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2015年10月27日

血液の仕組みとはたらき|血液の流れから理解する(5)

ナースのための解剖生理の解説書『身体のしくみとはたらき―楽しく学ぶ解剖生理』より
今回は、血液の流れから解剖生理を理解するお話の5回目です。

〈前回の内容〉

リンパ管の構造と機能|血液の流れから理解する(4)

前回は、リンパ管の構造と機能について学びました。

今回は、血液の仕組みとはたらきについて解説します。

 

〈目次〉

 

血液は生体内で唯一の流動性組織体

血液ほど生体内の組織の中でユニークなものはありません。身体の中を循環し、個々の細胞に酸素と必要な栄養素やホルモンなどを届ける配達業務を行い、さらに代謝によって生じた老廃物を体外へ捨てる回収業務を行うことができるのは、血液が生体内で唯一の流動性をもった組織だからです。つまり体内を絶え間なく流れる川といってもいいでしょう。

 

memo血液のはたらき

(1)運搬作用:ガス(酸素、二酸化炭素)、栄養素(グルコース、アミノ酸など)、老廃物、イオン、ホルモン、ビタミン、熱などを運ぶ。

(2)身体の保護:体外より入ってきた細菌や毒素、体内の異物を処理する。

(3)止血作用:出血などの際に過剰の血液が損失しないように血液を凝固させる。

(4)内部環境の恒常性維持:体液の浸透圧やpHを調節する。

 

血液の成分を知る

血液を構成する成分は大きく、固形成分(血球)と液体成分に分けられます。比率は固形成分が45%、液体成分が55%です。血液の液体成分を血漿といい、細胞外液に分類されます(図1)。

図1体液の区分

体液の区分

 

細胞外液のうち、血漿とリンパ液を合わせると体重の5%を占め、このうち4%が血漿です。血液を大雑把に捉えるとその半分を占める血漿が体重の4%ということですから、血液は体重の8%ということになります。血液内の固形成分とは、白血球、赤血球、血小板を指します。全血量に対する固形成分の比率をヘマトクリット値といい、正常では約45%になります。

 

memo血液の特徴

量:体重の8%

pH:pH7.35〜7.45(弱アルカリ性)

比重:1.06

色:鮮紅色(動脈血)、暗赤色(静脈血)

*比重は同じ体積の水の重さを1としたときの比率

 

血液も、流動的な組織であるというだけで、基本的には生体内の他の組織と変わりません。臨床では、輸血は血液が入ったパックを輸液と同じようなルートと接続して、点滴と同じ操作で行います。また、ほとんどの場合は看護師が行うので、血液型さえ間違わなければ大した医療行為ではないように思われるかもしれません。でも、赤血球をはじめとした血液細胞の集団を人の身体の中に入れるわけですから、臓器を移植するのと同じです。緊張感をもって慎重に行う必要があります。たとえ血液型が同じであっても、臓器移植と同じように拒絶反応が起こることを想定した患者の状態観察が欠かせません。

 

memo血液比重は献血での採血基準の1つ

日本赤十字社では、献血者の健康を第一に考えて採血基準が設けています。その1つにヘモグロビン濃度があります。実際にはヘモグロビン濃度を測定せず硫酸銅法による血液比重で代用しています。これは、これは一定の比重に調整した硫酸銅液(青い液体)に血液を一滴落とし、赤い血液が沈むか沈まないかを見る方法で、安価ですぐにわかり、採血基準に合致するかを簡便に判定できるからです。

 

図2に血漿中の蛋白質のうちいちばん多いのはアルブミンで、全蛋白質の約60%を占めています。

図2血液の構成成分

血液の構成成分

 

アルブミンは、分子の大きさが蛋白質の中で最も小さく、さらに量も多いことから、血液の浸透圧を維持するために重要な役割を果たしています。

グロブリンは細かく、α1、α2、β1、β2、γに分類されます。α、βグロブリンは血液中の脂質や脂溶性ビタミン、鉄、ホルモンの輸送にかかわっています。γグロブリンはリンパ組織でつくられ、免疫に重要な役割を果たす抗体に相当します。アルブミンとグロブリンの比をA/G比といい、正常は1以上です。

抗体と蛋白質でできたホルモンを除いて、ほとんどの血漿蛋白質は肝臓で生成されます。ですから、肝臓の機能が障害されると血漿蛋白質の生成も障害され、低蛋白血症になります。ですから、アルブミンの減少による膠質浸透圧の低下で浮腫が症状として現れたり、フィブリノゲンの減少により出血しやすくなることもうなずけます。

