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2016年04月02日

利尿薬の誤解とヒント

『循環器ナーシング』2011年12月号<おさえておきたい循環器疾患の治療薬>より抜粋。
利尿薬の誤解とヒントについて解説します。

 

Point

  • 利尿薬は尿細管におけるナトリウム再吸収を抑制し,水とナトリウムを排泄させる。
  • ループ利尿薬はヘンレの太い上行脚,サイアザイド系利尿薬は遠位尿細管,カリウム保持性利尿薬は集合管に作用する。
  • ループ利尿薬とサイアザイド系利尿薬は低カリウム血症,カリウム保持性利尿薬は高カリウム血症に注意する。
  • BUN・クレアチニンが上昇してきたら利尿薬の減量・中止を考慮する。
  • 利尿薬の反応が悪いときは,循環血漿量が足りていることを評価してから増量する。

 

藤井洋之
(横浜南共済病院 循環器内科 循環器検査部長)

〈目次〉

はじめに

心不全高血圧などの循環器疾患の治療の際,利尿薬はよく用いられる有用性の高い薬です。しかしあまりにもあたりまえのように使われているため,腎臓でどのようなことが起きており,潜在的なリスクとして何を考えておかなければならないかなどについては,必ずしも十分に認識されていないのが実情だろうと思います。

本コラムでは,代表的な利尿薬であるループ利尿薬・サイアザイド系利尿薬・カリウム保持性利尿薬について解説したいと思います。

 

利尿薬の薬理

利尿薬とは,腎臓に作用し,水・ナトリウムなどの物質を排泄するよう働きかける薬剤です。細胞外液の浸透圧はナトリウムによって規定されるため,ナトリウムを体外に排泄することにより水も排泄され,循環血漿量を減らして血圧を低下させ,間質液量を低下させることにより浮腫・肺水腫を改善させます。

このように多くの利尿薬の作用は,尿中ナトリウム排泄を増加させることにより生じます。

 

腎臓における調節

ネフロンの構造

腎臓はネフロンと呼ばれる基本的な機能単位からできており,左右の腎臓合わせて200万個ほど存在します(図1)。

図1ネフロンの構造

ネフロンの構造

 

糸球体で濾過されてできた原尿は近位尿細管に入り,さらにヘンレループの下行脚を髄質に向けて流れ,ヘアピン状に曲がって上行脚を通って皮質へ戻る。傍糸球体装置の部分を経て遠位尿細管,集合管へと移行し,乳頭管を通り腎乳頭へと至る。

 

糸球体濾過率(GFR)

正常のGFRは女性で130~145L/日(90~100mL/分),男性で165~180L/日(115~125mL/分)であり,細胞外液量の10倍以上,血漿量の約60倍にも及びます。しかし実際の尿量は400~2500mL/日(0.3~1.8mL/分)程度であり,濾過された溶質や水のほとんどすべてが尿細管で再吸収されます。

GFRは腎血流量に依存しますが,循環血漿量の低下により腎血流が低下した場合,毛細血管の自己調節機能により輸入細動脈が拡張するとともに,レニン・アンジオテンシン(RAS)系が活性化され輸出細動脈を収縮させます。

また,ヘレンループ終末部の傍糸球体装置に到達するクロライドが低下すると輸入細動脈が拡張します(尿細管糸球体フィードバック)。このようにして糸球体内圧を保持し,GFRの低下を防いでいます。

 

ネフロンの各分画における機能

濾過された原尿はほとんどすべて尿細管で再吸収されます。ナトリウムと水は再吸収されなかった分が排泄され,カリウムは近位尿細管とヘンレループの太い上行脚でほとんどすべて再吸収され,集合管で分泌されます。

 

近位尿細管

濾過されたナトリウムと水の50~60%を再吸収します。また,ナトリウム吸収と関連してグルコース・リン酸・アミノ酸などの有機溶質がほとんど再吸収されます。

また,水の透過性が高いためナトリウムに見合った分だけ水が再吸収され,浸透圧は変化しません。

 

ヘンレループ

濾過されたナトリウムの35~40%をヘンレループの上行脚で再吸収します。この部位には水チャネルがないため,ナトリウムだけが尿細管から間質に移行し,尿細管液が希釈されるとともに髄質間質のナトリウム濃度が上昇します。

