入浴は食直前、食直後を避けたほうがよ いのはなぜ?

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は入浴と食物に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

入浴は食直前、食直後を避けたほうがよいのはなぜ?

 

入浴により皮膚の血管は拡張し、そのため内臓の血流量が減少して消化に影響しやすいためです。

 

〈目次〉

 

食物の消化は

口から摂取した食物は消化管を通る間に、種々の消化酵素の作用を受けて簡単な物質に分解され、水、塩類、ビタミンなどとともに消化管壁を通して血液あるいはリンパに入ります。

 

消化管で分解された栄養素の吸収量は、消化管の粘膜における血流量が重要な因子を占めています。

 

入浴と消化の関係は

入浴時は、皮膚の血管が拡張し皮膚への血流量が増加するので、逆に内臓への血液量が減少してしまい消化管での栄養素の吸収にとっては不都合な状態となります。

 

また、湯の温度が高い場合、交感神経が刺激され、腸管の運動を抑制し、そのため消化機能が低下します。そのため、食事の前後1時間以内の入浴は避けるようにします。

 

入浴のほかに消化に影響するものは

そのほか、うっ血性心不全肝硬変ネフローゼ症候群など浮腫をきたす疾患では、腸管の浮腫や血流不足によって、腸管の蠕動運動の低下をきたし、消化・吸収不良が起こりやすくなります。

 

⇒〔看護技術Q&A一覧〕を見る

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護知識トップへ