血液の液体成分のうちフィブリノゲンなどの凝固因子を除いた液体成分を血清といい、血漿と区別しています。血液が生体にあるときの液体成分は血漿でいいのですが、採血した血液は試験管などの異物に触れると固まる性質をもっています。体外に出した血液を放置し、固まったあとの上澄み(上清)を血清といい、これは非生理的あるいは人工的なものです。

 

生体防御に必要な白血球

ここで少し、それぞれの成分の特徴とはたらきをみていきましょう。

液体成分である血漿の9割は水です。血漿内には100種類もの物質が溶け込み、身体のあちらこちらに運ばれています。ブドウ糖やアミノ酸、蛋白質などの栄養素やホルモン、代謝によって生じた老廃物などといった、水に溶ける物質はすべて血漿が運びます。

白血球は図3をみてわかるように、赤血球や血小板と違って、いくつか種類があります。

図3血球の種類

血球の種類

 

大きく顆粒をもつ顆粒球ともたない無顆粒球に分けられ、顆粒球はその顆粒の染色の仕方により好中球、好酸球、好塩基球に、無顆粒球はリンパ球と単球に分けられます。白血球の中で最も多いのは好中球です。また、単球は血管外へ遊走すると組織ではマクロファージに分化します。

白血球は体内に入ってきた細菌と戦ういわば兵隊で、生体防御の役割を担っています。防御の方法は少し変わっていて、細菌を外側から包み込んで細胞内に取り込んでしまうのです。その様子が、細胞が細菌を食べたり、飲み込んだりしているようにみえるため、「食作用」や「飲作用」とよばれています。

 

memo食作用の盛んな順

好中球>単球>好酸球>リンパ球>好塩基球

 

白血球は、破れた組織や感染部位から出される化学因子を察知すると、110番通報でパトカーが現場に駆けつけるように、血流に乗って近くまで移動します。目的の場所にたどりつくと、血管から内皮細胞の隙間をアメーバのようにすり抜けて標的となる細菌を食べ始めます。白血球の中でも食作用の強い好中球は細胞内の顆粒、つまりリソソーム(『人間の身体を構成する細胞|生体としての人体(2)』参照)の中にある消化酵素で取り込んだ細菌を消化し分解します。だいたい5~25個の細菌を処理すると好中球は死滅し、死滅した好中球と細菌の集団が膿となります。

 

memo化学走性

白血球が血管をすり抜けて異物に到達できるのは、化学物質の導きによるものです。これを化学走性といい、化学物質を発生する源になった物質を化学走性源とよびます。

 

白血球の数は血液1mm3当たり4,000〜9,000で、容量としては血液全体のわずか1%にすぎません。いったん白血球が動員されると自動的に白血球が増産され、多いときには数時間で2倍もの白血球が流れることもあります。白血球が極端に増加すると、白血球増加症となり、生体内で細菌感染が進行していることを示す指標になります。

 

血液が固まるしくみ

血液は通常、血管内で固まることはなくスムーズに流れています。しかし、いったん血管が破れると、血液が体外に流れ出てしまわないように、止血機構がはたらいて急速に血液を固めてしまいます。この止血機構で活躍するのが血液細胞である血小板と血漿蛋白質のフィブリノゲンをはじめとする凝固因子です。

 

memo血液の状態は場所によって異なる

 

この血液が固まるしくみには、破れた組織から放出される酵素など16の因子が関係しています。止血の段階は大きく分けて、(1)血管収縮、(2)血小板プラグの形成、(3)凝固、の3段階で行われます(図4)。

図4止血のしくみ

止血のしくみ

 

memo出血に強い人間

血小板の数は血液1μL(mm3)あたり15〜40万個あります。数が10万に減少しても出血も起こらなければ、出血時間も延長しません。5万以下になるとささいなことで出血しやすくなり、小さな手術で出血が止まりにくくなります。自然に出血し、皮膚に点状出血が起こるのは2万以下です。凝固因子も必要量の数倍から10倍存在しています。人間は出血に強くできているようです(赤血球数が1/10になったら、なんて考えられません)。

 

血管が破れると、まず血小板が塊になって血管壁に付着します。これを血小板プラグといいます。次に、凝集した血小板からセロトニンが放出され、血管の収縮を助けて血流が低下します。同時に、血小板や破れた組織からトロンボプラスチンが放出され、血漿の中にある凝固蛋白やカルシウムと作用して血漿中のプロトロンビンをトロンビンに変換します(図5)。

図5血液凝固系と線溶系

血液凝固系と線溶系

 

