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2016年04月21日

不随意運動の診察|運動系の診察

『BRAIN』2012年6月号<“なんとなく”はもう卒業! 今日からわかる神経所見のとり方>より抜粋。
不随意運動の診察について解説します。

Point

  • 不随意運動とは体の一部または全身に不随意的に出現する異常運動のことをいい,多くは錐体外路系の病変に伴い出現します。
  • 診察のポイントは不随意運動を“よく観察する”ことです。
  • 不随意運動が出現する部位,運動のパターン,出現するタイミングなどがポイントです。

関 守信
(慶應義塾大学医学部 神経内科 助教)

〈目次〉

 

はじめに

不随意運動(involuntary movement)とは,身体の一部または全身に出現する,自分の意思によらない異常な運動です。多くは,中枢神経系,とくに大脳基底核を中心とする錐体外路系の病変に伴い出現します。診察のポイントは,まずはその運動をよく観察することです。

 

不随意運動の出現する部位

遠位筋優位か,近位筋優位かを観察します。

 

不随意運動のパターン

律動的か非律動的か,律動的ならその頻度を観察します。律動的なものには振戦,律動性ミオクローヌス,間代などが,非律動的なものには舞踏運動,アテトーゼ,バリズム,ジストニア,ミオクローヌス,ジスキネジアなどが含まれます。

 

不随意運動の出現するタイミング

安静時に出やすいか,ある姿勢をとったときに出やすいかなどを観察します。睡眠で消失するかどうかも注意点の1つです。

 

代表的な不随意運動

振戦(tremor)

骨格筋の律動的な反復運動により生じる異常運動です。

まず膝の上に力をぬいて手を置き,静止時振戦があるかどうかをみます。次に,上肢を前方に伸展させ,手指を開くように命じ,その状態で姿勢時振戦があるかどうかをみます。さらに,運動時に起こる振戦(運動時振戦)の有無をみます(図1)。

図1静止時振戦と姿勢時振戦

静止時振戦と姿勢時振戦

A:律動的で,手指の動きは丸薬を丸めるような動きが特徴的です。パーキンソン病では通常左右差があります。
B:律動的で,振幅は小さく,周波数はパーキンソン病の振戦より速いです。

静止時振戦

静止時振戦(tremor at rest)はパーキンソン病で最も典型的に出現します。律動的(4~6 Hz)で,手指の動きは丸薬を丸めるような動き(pill rolling tremor)が特徴的です(図1-A)。パーキンソン病では通常,左右差があります。

 

姿勢時振戦

姿勢時振戦(postural tremor)は,静止時ではなく,体肢を一定の姿位に保つと出現する振戦です(図1-B)。本態性振戦(essential tremor)で,最も代表的に出現します。律動的(7~11 Hz)で,振幅は小さく,周波数はパーキンソン病の振戦より速いです。

 

生理的振戦

正常状態(疲労,感情的興奮,寒冷時)でも8~12 Hz前後の振戦が出現する場合があり,これを「生理的振戦(physiological tremor)」と呼びます。この振戦は姿勢時あるいは運動時に出現します。

 

舞踏運動 (choreic movement,図2

図2舞踏運動(choreic movement)

舞踏運動(choreic movement)

非対称の滑らかな不随意運動で,あたかも落ち着きなく踊っているように見えます。

不規則で比較的速い,非対称性の滑らかな不随意運動で,あたかも落ち着きなく踊っているようにみえます。

遠位部優位ですが,四肢近位部や顔面などにも出現します。会話や暗算負荷などの精神的緊張や随意運動で増悪します。

Huntington病や小舞踏病でみられます。

 

アテトーゼ(athetosis,図3

図3アテトーゼ(athetosis)

アテトーゼ(athetosis)

ゆっくりで,絶えずくねるような持続的な運動です。上肢の伸展と回内,手指の屈曲と伸展を繰り返すものが多いです。

舞踏運動よりゆっくりで,絶えずゆっくりとくねるような持続の長い不随意運動です。多くは,上肢の伸展と回内,屈曲と回外,手指の屈曲と伸展を繰り返します。

遠位筋優位に出現します。激しくなると,近位筋,頚部,顔面にも現れます。精神的緊張,随意運動,感覚刺激で増悪し,安静で改善,睡眠で消失します。

多くは先天性で,核黄疸脳性麻痺などでみられます。後天的には反対側の被殻がいろいろな原因で障害されて起こります。

 

バリズム(ballism)

急速で粗大,四肢を付け根から投げ出すような大きく激しい不随意運動です。常同性がみられますが,不随意運動そのものは非律動的です。

多くは一側性で,これを「片側バリズム(hemiballism)」といいます。反対側の視床下核の障害で出現します。精神的緊張や随意運動で増悪し,睡眠中は中断します。

 

ジストニア (dystonia,図4

図4ジストニア(dystonia)

ジストニア(dystonia)

左下肢にみられる局所性ジストニア(内反尖足位)です。

筋緊張の異常亢進に伴う異常姿勢で,体幹の捻転,頚部の捻転,上下肢の過伸展・捻転などを呈します。異常姿勢を「dystonic posture」,それに伴う緩徐な不随意運動を「dystonic movement」と呼ぶこともあります。異常姿勢がみられる部位によって局所性と広汎性に分類されます。

座位・立位などの一定の体位で出現し,臥位で消失します。特定の患者さんにおける運動パターンは一定であり,変動しません(常同性)。また,特定の動作や環境によって出現することもあります(動作特異性)。特定の感覚刺激(感覚トリック:sensory trick)によってジストニアが軽快します。

 

ミオクローヌス(myoclonus)

急速で瞬間的な筋収縮による不随意運動です。連続的に,または間隔をあけて反復的にくり返されます。

ミオクローヌスの分類にはさまざまなものがありますが,症候学的には,下記①~⑤に分けられます。

  1. 反射性ミオクローヌス(reflex myoclonus)
  2. 動作時ミオクローヌス(action myoclonus)
  3. 陰性ミオクローヌス(negative myoclonus)
  4. 自発性ミオクローヌス(spontaneous myoclonus)
  5. 律動性ミオクローヌス(rhythmic myoclonus)

 

ジスキネジア(dyskinesia)

当初は抗精神病薬による長期治療の副作用として出現する遅発性異常運動を指していましたが,現在は抗パーキンソン病薬による副作用などに拡大使用されています。

運動パターンはさまざまで,舞踏運動様のジスキネジア,振戦様のジスキネジア,バリズム様のジスキネジアなどと記載されます。

 

おわりに

不随意運動は非常に種類も多く,文字や静止画ではなかなかどういった動きなのかが伝わりづらいものです。“百聞は一見に如かず”です。各不随意運動の典型例を一度は自分の目で見てみてください。それから本特集を再読していただければ,より深く理解できると思います。

 

 


[引用・参考文献]

  • (1)鈴木則宏(編):神経診察クローズアップ―正しい病巣診断のコツ.メジカルビュー社,2011.
  • (2)田崎義昭・斎藤佳雄(著)/坂井文彦(改訂):ベッドサイドの神経の診かた(第17版).南山堂,2010.

[Profile]
関 守信(せき もりのぶ)
2003年 慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部 内科学教室での研修を経て,2007年より慶應義塾大学医学部 神経内科 助教。

*略歴は掲載時のものです。


本記事は株式会社医学出版の提供により掲載しています。/著作権所有 (C) 2012 医学出版
[出典]BRAIN 2012年6月号

BRAIN 2012年6月号

P.549~「運動系の診察(2):不随意運動」

著作権について

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