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2015年10月23日

不眠の診断と基本的な対応

『循環器ナーシング』2015年8月号<循環器疾患を持つ高齢者のメンタルヘルスケア>より抜粋。
不眠の診断と基本的な対応について解説します。

 

Point

  • 不眠の背景には精神・身体疾患が隠れていることがあるため,「不眠症」の診断は難しい!
  • 不眠に対する基本的な対応は,「睡眠衛生指導(教育)」!
  • 高齢者に対して安全に使える睡眠薬はない!

小田陽彦
(兵庫県立姫路循環器病センター 精神科 医長)

 

〈目次〉

 

はじめに

誰でも病気で入院すれば心配事のせいで眠りにくくなるものです。たいていはほんの一時的に起こり,退院すればまた眠れるようになります。

きちんと眠れていないと感じる入院患者の背景には精神・身体疾患が隠れていることがあるので不眠症の診断は難しいですが,基本的な対応は「睡眠衛生指導(教育)」です。高齢者に対して安全に使用できる睡眠薬はなく,睡眠薬を飲むことでかえってせん妄や転倒の危険性が増えるので,結果的に入院期間が延びるおそれさえあります。

 

不眠の誘因と診断

不眠症は罹患頻度の高い代表的な睡眠障害の1つです。

誰でも病気で入院すれば心配事のせいで眠りにくくなるものです。それに加えて,入院中は入眠時刻が通常とは異なります。普段の入眠時刻の2〜3時間前の時間帯は覚醒水準が最も高くなることが知られており,「入眠禁止ゾーン」と呼ばれています。したがって入院前に午後11時から午前1時の間に入眠していた患者にとっては,病棟の消灯時刻である午後9時は最も眠りにくい時間帯といえるでしょう。

 

不眠症の診断基準

不眠症の診断基準は,米国精神医学会が出した『精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)』(1)図1)や世界保健機関が出した『精神および行動の障害(ICD-10)』(2)図2)など複数種類があります。

図1DSM-5表紙

DSM-5表紙

 

図2ICD-10表紙

ICD-10表紙

 

診断のポイントは,①夜間不眠があること,②日中の精神・身体機能の低下がみられること,③他の精神・身体疾患を鑑別すること(図3)です。

図3睡眠障害の診断フローチャート(文献3を参考に作成)

睡眠障害の診断フローチャート(<a data-cke-saved-href=

 

一口に不眠といっても,その原因はさまざまであり,系統的な評価が重要となります。なぜならば正確な診断がなければ適切な対応は不可能だからです。

不眠症状や眠気が認められる睡眠障害は,細かいものまで含めるとおよそ100種類ほど存在します。不眠を訴える患者のうち,いわゆる不眠症である原発性不眠症(メモ1)に該当する患者は一部を占めるに過ぎません。不眠症と誤診されやすい睡眠障害のなかには,睡眠薬が無効なばかりか症状を悪化させるものもあります。

 

メモ1原発性不眠症と続発性不眠症

不眠症のうち,他の精神疾患などがなく原因不明で起こるものを「原発性不眠症」,他の精神疾患などが原因で起こるものを「続発性不眠症」といいます。睡眠薬治験の多くは前者を対象としており後者に対する効果は不明確です。

 

睡眠障害

うつ病による不眠

不眠に加えて気分の落ち込み,食欲低下,意欲・興味の喪失を伴う場合は「うつ病」による不眠を疑います。

食欲低下は看護記録の食事摂取量の欄に必ずしも表れないかもしれません。というのも,食欲がないのに周囲に心配をかけまいと無理をして食べる患者もいるからです。うつ病の患者に「食事はおいしかったですか?」と聞くと,「何を食べても砂のような味がします」という返事が返ってくることがあります。

意欲・興味の喪失は「何をしても楽しくない」「何もやる気が起きなくてつらい」という形で現れます。入院中に楽しいことはあまりないかもしれませんが,それでも家族が面会に来るなど楽しいはずの出来事があったときに「うれしいはずなのにうれしく感じなくてつらい」というのがうつ病による意欲・興味の喪失です。

これらの状態が24時間続く日が2週間以上持続した場合はうつ病の疑いが出てきますので,入院中に精神科医に診察を依頼するか,退院後に精神科を受診してみるよう勧めましょう。気分の落ち込み,食欲低下,意欲・興味の喪失が24時間あるわけではない,あるいは2週間以上続かない場合は,病気や入院のストレスによる,誰にでもある気分の落ち込みの可能性が高いので精神科受診を勧める必要はありません。