さらに、このトロンビンが可溶性(水に溶ける)のフィブリノゲンを不溶性(水に溶けない)のフィブリンに変換します。フィブリンは細長い線維状の分子で、集まって網目構造をつくり、そこに赤血球が絡まるようにして凝血塊ができます。破れた血管壁が再生されるまで、この凝血塊が傷を塞いでくれるのです。血液が固まるまでの時間は通常2~6分です。

このように、血液が凝固する反応は、ある凝固因子を活性化し、活性化された凝固因子がまた別の凝固因子を活性するという、いくつかの反応が次々と連鎖的に起こるもので、これをカスケード反応とよびます。これは、あたかも血管破綻という引き金により凝固因子が連鎖反応(ドミノ倒し、将棋倒し)のように次々と活性化されるものです(図5参照)。ですから、途中のドミノ(将棋)が(1つ欠けると最後まで倒れないように、)たった1つの因子が欠けてもストップしてしまいます。遺伝性の血友病では、この凝固因子の1つがつくられないため、正常な血液凝固ができず、小さな傷でも著しい出血を伴うことになります。

血管が破綻したとき過剰の血液を損失しないように、凝固した血液で破綻した血管を塞ぎ、その間に破綻した血管を修復します。でも、血管の修復が終われば凝血塊は血流の邪魔になるので除去する必要があります。

けがによる出血を、堤防が決壊して河川の水が流出する洪水にたとえて考えてみましょう。沿岸の家々では床上・床下浸水になって困るので、決壊した堤防に土嚢を積んで、それ以上水が出ないようにします。そして、堤防の修理が終わるとその土嚢をどかすのと同じです。

凝血塊のフィブリン(線維素)を溶解するのはプラスミンです。プラスミンは血管の修復が終わるとプラスミノゲンがプラスミノゲンアクチベータの作用で活性されてできるものです。この過程を線維素溶解、略して線溶といいます(図5参照)。

 

COLUMN止血機構の異常に対する治療

正常では、血管内の血液は固まらないようになっています。ただ、正常な状態でも血管内で凝固してしまうことがあります。血管が破綻していないのに血液が固まると凝血塊は血栓となって血管を塞いでしまいます。このように血流が遮断された状態を塞栓といい、これが長引けば細胞は死んでしまいます(壊死)。心臓であれば心筋梗塞、脳であれば脳梗塞を起こすことになります。壊死に至る前に血栓を溶かせば、後遺症を残さずに回復することもできます。実際に患者へ投与されるのは線維素を溶解するプラスミンではなく、プラスミノゲンアクチベータ(plasminogen activator;PA)で、t-PA(組織プラスミノゲン活性化因子)とウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子(urokinaseplasminogen activator;u-PA)があります。

一方、たとえば動脈硬化などで血管の内側が粗くなっていると血小板がそこに凝集しやすくなります。また、寝たきりの患者では血流が停滞しやすく血栓をつくりやすい状態になっています。このように血栓を形成しやすい患者には予防策として抗凝固薬が投与されます。

解熱鎮痛薬のアスピリンの常用量は大人で1.0〜4.5g/日ですが、少量(40〜100mg/日)では血小板の凝集を阻止します。点滴で針を血管内に留置していると、針は異物となりそこに血液が固まりやすくなるので、トロンビンの作用を阻止するヘパリンが点滴と一緒に投与されます。採血した血液が固まらないように、採血の際には、カルシウムを除去するEDTA(エチレンジアミン四酢酸)やクエン酸ナトリウムがあらかじめ入った採血管を使います。また、凝固因子の大部分は肝臓で生成され、その際にビタミンKが必要なので、ビタミンKの作用を阻止するワルファリンが投与されています。つまり、ワルファリンは試験管では血液凝固阻止作用はもちませんし、投与するまでにつくられた凝固因子があるので、投与して作用を発揮するまでには12〜36時間以上かかります。

 

memoワルファリンとビタミンKの関係

北米でウシに出血性疾患がみられたので研究したところ、餌の中に混入していた腐ったクローバーに含まれているクマリン誘導体が原因であることがわかりました。クマリン誘導体の構造がビタミンKによく似ているため、ビタミンKの作用を拮抗するのです。クマリン誘導体の中で、最もよく使われている薬物がワルファリンなのです。

 

酸素を運ぶ赤血球

物流システムの中で重要な役割を担っているのは、赤血球です。赤血球には呼吸によって取り入れた酸素を全身にくまなく運ぶ役割があります。

赤血球には、他の細胞と異なり核がありません。また、ミトコンドリアをはじめとする細胞内小器官もほとんどありません。赤血球はヘモグロビン分子をつめ込んだ袋のようなものです。ヘモグロビンは鉄を含んだヘムという血色素とグロビンという蛋白質の合体したもので、酸素は鉄に結合して運ばれます(図6)。

