クレアチニンクリアランスの基準値は70〜130mL/分です。糸球体の機能が低下すると糸球体での濾過量が減少し、クレアチニンクリアランス値は低くなります。
[次回]
腎機能が低下するとどうなるの?
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版