採血をするとき、母指(ぼし・おやゆび)を中にして握らせるのはなぜ?

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は採血に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

採血をするとき、母指を中にして握らせるのはなぜ?

 

前腕部の筋肉が収縮し、末梢血の還流を促進させ、駆血部より末梢の静脈怒張が起こるためです。

 

〈目次〉

 

母指を中にして手を握らせるのは

一般に、静脈採血を行なう際には駆血帯を用いて静脈を圧迫します。駆血帯よりも末梢部の静脈血のうっ滞による血管拡張を起こし、採血を行ないやすくします。

 

また、血管の拡張を助けるために、母指を中にして握らせますが、これは前腕部の筋肉を収縮させ、さらに末梢部からの静脈血還流量を促進させることにより、静脈の怒張がより強くなるためです。

 

駆血帯を強く締めすぎると

筋肉の収縮は静脈還流量を増加させるとともに、動脈血の流入も促進させます。しかし、駆血帯を強く締めると、静脈を圧迫するだけでなく、動脈も圧迫されてしまうので、末梢へ流入する血液量が減少してしまいます。したがって還流血液量自体が減るために、静脈の拡張も困難となります。

 

駆血帯を巻くの強さは、静脈血の還流をある程度阻止し、しかも動脈血の流入を止めない程度が最もよいとされています。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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