図6ヘモグロビン

ヘモグロビン

 

memo赤血球はタンクローリー

赤血球にはミトコンドリアがありません。赤血球は肺で積み込んだ酸素を使わず嫌気的解糖でATPを作り、細胞に酸素を運搬することができます。これはタンクローリーと同じです。タンクローリーにも自分が走るための燃料タンクがあるので、積荷の燃料を使わずに走ることができ、タンクとつながった構造になっていません。

 

その際、酸素を使いながら運んでしまっては赤血球の本来のはたらきをしないので、ミトコンドリアがありません。赤血球は酸素を使わずにATPを産生して酸素運搬という仕事をしてくれています。

形は小さな円盤状で、両側の中央がくぼんでいます。このように変わった構造をしているのは、体積のわりに広い表面積をつくり出し、ガスの交換をしやすくするためです。また、この形態により赤血球は変形能力をもっています。赤血球の直径は7~8μmですが、自分の直径より狭い毛細血管(内径は5μmくらい)でも自由に変形して通ることができます。でも、年をとって柔軟性がなくなると、毛細血管を通ることができなくなり、脾臓や肝臓などの細網内皮系の組織で貪食されて除去されてしまいます。

血液中に占めるその数は白血球の1,000倍以上で、通常は1mm平方当たり500万個前後といわれています。この数は、身体がどれくらい酸素を要求するかによっても変化し、酸素の薄い高所などでは要求が高まり、その数が増加します。

赤血球の寿命は約120日で、その生成には材料の鉄やビタミンB12、葉酸が必要です。また、腎臓から分泌されるエリスロポエチンによる刺激が必要です。食物中のビタミンB12の吸収には、胃液の成分(内因子)の作用が必要です。

 

memo腎性貧血とドーピング

主に腎臓で生成されるエリスロポエチンは慢性腎不全になると不足し、貧血になります。医薬品として遺伝子組み換えによるエリスロポエチン製剤があり、腎性貧血の治療に用いられます。一方、エリスロポエチンは赤血球数を増やすので、筋肉への酸素供給量を増やし持久力を高める目的でアスリートに使用されていました(ドーピング)。今は、世界ドーピング防止規程に基づき使用が禁止されています。

 

血液細胞はどこでつくられるか

血液細胞をつくり出しているのは、骨髄とよばれる部分です。血液細胞のおおもとは幹細胞とよばれ、骨髄でつくり出された幹細胞は赤血球や白血球、血小板に分化し、最終的に成熟したものが血液中に放出されます。血小板は核をもたず、成熟する過程で巨核球の細胞質がちぎれて産生され、正常の場合、数は1mm3当たり約30万といわれています(図7)。

図7血球の成熟過程

血球の成熟過程

 

幹細胞が赤血球に分化するのを刺激するのはエリスロポエチンです。一方、白血球に分化するのを刺激する因子はコロニー刺激因子(colony-stimulating factor;CSF)とよばれ、白血病などの治療で使用されています。また、血小板に分化するのを刺激するのはトロンボポエチンというホルモンですが、現在では詳しいことはよくわかっていません。

 

memo2種類のCSF

顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colonys timulating factor;G-CSF)は、好中球の産生を特異的に促進する造血因子です。再生不良性品権や白血病など好中球減少症を引き起こす各種疾患の治療に用いられています。また、マクロファージコロニー刺激因子(macrophage colonys timulating factor;M-CSF)は単球に作用して間接的にG-CSFの産生を促して好中球数を増やします。

 

幹細胞は、生後4か月ぐらいまではほぼ全身の骨髄でつくられています。しかし、骨髄での造血活動は加齢とともに徐々に弱くなり、20歳を過ぎると頭蓋骨や骨盤、胸骨、脊柱骨、肋骨など一部だけが造血を続けます。活発に血液をつくり続けている骨髄を赤色骨髄、造血をやめて脂肪組織に置き換えられた骨髄を黄色骨髄とよびます。

 

COLUMN貧血を人口動態で考えよう

赤血球という細胞を人の数にたとえると、貧血は人口減少と考えることができます。人口は出生数と消失数のバランスで決まります。ですから、出生数が減少したり、なんらかの原因で消失すると人口は減ります。

赤血球の生成量の減少(出生数の減少)

・細胞分裂(DNA合成)を促進する因子であるビタミンB12や葉酸の欠乏により貧血になります。多くの血球を送り出すためにはDNA合成を促進する必要があり、ビタミンB12や葉酸はDNA合成を促進しています。ですから、これらのビタミンが欠乏すると赤血球だけでなく、白血球や血小板の生成にも支障をきたしてきます。

