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2017年11月03日

脳の中枢が傷つくとどうなるの?

解剖生理Q&A

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「脳の損傷による影響」に関するQ&Aです。

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

脳の中枢が傷つくとどうなるの?

出血や梗塞、外傷などによって一部の中枢が機能を果たせなくなると、損傷された部分によって言葉が理解できない、言葉が話せない、記憶できない、手足を動かせない、判断することができないといった様々な症状が現れてきます。 

例えば、から入ってくる音を受け止める聴覚野が損傷を受けると、音がするという情報は入ってくるものの、そこから先へは情報が伝わらないため、音を全く聞き取ることができなくなります。聴覚野が正常で、その先の感覚性言語中枢(ウェルニッケ中枢)が損傷されると、「音がしている」と感じるものの、音楽なのか言葉なのか雑音なのか、全く区別できません。

では、聴覚野や知覚性言語中枢が正常でも、運動性言語中枢(ブローカ中枢)が損傷されるとどうでしょう。

言葉や音楽を聴き取ることができ、言葉の意味することが分かり、それに対する返事も用意できているのに、実際に舌や筋肉を動かすための指令を送ることができなくなります。そのため、明確に発音できず、「あ〜、う〜」といった不明瞭な音になります。

このように、1つの中枢が損傷されると、その中枢の受け持っていた機能が損傷されるだけでなく、連動して働いている機能にまで影響が及びます。

 

COLUMNウェルニッケ失語とブローカ失語

失語症とは、大脳半球の言語野とその周辺の病変によって起きる症状で、その90%以上は脳出血や脳梗塞などの脳血管障害によって生じます。失語症になると、読む、書く、話す、聞いて理解する、読んで理解する—など、言葉を通じたコミュニケーションに障害が現れます。 

失語症を大別すると、ウェルニッケ失語とブローカ失語があります。

感覚性言語中枢(言葉を聴いて理解する機能を持つ)が侵されると、話す言葉数が多く、また流暢に話すのですが、意味のある言葉が少なくなります(そのため、何を言っているのか分からなくなります)。これをウェルニッケ失語といいます。 

一方、運動性言語中枢(話すことに対して命令を出す)が侵されると、自分の考えを言葉や文字にすることが非常に難しくなります。これは、「外国人の話している内容が何となく分かるが、何か言おうとしても言葉が出てこない」という状態と似ています。これをブローカ失語といいます。

 

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

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