たとえば入院してから気分の落ち込みはあるものの,好きな本を読んでいたり,好きなテレビを見ていたり,好きな物を食べていたりする間は気分が晴れるという場合は気分の落ち込みが24時間続いているとはいえないので,精神科受診を勧める必要はないでしょう。

 

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に強いいびき呼吸停止がみられた場合は「睡眠時無呼吸症候群」を疑います。

睡眠中に咽頭・喉頭周囲の骨格筋が弛緩すると気道が閉塞し,断続的に息が止まります。そうするとその都度苦しくなって覚醒反射が起き,睡眠が断続的になるため,昼間の眠気といった症状が現れます。男性に多くみられ,とくに循環器疾患を合併しやすいことが知られています。

診断がつけばCPAP(メモ2)などの治療を行います。原発性不眠症と誤診されて睡眠薬が投与されると,睡眠薬は呼吸抑制や筋弛緩作用があることから睡眠時無呼吸症候群がかえって増悪し,夜間の呼吸・循環器機能が低下する危険性があるので要注意です。

 

メモ2CPAP

持続的陽圧呼吸療法のことです。睡眠時にマスクを通じて陽圧の空気を送り込み,吸気時の気道狭窄を防ぎます。

 

むずむず脚症候群

就床時に下肢の異常感覚があって眠れない場合は「むずむず脚症候群」を疑います。

成人の1〜3%にみられ,加齢とともに増加するとされています。鉄欠乏性貧血尿毒症関節リウマチの患者で多くみられます。「むずむずする」「虫がはう感じ」「不快感」「突っ張る感じ」という下肢の異常感覚が就床時に増悪するので入眠しにくくなります。ドパミン作動薬などの治療薬を用います。

 

ナルコレプシー

十分寝ているのに日中に突然眠気が起こる場合は「ナルコレプシー」を疑います。

ナルコレプシーは,ヒトの覚醒維持に不可欠な神経伝達物質であるオレキシンが欠乏することによって起こります。成人の0.1〜0.2%にみられる非常にまれな病気です。大事な試験など緊張の強い場面でも数分間突然眠り込んでしまう睡眠発作を特徴とします。その他,情動脱力発作,入眠時幻覚,睡眠麻痺などもみられることがあります。

規則正しい生活を送るのが基本的治療ですが,メチルフェニデートという治療薬を使う場合もあります。睡眠薬は効きません。

 

レム睡眠行動障害

睡眠中に異常に大きい寝言や異常運動がある場合は「レム睡眠行動障害」を疑います。

ヒトの睡眠は夢をみている時間帯である「レム睡眠」と夢をみていない時間帯である「ノンレム睡眠」に分かれますが,レム睡眠中の夢での行動がそのまま身体の行動となって出現するのがレム睡眠行動障害です。治療にはクロナゼパムという薬を使うことがあります。

 

概日リズム睡眠障害

夜型生活や昼夜逆転がみられる場合は「概日リズム睡眠障害」を疑います。

夜型生活は高齢者にはあまりみられませんが,昼夜逆転はよくみられます。睡眠不足でつらいと感じるので,大事をとって日中に昼寝をしてしまい,夜間にさらに眠れなくなるという悪循環をきたします。

睡眠薬は無効です。むしろ持ち越し効果によって日中の眠気が増悪し,ますます昼夜逆転がひどくなります。日中にできるだけ起きてもらうよう日勤看護師が促す,窓ガラス越しに日光を見てもらうといった対応が必要になります。

***

以上のような睡眠障害を除外診断したあと,いわゆる不眠症である原発性不眠症の可能性を疑います。

身体疾患はしばしば不眠症状を伴います。不眠が生じやすい疾患として心疾患,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患,胃潰瘍十二指腸潰瘍逆流性食道炎糖尿病高血圧,線維筋痛症,アトピー性皮膚炎などが知られています。既存の疾患に対する治療薬が不眠を起こすこともあります(表1)。

表1睡眠障害の原因となる薬剤(文献4より改変)

睡眠障害の原因となる薬剤(文献4より改変)

 

このように睡眠障害をみたら即不眠症,即睡眠薬使用と安易に考えずに正しい診断をすることが重要です。

 

