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2017年01月10日

患者を動かすとき、ボディメカニクスを用いるとよいのはなぜ?|体位変換のポイント

看護技術Q&A

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回はボディメカニクスに関するQ&Aです。

患者を動かすとき、ボディメカニクスを用いるとよいのはなぜ?

エネルギー消耗が少なく、しかも安定性および効率性のよい動作を行なうことができるためです。

 

〈目次〉

 

ボディメカニクスとは

ボディメカニクスを日本語に訳すと「身体力学」であり、これは骨格系、筋系および内臓器官の力学的な相互関係を表す言葉です。身体の各部分を同時に最も無理なく、しかも合理的に使用できる状態にあるということです。患者あるいは物を動かしたり、輸送する場合には、よいボディメカニクスであることが必要です。

 

体位変換のキーポイントは

体位変換とは、患者が自分で身体を動かすことができないとき、ベッド上での姿勢や位置を動かす介助をすることです。日常生活援助や長期臥床時の褥瘡予防および治療的ケアの目的で行われます。

援助の際は、ボディメカニクスを使い看護者が少ない力で十分に力を発揮するとともに、できるだけ患者自身のもつ力を活用し、患者がもっている機能の維持向上をはかります。

それゆえ、いつも全介助をするのではなく、患者の自立度に応じて、半介助、部分介助と援助方法を変えていきましょう。ボディメカニクスの原理を生かした体位変換のキーポイントは次のとおりです(図1)。

図1ボディメカニクスをふまえた体位変換

ボディメカニクスをふまえた体位変換

 

安定性

  1. 支持基底面を広くする:患者に対して、足を前後に開き(支持基底面を広くした姿勢で立つ)ます。重心線が支持基底面の内側を通ると、安定します。
  2. 重心を低くする:重心を低くすると安定します。

 

効率性

  1. 身体に近づける:患者に近づき、患者の肩と腰部に深く腕を入れて(支持面を広くする)互いの重心を近づけます。
  2. 大きな筋群を使用する:看護者は上肢に頼るのではなく、下肢や背部の大きな筋群を使用しながら援助を行います。また、患者を持ち上げるよりは、水平に引いたほうが楽であり、同時に重心の移動も行いましょう。
  3. てこの原理(支点、力点、作用点):肘を支点として、てこの原理を応用します。
  4. トルクの原理:患者の身体を小さくまとめ、膝を立てて、肩と腰を支えて回転させ、体軸回旋運動を誘発させます。この方法よって、小さな力で患者を回転(側臥位)させることができます。

その他、摩擦の原因(シーツのしわなど)を取り除いたり、ベッドやストレッチャーに接する面を小さくして、摩擦を最小にします。また、患者のリズムに合わせることによって、スムーズに移動することができ、患者の苦痛を最小にすることができます。

ボディメカニクスとは看護者と患者の相互関係によるものですが、看護者は患者の状態を観察し患者の周囲の危険物を取り除き、常に安全に配慮して行動することを忘れてはいけません。

 

ボディメカニクスのコツ

援助の際には、ボディメカニクスを使います。

  1. 支持基底面積を広くとり、その中で重心移動をさせましょう。
  2. 患者と看護者の身体を近づけましょう。
  3. 重心を低くし、大きな筋群を使いましょう。
  4. てこの原理やトルクの原理を使いましょう。
  • 患者の両腕を身体の前面に置くなど患者の身体を小さくまとめ、看護師の手を深く入れると、患者に近づいて支えることができます。
  • 患者に説明を行い、息を合わせたり、視線を動く方向に向けてもらうなど協力動作を求めましょう。

 

体位変換は、患者の持つ力を見極めることが大切

体位変換は、「体位変換=全介助」や「重症の患者は自分では全く動けない」という認識で行うものではありません。患者の持つ力を見極めていくことが大切なポイントです。体位変換することを患者が認識していて、協力動作がどこまで得られるかを見極めます。

膝が立てられるか、腰上げできるか、ベッド柵につかまる事ができるか、体位変換をしようとする動作がみられるか。加えて、こちら側の呼びかけに対して聞こえているか、認知力が低下していないか、患者の離床意欲の程度もアセスメントすることが大切です。また、治療上の安静が必要な場合は、どの程度の活動が可能かを医師に確認しておきましょう。

また、寝たきりにならいよう、安静が必要である場合以外は、早期に離床を進めることが大切です。一方、ベッド上で生活しなければならない人は、廃用症候群予防や苦痛緩和のために、体位変換を行いますが、体位変換の頻度もアセスメントが必要です。

そして、苦痛の緩和や褥瘡予防のために、適切な体圧分散マットレスを選択し、スライディングシートなどの用具を活用して患者の状態によって2~4時間ごとに皮膚のズレや摩擦を防いだ体位変換を行いましょう。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典]『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』編著 江口正信/2015年3月刊行

根拠から学ぶ基礎看護技術

引用・参考文献 / 著作権について

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