・ビタミンB12の吸収に必要な内因子は胃細胞が放出するので、がんなどで胃を全部摘出してしまうと内因子欠乏になり、ビタミンB12の吸収が妨げられるので貧血を生じます。こういった患者にはビタミンB12を内服で投与しても吸収されないので、筋肉注射で投与します。

・刺激因子であるエリスロポエチンは腎臓から分泌されるので、腎臓が障害されると貧血になることがあります(腎性貧血)。

・赤血球の製造工場である骨髄の機能が、がんや放射線、薬物によって抑制されたり、製造工場自体が破壊されると赤血球が少なくなります。この場合も被害は赤血球だけにとどまらず、白血球や血小板も少なくなります。

・赤血球の役割である酸素運搬の主役はヘム鉄不足(材料不足)。

赤血球の消失量の増加(人口消失の増加)

・溶血で赤血球が破壊されると貧血になります。人間でいえば、年をとって寿命がきて亡くなるのは自然現象ですが、戦争で若者が多く亡くなったり、若くして事故や流行病で亡くなる場合がこれに相当します。

・外傷などの出血で血液を失うと貧血になります。人間でいえば、国外へ移住した場合と考えます。外から見えない内臓で少しずつ出血している場合や月経で出血が多いときも貧血になります。

 

memo溶血

溶血とは、通常、赤血球の崩壊をいいます。臨床上、溶血というと赤血球の早期破壊による溶血亢進を指しています。ただ、血液細胞の死滅・崩壊は必ずしも赤血球のみの現象ではありません。しかし、赤血球以外の血液細胞に関しては、溶血という用語を使用していません。

 

COLUMN膠質浸透圧と晶質浸透圧

膠は動物の皮や骨などを水で煮て製造する物質で、古くから固形墨、漆器、仏具、家具などの接着剤として使われてきました。皮を煮て作ったので「にかわ」という言葉が生まれたようで、主成分はコラーゲンなどの蛋白質です。

アルブミンなどの血漿蛋白質は毛細血管を自由に通過できないので、血管内に水を引っ張る浸透圧としてはたらきます。これを膠質浸透圧といいます。膠質の対語は晶質で、固体のときは結晶質で、溶液中で膠質にならない物質を指します。食塩の結晶は水に溶けるとNa+とClに解離しますが、イオンは細胞膜を自由に通過できないので細胞内外で濃度差があると晶質浸透圧を作ります。

膠質はコロイドともいい、直径は10-7〜10-5cm程度の大きさの粒子をコロイド粒子といいます。これが溶けているコロイド溶液は透き通って見えますが、横から光を当てると通り道が光ってみえます。これの現象をチンダル現象といいます

 

コロイド溶液のチンダル現象(右)

 

〈次回〉

食物は生命のエネルギー源|食物の流れから理解する(1)


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典]『身体のしくみとはたらき―楽しく学ぶ解剖生理』(編著)増田敦子/2015年3月刊行

引用・参考文献 / 著作権について

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今日の看護クイズ 挑戦者1221

78歳女性、持続する発熱と下腹部から臀部回りの痛みを訴え、老健施設より救急搬送にて来院しました。肋骨脊柱角叩打痛もあり、尿路感染症の診断で入院となりました。尿の培養は104CFU/mLであり、検鏡にてブドウ球菌様のGPCが認められ、3日後にブドウ球菌と確定しました。当初から抗菌薬としてVCMが開始とされていました。1週間以上抗菌薬を投与してもなかなか発熱も痛みも治まらず、腹部CTを撮影したところ、腸腰筋膿瘍であることが判明し、血液培養からはMRSAが検出され、臓器移行性も考えて抗菌薬をLZDに変更されました。解熱と炎症所見の改善がありましたが、投与2週間目に白血球と血小板が減少、また貧血傾向になりました。次のうち最も考えられることと行うべきことはどれでしょうか?

  • 1.白血球や血小板減少は、抗菌薬による骨髄抑制が原因と考えられるため、再度、VCMに変更するなど、他剤へ変更することを検討する。
  • 2.貧血傾向は、抗菌薬投与による腎機能障害から来る、腎性貧血であるため、医師と相談し、腎性貧血の治療を実施してもらう。
  • 3.LZDは臓器移行性が最も良いため、白血球減少や血小板減少、貧血に対し治療を行いながら使い続ける。
  • 4.解熱と炎症所見も改善していることから、抗菌薬を中止とし経過を見る。
今日のクイズに挑戦!