基本的な対応

若年者であろうと高齢者であろうと,不眠症に対する共通した基本的な対応は「睡眠衛生指導(教育)」です。

日本睡眠学会の出したガイドライン(4)メモ3)では,睡眠薬を用いる前に必ず睡眠衛生指導(教育)を行うことになっています。すなわち睡眠衛生指導(教育)をせずにいきなり睡眠薬を用いるとガイドライン違反状態になります。

 

メモ3『睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン』

日本睡眠学会はホームページ(http://www.jssr.jp/data/pdf/suiminyaku-guideline.pdf)でガイドラインを公開しています。書籍版より情報量が少ないですが,無料で誰でも読むことができます。厚生労働省の補助金などをもとに作成されました。

 

睡眠衛生指導(教育)

睡眠衛生指導(教育)は,良質な睡眠を確保することを目的として,睡眠に関する適切な知識を患者に持ってもらい,生活を改善するための指導です。表2に代表的な指導内容を示します。

表2睡眠衛生のための指導内容(文献4より引用)

睡眠衛生のための指導内容(文献4より引用)

 

これらの指導内容のうち,入院患者の「寝室環境」については看護師がとくに注意して調整すべきです。その他,就床時刻が早過ぎる,昼寝が長過ぎる,運動量が乏し過ぎるといったライフスタイル上の課題から不眠症状が出現することもあります。

また心不全の患者は運動能力が低下しているため,ちょっとした運動で息切れや呼吸困難が起こります。心不全の急性期にはもちろん安静療法が必要ですが,いつまでも過剰な安静を続けると,かえって筋肉が萎縮して運動能力が低下し,不眠症の原因にもなります。

原因である運動不足に目を向けずに対症療法的に睡眠薬使用を勧めるといった不眠症対応は,患者の転倒・骨折の危険性を高めるおそれのある,問題看護といわざるをえません。不眠の訴えのある患者には日中の運動の必要性を説明すべきです。

とはいえ心不全の患者が運動をやりすぎると心不全が悪化する懸念があるので,患者が適切な運動療法を続けられるように援助を行うのが循環器ナースの重大な役割の1つと思われます。

 

高齢の認知症患者に対する非薬物的アプローチ

高齢の認知症患者には不眠症状や昼夜逆転がしばしばみられます。しかし残念ながら認知症に伴う不眠症状に対する有効な薬はなく,非薬物的アプローチが推奨されます(表3)。

表3認知症高齢者の睡眠問題と対策(文献4より改変)

認知症高齢者の睡眠問題と対策(文献4より改変)

  • 十分に日光を浴びる
  • 昼寝を控える
  • 定時に食事をとる
  • 不眠を惹起するコリンエステラーゼ阻害薬は午前中に服用する
  • 痛みに十分に対処する
  • 就寝前の水分を控える

などの睡眠衛生改善がポイントになります。

また,65歳以上の高齢者には睡眠薬を原則使用しないという姿勢も重要です。

 

高齢者に対する薬物療法の留意点

高齢者に対して安全に使用できる睡眠薬はありません。

睡眠薬にはベンゾジアゼピン系睡眠薬,ベンゾジアゼピン系と同じ部位に作用する非ベンゾジアゼピン系睡眠薬,メラトニン受容体作動薬,オレキシン受容体拮抗薬の4種類があります。後二者は発売されてからまだ時間が経過しておらず高齢者に対する効果と安全性について詳しくわかっていないので,高齢者への使用は推奨されていません。

厚労省の調査によると,睡眠薬の1日あたりの処方量や多剤併用率は一貫して増加しています。その背景には睡眠薬を含む向精神薬についての医療者の知識不足に基づく,漫然とした長期処方による依存や乱用があるとされています。

 

65歳以上の高齢者が睡眠薬を用いるべきではない理由

65歳以上の高齢者では20歳代に比べると総体水分量が減少し体内脂肪は増大します。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は脂溶性薬物なので,高齢者が使用すると体内に留まりやすくなります。65歳以上の高齢者が睡眠薬を使用すると転倒・骨折,認知機能低下,せん妄,交通事故の危険性が増えることが知られており,65歳以上の高齢者には睡眠薬を使用しないよう米国老年医学会は推奨しています(5)

 

高齢者に睡眠薬を使用する際のとても厳しい4条件

高齢者の不眠症に対して睡眠薬(ベンゾジアゼピン系または非ベンゾジアゼピン系)を用いると,13人に1人の割合で睡眠の質が改善するものの6人に1人の割合で副作用が出現するので割に合わず,転倒しやすい患者または認知機能障害のある患者は睡眠薬の危険性がとくに高いというメタ解析の報告(6)があります。

