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2016年06月27日

ネフローゼ症候群に関するQ&A

疾患に関するQ&A

『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』より転載。

今回は「ネフローゼ症候群」に関するQ&Aです。

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

〈目次〉

 

ネフローゼ症候群ってどんな病気?

ネフローゼ症候群とは糸球体の障害により、高度のタンパク尿、低タンパク(低アルブミン)血症、高脂血症、浮腫が見られる症候群です。

小児から成人まで発症しますが、全体の80%が6歳以下の小児で、とくに男児に多く発症します。寛解と再燃を繰り返しながら慢性的に経過することが多いです。

 

ネフローゼ症候群にはどんな種類があるの?

ネフローゼ症候群には腎臓自体の病変による原発性(一次性)のものと、他の疾患に伴って起こる続発性(二次性)のものがあります。全体の75%が原発性ネフローゼ症候群です。

原発性ネフローゼ症候群には、①微小変化型、②膜性腎症、③巣状糸球体硬化症、④膜性増殖性糸球体腎炎があります(図1)。それぞれの特徴は表1のとおりです。

図1原発性ネフローゼ症候群の糸球体毛細血管壁

 

表1ネフローゼ症候群の分類

 

続発性ネフローゼ症候群は、ループス腎炎、糖尿病紫斑病性腎炎などの全身性疾患、B型肝炎、C型肝炎などに伴って起こります。

 

原発性ネフローゼ症候群は何が原因なの?

糸球体が障害される原因は不明です。微小変化群、膜性腎症などによって糸球体の病変は異なりますが、いずれも糸球体毛細血管壁の基底膜の透過性が亢進し、本来なら通過できないタンパク質が通過し、尿中に大量に排泄されます。

メモ1糸球体の濾過

サイズバリア(分子の大きな物質は通過できない構造)と、チャージバリア(マイナスに荷電した物質は通過できない構造)により、タンパク質は濾過されない。

 

ネフローゼ症候群に特徴的な検査所見や症状は?

ネフローゼ症候群ではタンパク尿、低タンパク(低アルブミン)血症、高脂血症(高コレステロール血症)、浮腫が特徴です(図2)。

図2ネフローゼ症候群の症状

 

タンパク尿は3.5g/日が持続し、血清総タンパク質は6.0g/dL以下、血清アルブミンは3.0g/dL以下、血清総コレステロールは250mg/dL以上になります。

 

タンパク尿や低タンパク血症などはなぜ起こるの?

タンパク尿と低タンパク(低アルブミン)血症は、糸球体毛細血管の基底膜の透過性が亢進し、タンパク質(アルブミン)が尿中に排泄されるために起こります(図3)。

図3ネフローゼ症候群におけるタンパク尿の原因

 

高脂血症(高コレステロール血症)が起こるのは、低タンパク血症により、肝臓でのアルブミン合成とコレステロール合成が亢進するためです。

浮腫は、低タンパク血症(低アルブミン血症)のために膠質浸透圧が低下し、間質へ水分が漏出して起こります。また、腎血流量の減少に伴い、レニン―アンジオテンシン―アルドステロンの分泌が亢進し、ナトリウムと水の貯留を引き起こし、さらに浮腫が増強します。

メモ2膠質浸透圧

血漿中のアルブミンにより、組織内の水を毛細血管内に引き入れようとする圧。

 

ネフローゼ症候群ではどんな治療が行われるの?

ネフローゼ症候群では安静、食事療法、薬物療法が行われます。

安静は、腎血流量の保持が目的です。浮腫が著しい場合はベッド上での安静や臥床となります。病状の改善に伴って、活動範囲が徐々に拡大されます。

食事療法では、腎臓への負荷を軽減するために、タンパク質、塩分、カリウムが制限されます。以前は、高窒素血症がない限り、タンパク質を大量に摂取してもらっていましたが、高タンパク食は腎臓に負担がかかって、タンパク質の尿への漏出が進むため、現在は行われていません。

薬物療法は、症状の改善や進行の抑制を目的に行われます。使用される薬物は、病変や原因疾患によって異なります。たとえば、微少変化群ネフローゼ症候群には、おもに副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬などが使われます。また、浮腫に対しては利尿薬、高脂血症に対しては高脂血症治療薬が使われます。

 

ネフローゼ症候群の看護のポイントは?

ネフローゼ症候群は、経過が長く、再発することも多いため、運動制限、食事制限が長期に及ぶことがあります(表2)。

表2ネフローゼ症候群の生活指導基準と食事療法

 

成人でも運動制限や食事制限はつらいものですが、小児ではなおさらです。小児にも、運動制限と食事制限の必要性が理解できるように説明し、継続できるように援助しましょう。

また、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬で治療を行っている場合は、易感染性(感染しやすい状態)になるため、手洗いやうがいを励行し、感染予防に努めることが大切です。

 

⇒〔病気のなぜ?〕記事一覧を見る


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』 (監修)山田 幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

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  • 1.お茶碗につがれたご飯が自力で食べにくい場合はおにぎりにするなど、患者さんに合わせた工夫をする。
  • 2.身体の安静のためにできるだけ長く尿道留置カテーテルを挿入しておく。
  • 3.患者さんから「なんとなく食欲がない」という訴えがあっても、一時的なものなので特別な対応はしない。
  • 4.患者さんから「動きたくない」と訴えがあれば、なるべくリハビリは行わないようにする。
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