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2015年12月26日

女性の生殖器の構造と受精までの流れ|受精のしくみから理解する(2)

ナースのための解剖生理の解説書『身体のしくみとはたらき―楽しく学ぶ解剖生理』より
今回は、受精のしくみから解剖生理を理解するお話の2回目です。

〈前回の内容〉

男性の生殖器の構造と射精のメカニズム|受精のしくみから理解する(1)

前回は、男性の生殖器の構造と射精のメカニズムについて学びました。

今回は、女性の生殖器の構造と受精までの流れについて解説します。

 

増田敦子
了徳寺大学医学教育センター教授

 

〈目次〉

 

女性外性器の構造

女性の生殖器は大きく、外陰部と腟、その奥の子宮、そして子宮から左右に伸びた卵管と卵巣でできています(図1)。

図1女性生殖器の構造

女性生殖器の構造

 

 

女性の生殖器官のうち、腟の外側にあるものを外性器と呼びます。外性器は外陰ともいい、恥丘、陰唇、外尿道口、腟口、大前庭腺からなります。

思春期になると、恥丘にはうっすらと陰毛が生えてきます。その下には大陰唇と呼ばれる皮膚のヒダがあり、その内側にはよりやわらかな小陰唇と呼ばれるヒダがあります。両側の小陰唇の間を腟前庭といい、腟前庭の前方には陰核があります。陰核は男性の陰茎に相当する小さな突起物で、陰茎と同様、海面組織からなり、性的に興奮すると血液が充満するしくみになっています。

また、大前庭腺は粘液を分泌する一対の腺で、性交時はこの粘液が腟の入り口を潤し、陰茎の挿入を助けます。

 

memo性腺とは

性腺とは、生殖細胞を作る器官で、男性では精巣、女性では卵巣がそれにあたります。性腺からはホルモンも分泌され、それらは性ホルモンと呼ばれます。

 

卵子はどこで生まれるか

男性が一生涯精子をつくり続けるのに対し、女性が供給できる卵子の数は出生時にすでに決まっています。卵子の幹細胞である卵祖細胞は胎児の発育中に急速に増殖し、出生時にはすでに消滅してしまうからです。

では、卵子の発生について少し説明しましょう。

卵祖細胞はまず、娘細胞として一次卵母細胞(原始卵胞)を卵巣の中に送り込みます。卵巣の内部には、卵胞という小さな袋がたくさんあり、未熟な卵母細胞はまず、この袋の中に入り、排卵の時を待ちます。

排卵を促すのはホルモンのはたらきです。思春期になると、視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモンにより下垂体前葉からまず卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されます。卵胞刺激ホルモンは少数の一次卵母細胞を刺激し、成長を促します。

 

memo成熟卵胞

性腺刺激ホルモンの影響を受けて成熟した卵胞を成熟卵胞、またはグラーフ卵胞といいます。

 

一次卵母細胞が成長し、二次卵母細胞になると、卵胞が炎症を起こした腫れ物のように膨らみ、卵巣の外膜から突き出てきます。すると、2番目の下垂体ホルモンである黄体形成ホルモン(LH)が爆発的に分泌され、それに反応して排卵が起こります(図2)。排卵された卵子は卵管へと送られ、今度は精子の到着を待ちながら子宮へと向かいます。

図2

 

memo排卵痛

文字通り、排卵期に出現する下腹部痛排卵痛といいます。基礎体温をつけていれば、体温が低温期から高温期に移行するあたりで痛みの症状が出れば、排卵痛でしょう。原因として、排卵は卵子が卵巣の壁を突き破って飛び出てくる現象なので、卵巣壁からの少量の出血による腹壁への刺激や卵巣壁に起る収縮によるものなどが考えられています。

 

COLUMN卵子も競争する

卵子になる前の原始卵胞の数は20週の胎児が最も多く、約700万個あるといわれます。ところが出生するとそれが70〜100万個まで減り、思春期には30万〜50万個と10分の1以下になってしまいます。つまり、卵子は加齢とともに古くなり、その数も減っていく宿命を負っているというわけです。

最終的に排卵されるのはたった1個の卵子ですが、精子同様、ここでも競争原理がはたらきます。卵胞刺激ホルモンは一度にだいたい10数個の卵母細胞を刺激し、その中から選りすぐりの卵母細胞だけが排卵を許されるからです。

月経が始まってから閉経までの期間は一般的に40〜45年間ぐらいです。1カ月に十数個の卵母細胞を消費するとしても、その間に使う卵母細胞の総数はせいぜい4,800〜5,400個。残りの何十万という数の卵母細胞は競争のスタート台に立つこともできず、死滅していきます。

 

memo主席卵胞と次席卵胞

通常、10~15個の原始卵胞が成長を始めますが、成長の速度は卵胞により異なるので、優劣が出てきます。一番優秀な状態に育った卵胞が主席卵胞となり排卵に向かいます。また、主席には及ばなくても頑張って成長した卵胞が次席卵胞として待機しています。

主席卵胞が無事に排卵すれば次席卵胞の出番はなくなりますが、成長したものの消滅してしまうこともあるようで、少し遅れて次席卵胞が排卵することもあるようです。また、主席卵胞が排卵した後、次席卵胞も同じくらい成長していると、遅れて排卵することもあるようです。この場合、二卵生双生児になります。

 

精子と卵子が出会うまで

さて、女性の体内に入った精子はいったいどうやって卵子にたどりつくのでしょう。ここでは、その道筋を追いながら、女性の内性器の構造を詳しくみていくことにしましょう。

射精された精子がまず眼にするのは、女性の腟です。腟は、長さが8~10cmある薄い筋の壁でできた空洞で、分娩時には胎児の通り道にもなります。

腟を奥へ奥へと進んでいくと、子宮頚部にたどり着きます。子宮頚部は精子にとっては子宮への入口ですが、赤ちゃんにとっては子宮から体外へ出る出口になります(図3)。

図3受精と着床

受精と着床

 

子宮頚部から子宮へ入ると、大きさも形も洋ナシに似た広い空間がみえてきます。その壁は厚く3層からなっており、最も内側を子宮内膜、中間層を子宮筋層(分娩時に収縮する平滑筋)、外側を子宮外膜と呼んでいます。

子宮内膜は、受精卵を受け止めるベッドの役割を果たします。妊娠しないとこのベッドは定期的に新しいものにつくり変えられ、古いベッドは脱落して腟を通って体外に排出されます。これが月経です。

精子はさらに子宮の中を潮の流れに逆らうように進み、卵管へと向かいます。卵管は細長い10cmほどの管で、末端は膨らんで、ちょうど手の指のような卵管采という突起を広げています。排卵時、この卵管采が波打つようにして卵子を吸い込み、卵子は卵管の煽動と線毛のリズミカルな動きによって子宮へと運ばれていきます。

卵管に入った精子が子宮へ向かう卵子と出会うのはこの時です。卵子が卵管を通って子宮にたどり着くまでには3~4日かかりますが、卵子の寿命は排卵後わずか24時間です。ですから、精子は卵子が子宮にたどり着く前、卵管をちょうど動き始めたところを捕まえなくてはなりません。

 

子宮は膨らむ

子宮の大きさは平均で長さ7cm、幅4cm、厚さ3cmほどといわれます。これが、妊娠中は長さ30cm、幅25cmぐらいにまで膨らみます。

 

〈次回〉

受精のメカニズム|受精のしくみから理解する(3)


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『身体のしくみとはたらき』 (編著)増田敦子/2015年3月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

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