この報告によると,睡眠薬を用いることで睡眠時間をプラセボ(偽薬)に比べて平均25分間伸ばすことができましたが,眠気,倦怠感,頭痛,悪夢,吐き気,消化器症状などを主とする副作用がみられました。すなわち睡眠薬を飲んだ場合,眠気や倦怠感などの副作用が出る確率がよく眠れる確率の2倍ある,ということです。

日本睡眠学会のガイドラインの根拠報告書(7)では,不眠症の高齢者に対して非ベンゾジアゼピン系睡眠薬を使用することが弱く推奨されています。ただし以下の4条件を満たした場合のみです。

  1. 原発性不眠症で他に精神疾患がない患者
  2. 重篤な身体疾患がない患者
  3. 転倒や骨折のリスクが少ないと考えられる患者
  4. 転倒や骨折のリスクが増加する可能性に関して理解が得られる患者

ⓐの確認のためには医師による他の精神疾患の除外診断が必要です。なお,代表的な非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は統合失調症や躁うつ病などの他の精神疾患に伴う不眠症に対する効果はない,と臨床試験で報告(8)されています。

ⓑとⓒを満たす高齢患者は循環器病棟では少数ではないかと思われます。

ⓓを満たす患者,すなわち転倒や骨折のリスクが増加し入院期間が延びるかもしれない可能性について了解して睡眠薬を希望する患者には,睡眠薬が効く確率よりも副作用が出る確率のほうが2倍高いという相関関係や,睡眠時間が平均25分伸びる程度の効能が期待されるという事実も説明しなくてはならないでしょう。

なお,4要件を考慮せずに高齢者に睡眠薬を飲ませた場合はガイドライン違反状態となります。

 

不眠時屯用薬に医学的根拠は乏しい

不眠症が軽症の場合,夜に眠れないときだけ睡眠薬を飲むという不眠時屯用を行うことがありますが,不眠時屯用の効果と副作用を研究した薬剤はごく一部に限られており,大半の睡眠薬には不眠時屯用薬としての医学的根拠はありません(4)

とくにベンゾジアゼピン系睡眠薬については,休薬した夜に離脱性の不眠症状の悪化がみられる危険性が否定できないので,屯用は推奨されず,必要な場合には慎重に行うべきとされています。また,深夜帯に使用すると翌日への持ち越し効果が強くなり転倒・骨折の危険性がより高まるので,深夜帯に睡眠薬を使用することは推奨されません。

 

認知症患者に睡眠薬を使用した際の危険性

認知症患者(メモ4)への睡眠薬の使用は認知機能低下やせん妄,転倒・骨折の危険性があるため推奨されません。せん妄の患者への睡眠薬使用も,睡眠薬自体がせん妄の誘因であることから推奨されません。

 

メモ4睡眠薬使用と認知症発症率は相関する

複数の疫学研究が報告するところによると,睡眠薬を数年以上常用していると,睡眠薬を使っていない人に比べて認知症の発症率が高くなるという相関関係があります。高齢者のなかには認知症を気にしている方も一定数いますので,睡眠薬を飲ませる前にこの情報は伝えるべきでしょう。

 

週刊誌でも報じられた睡眠薬の危険性

高齢者への睡眠薬の使用は認知機能低下や過鎮静,せん妄,転倒・骨折,運動機能低下の危険性があるため慎重に用いるべきであるという事実は,一般週刊誌においてさえ近年報道(9)されています。医療従事者が睡眠薬の危険性に無頓着にならないよう気をつけましょう。

***

このように65歳以上の高齢者が睡眠薬を用いるべきではない理由は明らかですが,それでもさまざまな事情で睡眠薬を用いることもあるかと思います。その場合は奇異反応に気をつけましょう。

不安感や焦燥感を取り除くために服用したはずのベンゾジアゼピン系睡眠薬によって,逆に興奮し攻撃的になることがあります。これを奇異反応といいます。

睡眠薬だけではなく安定剤(メモ5)でも同様の事態が起こることがあります。その場合,翌日からは絶対に睡眠薬や安定剤を用いないように勧めましょう。また睡眠薬を飲んだ日は転倒にとくに気をつけましょう。

 