このため腎皮質に比べ腎髄質の浸透圧は高くなります。下行脚ではナトリウムは通過せず水のみが通過するため,髄質間質と同じ浸透圧になるように水が再吸収され,尿細管液は濃縮されます。

 

遠位尿細管

濾過されたナトリウムの5~8%を再吸収します。管腔内のクロライド濃度が増加すると再吸収量も増加します。

 

集合管

ナトリウムチャネルにより再吸収を行います(2~4%)が,これはアルドステロンで増加し,心房利尿ペプチド(ANP)で減少します。

水吸収は抗利尿ホルモン(ADH)により制御されており,ADHの存在により水の透過性が亢進します。

 

利尿薬の作用機序(表1

表1各利尿薬の特徴

各利尿薬の特徴

 

対向流メカニズム

糸球体濾過液は血漿と同じ浸透圧ですが,前述した理由で腎皮質では浸透圧が低く,腎髄質では浸透圧が高くなっています(図2)。

図2対向流メカニズム

対向流メカニズム

 

ヘンレループの下行脚では,水が完全に自由に透過できるので間質と同じ浸透圧になる。また,上行脚ではナトリウムが能動的に再吸収され,間質に比べて200mOsm/kg低い浸透圧となる。また,上行脚では水は透過しない。集合管ではADHの存在により水が再吸収され,髄質間質と同等の濃縮尿となる。ADHが存在しなければ水の透過性は低く,希釈尿のままとなる。

集合管においては,ADH存在下では水の透過性が高いため腎髄質と同様の浸透圧となって濃縮尿になり,ADHが存在しないと水の再吸収が起こりにくいため希釈尿となります。

 

ループ利尿薬

ループ利尿薬は,ヘンレの太い上行脚において管腔側膜にあるNa-K-2Cl輸送体のクロライド結合部位に競合することにより,塩化ナトリウムの再吸収を抑制します(図3A)。

図3(A)ループ利尿薬の作用部位

 

サイアザイド系利尿薬

サイアザイド系利尿薬は,遠位尿細管において管腔側膜にあるNa-Cl輸送体のクロライド結合部位に競合することにより,塩化ナトリウムの再吸収を抑制します(図3B)。

図3(B)サイアザイド系利尿薬の作用部位

 

カリウム保持性利尿薬(図3C

スピロノラクトン(アルダクトンA®)は,アルドステロンに拮抗しナトリウムチャネルを抑制することにより,ナトリウムの再吸収を抑制します。トリアムテレン(トリテレン®)は直接ナトリウムチャネルを阻害します。

ナトリウムイオンの再吸収により尿細管腔内が電気的陰性になり,細胞内から管腔内へのカリウムの分泌が促進されます。カリウム保持性利尿薬の使用によりナトリウム再吸収が抑制され,カリウムの分泌も減少し,カリウムが保持されます。

図3(C)カリウム保持性利尿薬の作用部位

 

各利尿薬の差異

利尿効果

健常者においては,濾過されたナトリウムの99%以上は尿細管で再吸収されます。約50~60%は近位尿細管,35~40%はヘンレループ,5~8%は遠位尿細管,2~4%は集合管で再吸収されます。

ループ利尿薬は,作用部位であるヘンレループにおけるナトリウムの再吸収量が遠位尿細管や集合管に比べて多いため,サイアザイド系利尿薬やカリウム保持性利尿薬より強力です。

 

カリウムへの影響

ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬は集合管へのナトリウムと水の到達量を増加させるため,集合管におけるナトリウム再吸収を促進し,カリウム分泌につながります。

また循環血漿量低下に伴うRAS系の活性化も集合管におけるカリウム分泌を促進し,低カリウム血症を惹起します。

ただしトラセミド(ルプラック®)はループ利尿薬ですがアルドステロン受容体阻害作用を併せ持つため,カリウムの変動は少なくなります。

また,カリウム保持性利尿薬はカリウム排泄が低下するため高カリウム血症になりやすくなります。

 

作用時間

ループ利尿薬は効果発現が早く,持続時間は3~6時間と短めです。サイアザイド系利尿薬は効果発現が1~3時間,最大効果が4~6時間と遅く,おもに前者は心不全等の治療,後者は高血圧などの治療に用いられます。カリウム保持性利尿薬は効果発現まで8~24時間と時間がかかります。

