1. 看護roo!>
  2. 看護・ケア>
  3. ワンポイント生理学>
  4. 平均皮膚温と平均体温|体温とその調節

2016年11月13日

平均皮膚温と平均体温|体温とその調節

看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。

〈前回の内容〉

発汗|体温とその調節

今回は、平均皮膚温と平均体温について解説します。

片野由美
山形大学医学部名誉教授
内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授

 

〈目次〉

 

Summary

  • 核心温は外界温の影響を受けにくく、ほぼ一定であるが、サーカディアン・リズムがある。
  • 核心温は、直腸温、舌下温(口腔温)、腋窩温、鼓膜温などとして測定される。
  • 平均皮膚温は全身の皮膚をいくつかの部分に分けて、その部分の面積が全表面積に占める割合を係数として重み付けした平均値として求める。
  • 平均体温は、0.3平均皮膚温 + 0.7核心温で求める。

 

核心温と外層温

体温は、外界温の影響を受けにくく、ほぼ一定している核心温(core temperature)と、外界温の影響を受けて変動しやすい外層温(shell temperature)がある。核心温は深部体温(deep body temperature)とよばれることもある。

核心温の測定では、直腸温(rectal temperature)、舌下温(口腔温)(sublingual temperature)、腋窩温(axillary temperature)などがよく用いられる。食道温(esophageal temperature)も手術中などで食道温測定プローブを挿入できるときは用いられる。

近年、鼓膜からの輻射温を測定する赤外線体温計(infrared ear thermometer)が普及して、家庭でもよく用いられている。耳式体温計が鼓膜温(tympanic temperature)を測定しているかどうか厳密な保証はない(入来正躬:体温生理学テキスト-わかりやすい体温のおはなし.文光堂、2003)が、1秒足らずで測定できるという利点がある。

鼓膜温は脳温(brain temperature)を直接的に反映するので、核心温として最も適切といえる。

皮膚温は測定部位によって異なるので、全身の皮膚をいくつかの部分に分けて、その部分の面積が全表面積に占める割合を係数として重み付けした平均値として表される。分割する数が多ければ多いほど平均皮膚温としての精度は上がるが、測定が煩雑になる。

実際によく用いられる平均皮膚温の計算法は4分割するRamanathan法である。この方法では胸部、上腕部、大腿部およびふくらはぎ部の4点の皮膚温を測定して図1に示した式から平均皮膚温を計算する。

図1平均皮膚温および平均体温

平均皮膚温および平均体温

 

サーカディアン・リズムによる核心温の差

核心温は環境温の影響によってはほとんど変化しないが、明け方に低く、夕方に高いというサーカディアン・リズム〔circadian rhythm〕(概日リズム)がある。

体温に限らず睡眠、内分泌、自律神経活動などにもサーカディアン・リズムがある。circaは「約」、dianは「日」の意味でサーカディアン・リズムは、約1日(約25時間)の周期で繰り返す生理的または行動機能の日内変動をいう。

時計やテレビ、ラジオなど、時間が分かる機器がなく、かつ太陽光などの影響も受けない環境下で自由に睡眠、飲食などをさせると、睡眠、内分泌、自律神経活動などの活動は約25時間周期になることが知られている。

 

測定部位による核心温の差

腋窩温は直腸温に対して0.8~0.9℃低い。舌下温は腋窩温より約0.2℃前後高い。このように測定部位によって温度差があるが、絶対値のわずかな差よりも体温の変化の程度が重要なので、サーカディアン・リズムを考慮して、同じ部位で毎日同じ時刻に測定することが重要である。

 

NursingEye体温の測定法

直腸温は、肛門から10cm以上奥までプローブを挿入して測定する。腋窩温は、腋窩を10分間以上密閉して測定する。舌下温は、口をとじ、5分間以上経ってから読みとる。

近年普及した赤外線式鼓膜温計は、耳栓のようなプローブを耳介から外耳道の入り口に入れて鼓膜からの輻射温(赤外線)を測定する。約1秒間で測定できるが外耳道の構造に個人差があるので耳朶を軽く引っ張るようにして測定するとよい。通常3回測定して最高値を採用する。

額に光を当てて体温を測定する非接触型体温計もある。

 

〈次回〉

発熱物質|体温とその調節

⇒〔ワンポイント生理学〕記事一覧を見る

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『新訂版 図解ワンポイント 生理学』 (著者)片野由美、内田勝雄/2015年5月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

この連載

  • ガス交換の力学的解析|換気力学の三要素|呼吸 [08/30up]

    看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。 〈前回の内容〉 肺サーファクタントとRDS 今回は、ガス交換について解説します。 片野由美 山形大学医学部名誉教授 内田勝雄 山形県立保健医... [ 記事を読む ]

  • 発熱物質|体温とその調節 [11/18up]

    看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。 〈前回の内容〉 平均皮膚温と平均体温 今回は、発熱物質について解説します。 片野由美 山形大学医学部名誉教授 内田勝雄 山形県立保健医療大学... [ 記事を読む ]

  • 平均皮膚温と平均体温|体温とその調節 [11/13up]

    看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。 〈前回の内容〉 発汗|体温とその調節 今回は、平均皮膚温と平均体温について解説します。 片野由美 山形大学医学部名誉教授 内田勝雄 山形県立...

  • 発汗|体温とその調節 [11/11up]

    看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。 〈前回の内容〉 熱放散|体温とその調節 今回は、発汗について解説します。 片野由美 山形大学医学部名誉教授 内田勝雄 山形県立保健医療大学名... [ 記事を読む ]

  • 熱放散|体温とその調節 [11/06up]

    看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。 〈前回の内容〉 熱産生|体温とその調節 今回は、熱放散について解説します。 片野由美 山形大学医学部名誉教授 内田勝雄 山形県立保健医療大学... [ 記事を読む ]

もっと見る

関連記事

いちおし記事

高カロリー輸液は、中心静脈?末梢静脈?

ラインの使い分けに不安があるナース必見! [ 記事を読む ]

人気トピック

もっと見る

看護師みんなのアンケート

院内のジンクス教えて!

投票数:
1228
実施期間:
2019年06月04日 2019年06月25日

4番目に大切な人は?

投票数:
1210
実施期間:
2019年06月07日 2019年06月28日

「採血が難しい血管」選手権!

投票数:
1170
実施期間:
2019年06月11日 2019年07月02日

勤務先にめずらしい福利厚生、ある?

投票数:
1091
実施期間:
2019年06月14日 2019年07月05日

エンゼルケアどこまでやっている?

投票数:
4992
実施期間:
2019年06月18日 2019年07月09日

東京オリンピックのチケット、当選した?

投票数:
957
実施期間:
2019年06月20日 2019年07月11日

「現場でのプレッシャーが半端ない!」選手権

投票数:
350
実施期間:
2019年06月25日 2019年07月16日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者4702

COPDの急性増悪で入院中のAさん。Aさんの運動療法を開始するに当たり、「必須の評価項目」ではないものは、以下のうちどれでしょうか?

  • 1.呼吸困難(安静時、労作時)
  • 2.動脈血液ガス分析
  • 3.スパイロメトリー
  • 4.経皮的酸素飽和度(SpO2
今日のクイズに挑戦!