メモ5睡眠薬と安定剤

安定剤とはデパス(エチゾラム)などの抗不安薬を指し,その大部分は睡眠薬と同じベンゾジアゼピン系作動薬です。高齢者に用いると転倒・骨折,せん妄,認知機能低下,交通事故の危険性を増やすという点において,睡眠薬と大きな違いはありません。

 

飲んだら飲むな & 乗るな

睡眠薬・安定剤とアルコールは原則併用禁忌です。

ほとんどすべての睡眠薬・安定剤の添付文書には「できるだけ飲酒は避けさせること」と書いてあります。睡眠薬・安定剤とアルコールはともにベンゾジアゼピン受容体に作用するので,併用するとふらつきや健忘,奇異反応,脱抑制が強く生じます。

またアルコールの飲用後,アルコールの影響が消失してから睡眠薬を服用するという方法はありえません。なぜならアルコールの中枢神経系への影響は一般的に考えられるよりも長時間に及ぶからです。缶ビール1本でもアルコールの代謝には約5時間を要します。晩酌をした晩には睡眠薬を飲まないよう退院時に指導しましょう。

メタ解析(10)によると睡眠薬を常用していると交通事故を起こす確率が1.81倍に上昇します。ことにアルコールと併用している場合は7.7倍に上昇します。

この事実から,たいていの睡眠薬の添付文書には「自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること」と書かれています。睡眠薬を飲んだ翌日は自動車の運転をしないよう退院時に指導しましょう。

 

おわりに

不眠の原因はさまざまであるため厳密な診断は難しいですが,基本的な対応は睡眠衛生指導(教育)です。

循環器疾患を抱える高齢患者に最も適切な援助を行えるのは循環器ナースです。循環器疾患の性質に気をつけながら,患者一人一人に合った援助を行うよう心がけましょう。また高齢者には睡眠薬の効果よりも副作用のほうが出やすいので,原則睡眠薬を使わないという姿勢が大事です。

どうしても使うときは患者に効果と副作用をよく理解してもらうようにしましょう。

 

[関連記事]

 


[引用・参考文献]

  • (1)American Psychiatric Association (原著)・高橋三郎ほか(監訳):DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014.
  • (2)融 道男ほか(監訳):ICD-10 精神および行動の障害.医学書院,2005.
  • (3)睡眠障害医療における政策医療ネットワーク構築のための医療機関連携のガイドライン作成に関する研究班:睡眠障害医療における政策医療ネットワーク構築のための医療機関連携のガイドライン.睡眠医療,2(3):261-336,2008.
  • (4)三島和夫(編):睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン.じほう,2014.
  • (5)American Geriatrics Society 2012 Beers Criteria Update Expert Panel: American Geriatrics Society updated Beers Criteria for potentially inappropriate medication use in older adults. J Am Geriatr Soc, 60: 616-631, 2012.
  • (6)Glass J et al.: Sedative hypnotics in older people with insomnia: meta-analysis of risks and benefits. BMJ, 331: 1169-1173,  2005.
  • (7)渡辺範雄:中高年者不眠症の薬物療法と不眠の認知行動療法:GRADEアプローチガイドラインの作成.厚生労働科学研究費補助金(障害者対策研究事業)「睡眠薬の適正使用および減量・中止のための診療ガイドラインに関する研究班」平成24年度総括・分担研究報告書.pp115-127,2013.
  • (8)国立医薬品食品衛生研究所長:マイスリー審査報告書.2000.
  • (9)[スクープ公開]日本老年医学会がまとめた「高齢者が飲んではいけない薬リスト47」.週刊ポスト,47(23):154-158,2015.
  • (10)Dassanayake T et al.: Effects of benzodiazepines, antidepressants and opioids on driving: a systematic review and meta-analysis of epidemiological and experimental evidence. Drug Saf, 34: 125-156, 2011.

[Profile]
小田陽彦(おだ はるひこ)
兵庫県立姫路循環器病センター 精神科 医長

2009年 兵庫県立姫路循環器病センター入職。日本精神神経学会専門医・指導医。日本老年精神医学会専門医・指導医。最近の論文として『治験データからみたsuvorexantの意義』(Rinsho Hyoka〔Clinical Evaluation〕,43:W1-9,2015)がある。

*略歴は掲載時のものです。


本記事は株式会社医学出版の提供により掲載しています。/著作権所有 (C) 2015 医学出版
[出典]循環器ナーシング 2015年8月号

循環器ナーシング2015年8月号

P.11~「循環器ナースに知ってほしい不眠の診断と基本的な対応」

著作権について

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