 

利尿薬の対象疾患

表2に対象疾患をまとめました。このうち高血圧と心不全を解説します。

表2利尿薬の適応疾患

利尿薬の適応疾患

 

高血圧

血圧の規定因子として,心拍出量・末梢血管抵抗・循環血漿量の3つがあります。心拍出量に対してはβ遮断薬,末梢血管抵抗に対しては血管拡張薬が用いられます。

降圧薬の多くは血管拡張薬であり,利尿薬の追加により相加作用が期待できます。とくにACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は低レニン状態で効果が出にくいので,相乗効果が期待できます。

ループ利尿薬は恒常的にナトリウム排泄を図れないため高血圧に対してはあまり使用されず,主にサイアザイド系利尿薬が用いられます。心不全合併例以外ではカリウム保持性利尿薬もあまり使用されません。

 

急性心不全

急速に利尿をつける必要があるため,ループ利尿薬のよい適応となります。用量依存性に効くため,フロセミドを10~20mgからワンショット静注し,効果がなければ40mg,80mgと増量します。通常200mgで反応がなければ他の方法を考えます。

ワンショット静注が基本ですが,持続点滴の方が総ナトリウム排泄量が多いとの報告もあり,試みられることもあります。

また,ループ利尿薬のみでは低カリウム血症が起きやすいため,カリウム保持性利尿薬やカリウム製剤の併用を行います。

スピロノラクトン以外の利尿薬の作用部位は尿細管腔側に存在するため,効果が発現するためには利尿薬が尿細管液内に存在している必要があります。

このため腎機能障害例,心不全例では通常より多量の利尿薬投与が必要となります。

心不全の急性期で乏尿のときは利尿薬が尿細管に到達せず,なかなか利尿がつきません。最初は多量の利尿薬が必要で,いったん尿が出だすと少量の利尿薬でコントロールがつくようになるのはこのためです。

内服薬を用いる場合は,消化管浮腫や血流低下,運動障害による利尿薬吸収不全が生じる可能性があり,効果が減弱します。用量を多くするか静脈内投与を考慮しますが,心不全改善後に過量となることもありますので注意が必要です。

 

慢性心不全

サイアザイド系利尿薬は利尿効果が弱いため,ループ利尿薬の内服が中心となります。カリウム保持性利尿薬は単独での効果はサイアザイド系利尿薬より弱いですが,カリウム保持の目的で併用されます。

RALES試験でスピロノラクトンが心不全患者の予後改善効果を示しており,予後改善目的でも用いられます。

ループ利尿薬のみでは効果不十分な場合,ヘンレループで再吸収されなかったナトリウムが遠位尿細管や集合管に流れ,ここでの再吸収が亢進している可能性があり,サイアザイド系利尿薬やカリウム保持性利尿薬の併用によって管理が可能になることがあります。

 

使用にあたっての注意点

副作用

過度の水分除去

利尿薬投与によってもたらされるナトリウムと水の喪失は,循環血漿量の減少をきたし,毛細血管の静水圧の低下につながります。毛細血管内圧の低下により間質からの水分が血管内に回収され,浮腫や肺水腫などが改善し,血漿量も保持されます。しかし,過度の体液の除去により心拍出量や組織潅流が低下することがあります。

腎血流量は血中尿素窒素(BUN)やクレアチニン濃度により評価できますので,利尿が図れているときにこれらの値が安定していれば,臨床的に有意な組織潅流の低下はきたしていないと判断します。

逆に,他に原因なくこれらのパラメーターが上昇したら,利尿薬治療の継続を控えるべき兆候となります。

純粋な急性心不全や腎不全においては,ナトリウム貯留による血漿量増加に伴い末梢の毛細血管の充満圧が高まり,その結果浮腫が生じているため,利尿薬治療により体液喪失が起きても比較的速やかに間質から水が回収され,体液除去速度にはほとんど制限がありません。

もちろん腎機能モニターは必要ですし,急速な除水は電解質の問題も生じますので注意は必要ですが,水バランスだけに関していえば,浮腫が存在している状況では比較的安心して利尿薬を使える状況といえます。

これに対して肝硬変による腹水の場合,腹膜を通してのみ水が回収されるため,最大500~900mL/日という限界があり,浮腫のない腹水では500mL/日を超える体液除去はリスクを伴います。

