心臓はどこから酸素や栄養を得ているの?

看護師のための解剖生理の解説書『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

 

[前回]

心臓の血液が逆流しないのはなぜ?

 

今回は「冠状動脈」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

心臓はどこから酸素や栄養を得ているの?

心臓には常に静脈血と動脈血が満たされていますが、心臓が動く際に必要な酸素や栄養は、全く別の血液から得ています。心臓にエネルギーを送っているのが冠状動脈(冠動脈)です。

 

冠状動脈は大動脈弁のすぐ上方にある上行大動脈から分枝しています。右冠状動脈左冠状動脈の左右2本に分かれ、さらに左冠状動脈は前室間枝(ぜんしつかんし)と回旋枝(かいせんし)の2本に枝分かれします。

 

冠状動脈が何らかの原因で狭窄、あるいは閉塞した状態によって引き起こされる疾患を、虚血性心疾患といいます。通常、毛細血管はどこかが詰まってもほかの動脈から血液が得られるようになっていますが、冠状動脈にはこうした応援の血管がありません。そのため、冠状動脈が狭窄や閉塞を起こすと、心筋に血液が流れなくなり、障害が現れます。

 

MEMO虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)

心筋への酸素供給量が減少することによって起きる疾患。心筋の障害が可逆的なものを狭心症、不可逆的なものを心筋梗塞といいます。

 

COLUMNメタボリック症候群と心筋梗塞

心臓の虚血により、心筋が壊死する疾患を心筋梗塞といいます。

 

高血圧脂質異常症糖尿病などの生活習慣病は独立した疾患ではなく、それらの根底に、肥満(内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満)があり、それが原因になっていることが明らかになってきました。このような場合、つまり内臓脂肪型肥満によって様々な病気が引き起こされやすくなった状態を、メタボリックといい、心筋梗塞の危険性も増します。

 

[次回]

心音はどのように聴こえる?

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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