尿路結石症に関するQ&A
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『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は「尿路結石」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
〈目次〉
尿路結石ってどんな病気?
小さな結石は尿管に下降し、尿流と尿管の蠕動(ぜんどう)運動によって膀胱に至り、尿と一緒に排泄されます。ところが大きな結石は、途中で停滞してしまいます。
結石の停滞部位により、腎杯結石、腎盂結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石といいます。尿路結石は30〜50歳代の男性に多く見られます。
なぜ尿路結石ができるの?
尿路結石は尿成分から不溶物が結晶として析出し、硬い固形物となってできます。尿路結石にもいろいろな種類があります。
最も多いのは、シュウ酸カルシウム結石です。これは、副甲状腺機能亢進症などが原因となる高カルシウム血症などによってできます。次に多いリン酸マグネシウムアンモニウム結石は、尿路感染症などで生じるアルカリ尿が原因です。尿酸結石は、痛風などによる高尿酸血症で生じる酸性尿が原因です。
尿路結石にはどんな症状が出現するの?
尿路結石のおもな症状は激しい痛みと血尿です。
激しい痛みは、尿流障害によって腎盂内圧が急上昇することや、結石による尿路の炎症によって起こります。
痛みの部位は、結石の停滞位置により異なるため、痛みの部位から結石の位置を推測することができます(図2)。血尿は、結石が尿路を通過するときに粘膜を傷つけ、血液が尿中に混ざることによって生じます。肉眼で血尿を認めることもあります。
尿路結石に合併症はあるの?
尿路結石は水腎症(memo2)を合併することがあります。水腎症は、尿路の通過障害によって腎臓に水分が溜まり、腎盂腎杯が拡張した状態です。腎盂腎杯が拡張するために細菌が停滞しやすくなり、尿路感染症が起きやすくなります。また、腰のあたりに痛みが生じることもあります。
一方の尿路に通過障害が起こっている場合、もう一方の尿路が正常であれば、正常な尿路が少しはカバーしてくれます。しかし、水腎症が慢性化すると、腎後性腎不全に至ることもあります。
尿路結石ではどんな治療を行うの?
一般的に、8mm以下の結石は自然排出が可能です。水分の多量摂取(1日に2,000〜3,000mL)を勧めるとともに利尿薬を使用し、自然排出が促進されます。
尿酸結石は、アロプリノールやフェブキソスタットという痛風治療薬により高尿酸血症に対する治療を行います。
自然排出が困難であったり、薬物で溶解できない場合は、手術の適応となります。手術療法には、内視鏡を用いて、腎臓あるいは尿道の結石を破砕して小片化する経皮的腎結石破砕術、あるいは経尿道的尿管結石破砕術と、体外から衝撃波発生装置で衝撃を与え、結石を小片化する体外衝撃波結石破砕術があります(図3)。結石を小片化した後は、自然排出を促します。
尿路結石の看護のポイントは?
尿路結石による痛みは強烈です。自然排出を促す場合は、苦痛を緩和するために指示された鎮痛薬を与薬し、早く排出できるように水分摂取を勧めます。また、痛みが激しい場合は疲労感が大きいため、日常生活援助が必要です。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』 (監修)山田 幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版