純粋な急性心不全の初期は比較的急速に水分除去が可能ですが,低アルブミン血症が関与している場合は,膠質浸透圧に伴う血管内から間質への水の移動が存在しているため,浮腫が持続していたとしても循環血漿量が十分あるとは限りません。この場合,浮腫が続いていても注意をしなければいけません。

過度の水分除去が生じると,心臓に関しては前負荷低下による血圧低下,腎臓に関しては腎血流低下に伴う腎前性腎不全が生じえます。とくに心機能が非常に悪く,代償機序としての体液貯留で血圧を保っている慢性心不全の状態では,利尿薬の開始・増量時には循環血漿量の減少による低血圧をきたしやすいので注意が必要です。

 

電解質異常

カリウム

尿中カリウム排泄は主に集合管におけるカリウムの分泌に由来し,アルドステロンとナトリウム・水の遠位到達量の2つの因子で規定されます。ループ利尿薬とサイアザイド系利尿薬は,前述したように低カリウム血症になりやすくなります。

低カリウム血症は,心筋において自動能を亢進させ活動電位持続時間を延長させるため,上室性・心室性不整脈が起こりやすくなります。

とくに急性心筋梗塞や心不全など内因性のカテコラミンが分泌されている状況では,心室頻拍や心室細動のリスクが高く,注意が必要です。

また,ジギタリスが併用されている場合にはジギタリス中毒が起きやすくなります。

一方,カリウム保持性利尿薬は高カリウム血症をきたす場合があります。とくに腎機能障害例では注意が必要です。高カリウム血症は,心筋の静止膜電位を浅くし脱分極速度が低下することにより興奮伝導速度が低下し,心房内・房室・心室内伝導障害が生じます。

著明な高カリウム血症では心停止をきたします。また心室内の小範囲のリエントリー現象が起きやすくなり,心室頻拍や心室細動のリスクも高まります。

ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬を使用する際には,低カリウム血症予防のためカリウム保持性利尿薬やカリウム製剤の併用が行われます。この場合もカリウムの変動が生じうるため,モニタリングが必要です。

 

ナトリウム

低ナトリ血症はナトリウムの総量を反映するのではなく,水に対してナトリウムが相対的に少ない状態で生じます。血清ナトリウム濃度は血漿浸透圧の規定因子であり,血漿浸透圧は体全体の浸透圧と等しいため,体内の全溶質と総水分量の比と相関します。

体内の全溶質はナトリウムとカリウムなので,体内のナトリウムとカリウムの総量と血漿浸透圧が比例することになります。このため,ナトリウムとカリウムの総量と総水分量との比が血清ナトリウム濃度を規定します。

ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬によるカリウム排泄促進は,カリウムの減少に伴い血清ナトリウム濃度を低下させます。

また,利尿薬による循環血漿量の減少に伴いADH放出が起こり,それにより水分貯留が生じ,低ナトリウム血症が生じます。

 

時間経過

利尿薬はナトリウムの排泄を増加させ,初期には水・ナトリウムの喪失が起こりますが,これに拮抗する交感神経系・RAS系の活性化,ANP放出低下,ノルエピネフリン増加,ADH増加などの変化が生じ,ナトリウム,水の再吸収促進などが生じるため,しばらくすると定常状態となります。

このため,ナトリウム喪失が起きるのは利尿薬療法開始後ほぼ1週間以内に限られます。一定量の利尿薬の投与に関連した体液および電解質の臨床的効果および合併症は,おおむね2週間以内に現れます。

逆に一定量の利尿薬投与で,心機能・腎機能の変化や下痢などによる体液喪失などの変化がなければ,通常は投与2週間以降の電解質異常や過度の水分除去に伴う腎機能悪化をきたすことはありません。

外来患者では,初期に問題が生じず患者状況に変化が出なければ安定していますが,入院患者においては患者状況が不安定なうえ,薬物量の変更などもあるため,モニタリングは重要となります。

 

高尿酸血症

腎臓の糸球体にて濾過された尿酸は,上位の近位尿細管で90%が再吸収され,下部の近位尿細管で再分泌されます。利尿薬投与によって循環血漿量が減少すると,RAS系が賦活され,近位尿細管におけるナトリウムと水の吸収が亢進します。

有機溶質は近位尿細管でナトリウムと共輸送によって再吸収されるので,尿細管細胞内で増加します。この有機溶質が尿酸と交換で尿細管へと分泌され,尿酸の再吸収が増加し高尿酸血症になります。

高尿酸血症は痛風や尿管結石の原因となるとともに,心血管危険因子のひとつでもあります。

 

各利尿薬固有の副作用

利尿薬に共通した副作用は前述しましたが,その他に各利尿薬に固有の副作用があります。スピロノラクトンの女性化乳房などが有名です(表3)。

表3利尿薬の副作用

利尿薬の副作用

 

腎機能低下例での注意

利尿薬によって循環血漿量が減り,その結果腎血流量が減ってGFRが低下します。もともと腎機能の悪い方では腎血流低下に伴う腎前性の腎不全が致命的な腎機能障害につながることもあるため,注意しなければいけません。

利尿薬投与により循環血漿量が減少すると組織間液が血管内に戻り循環血漿量が保たれますが,間に合わない(利尿薬用量設定が過大)ときは循環虚脱が生じ,このような状態になる可能性があります。

また,サイアザイド系利尿薬はCcr 30mL/分以下では利尿効果は期待できず,腎機能悪化をきたすのみとなります。

 

循環血漿量低下時の注意

基本的に,最初から循環血漿量が少ないときは効果が期待できません。効果がない薬を漫然と使用することとなり,副作用のリスクが増えるだけとなります。

また,なまじ反応してしまうと循環血漿量の著明な低下をきたし,さまざまな臓器障害や血圧低下が生じます。利尿薬の反応が乏しい場合には循環血漿量の把握が重要であり,から打ちに注意する必要があります。

循環血漿量が少ない状態で利尿薬を使用しなければならない場合は,投与量や利尿の速度に十分注意する必要があります。間質から血管内に水が回収される早さに合わせて利尿をつけなければいけません。

また,アルブミンなどの投与により血管内の膠質浸透圧を上げ,間質から水を回収したのち利尿薬を使用する,といった工夫も必要となる場合があります。

 

反応が悪いときに考えること

急性心不全などに対し静脈内投与を行っているとき,尿量が少ないと利尿薬の用量が足りないと判断して追加投与することがあります。

循環血漿量が足りており,循環不全や腎機能低下などの問題で利尿薬の効果が不十分な場合はよいのですが,循環血漿量が不足している状態で利尿薬を追加投与すると,効果がないばかりか腎機能障害や血圧低下などの副作用を出現させるだけとなってしまいます。

この場合,補液やアルブミンの投与などにより循環血漿量を確保しつつ利尿をつけなければいけません。

利尿薬の反応が悪い場合,どのような要因で利尿がつかないかを評価することは非常に重要です。

 

その他の注意

慢性心不全において内服の利尿薬が至適に使用されていれば,浮腫などのコントロールもつき,電解質なども定常状態を保ち,よい状態を作ることができます。

しかし,水分摂取不足や夏季など循環血漿量が低下する状況が加わったにもかかわらず漫然と使用すると,脱水を惹起して腎血流量が低下し腎不全を増悪させます。

 

最後に

利尿薬は,循環器領域では頻回に使われる有用な薬剤です。しかし,患者の病態,検査データなどより至適に用いられているかを考えながら使わなければいけません。

腎機能や循環血漿量などを把握しないで漫然と用いると,患者の状態を悪くしかねません。

当然これらのチェックは医師が行うのですが,判断材料となるパラメーター(尿量や血行動態などの患者情報)は看護師の観察から得られます。

利尿薬の薬理を理解し,患者の体のなかでなにが起きているのかを想像しながら観察することで,さらによりよい看護ができるのではないかと思います。

 

 


[Profile]
藤井洋之(ふじい ひろゆき)
横浜南共済病院 循環器内科 循環器検査部長
1991年 東京医科歯科大学医学部卒業。2000年 横浜南共済病院 循環器内科 医長を経て,2009年より現職。

*略歴は掲載時のものです。


本記事は株式会社医学出版の提供により掲載しています。/著作権所有 (C) 2011 医学出版
[出典]循環器ナーシング 2011年12月号

P.368~「利尿薬の誤解とヒント」

著作権について

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