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2015年10月12日

水と電解質の基礎知識|輸液の基礎知識

『循環器ナーシング』2013年10月号<学びなおしで疑問とサヨナラ! 輸液管理の基礎から実践まで>より抜粋。
水と電解質の基礎知識について解説します。

 

Point

  • 総体液量は体重の約60%! そのうちの2/3は細胞内液,1/3は細胞外液!
  • 細胞外液量を決定しているのは体内のナトリウム量!
  • カリウムは細胞内の主要な陽イオンで,体内の総カリウムの約98%が細胞内に分布している!

酒井健史
(北里大学医学部 腎臓内科 助教)

竹内康雄
(北里大学医学部 腎臓内科 准教授)

 

〈目次〉

 

はじめに

人間はさまざまな量の水分,塩分,食物を摂取しています。これらの摂取量は個々の物質により異なりますが,人体では細胞が正常に活動していくために,細胞内外の環境を一定に維持する機構を有しています。何らかの理由で水分などが摂取できない状態となったとき,輸液療法が必要となります。

本コラムでは,輸液療法を理解するうえで必要な水と電解質の知識について説明していきます。

 

体液量と分布

一般的に体内の水分量は体重の約60%です。乳児の場合は水分の割合が多く70%,高齢者では50%,女性は男性に比べて体脂肪が多いため50%といわれています(図1)。

図1体液組成

体液組成

 

体内の水分のうち,2/3は細胞内に,1/3は細胞外に存在しており,それぞれ「細胞内液」「細胞外液」と呼ばれています。さらに細胞外液の3/4(体重の15%)は間質液,1/4(体重の5%)は血液です(図2)。

図2体内の水分分布

体内の水分分布

 

体液のなかで「体液量」として調節されるのは細胞外液量のみです。細胞内液量は細胞自身が調節していますので,体液量の変化は主として細胞外液量の変化として捉えられます。

間質液は血液の水分量に影響を受けます。例えば,血管内静水圧が上昇し(つまり血管内の水分量が満杯になって血管外,間質へ漏れる),むくんだりするのがよい例です。したがって,血液の水分量を管理,維持することが最終的には重要です。

 

ナトリウムとカリウム

細胞外液量を決定するナトリウム

水の移動を起こさせる物質を「浸透圧物質」といいますが,血液内の主な浸透圧物質はナトリウム(Na)です。適切なナトリウムを血管内に保持することが,適切な細胞外液を維持することになります。

細胞外液量の変化は,血管壁にかかる圧力の変化を心房,大動脈,頸動脈,腎臓にある張力受容体(体液量受容体,圧受容体)などのセンサーが感知します。その後,交感神経系やレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系,心房性ナトリウム利尿ペプチド,抗利尿ホルモンなどの調節因子が腎に働きかけてナトリウム排泄を増減することにより,細胞外液量を調整します(図3)。

図3細胞外液量の調節機構

細胞外液量の調節機構

 

カリウムの分布

カリウム(K)はほとんどが細胞内に分布しており,細胞外液には2%程度しか存在しません。私たちは1日に40~120mEq(1600~4800mg)ほどカリウムを摂取するといわれますが,細胞外液には30~50mEq程度しか存在しません(図4MEMO1)。

図4カリウムの分布

カリウムの分布

 

摂取したカリウムはまず細胞外液に分布しますので,同量以上のカリウム摂取は細胞外液のカリウム濃度を2倍以上上げるおそれがあります。しかし実際には,上昇したカリウムはすぐに細胞内に移動するため,細胞外のカリウム濃度は低く保たれます。その後,主に腎臓を介して尿から体外に排出されます。

 

MEMO1ココに注意!

前述のとおり,細胞外液のカリウムは30~50mEq程度しかなく,カリウムを輸液で補充する場合は,注意が必要です(一般に速度は20mEq/時以下とされます)。

 

おわりに

皆さんは,IN-OUTバランスやナトリウム,カリウムといった電解質の量を気にすることなく,食事をされていると思いますが,体の精密な機構により,問題ない範囲にコントロールされています。

しかし,食事を摂取することができず輸液療法を行うときは,体に必要な水分や電解質を補ってあげなければいけません。健康な方であれば,多少補う量が多かったとしても前述のシステムによって問題のない範囲となりますが,心臓や腎臓など臓器障害を持つ患者さんの輸液は,きちんとIN-OUTバランスやナトリウム,カリウムなどの電解質の量を計算して輸液を行う必要があります。

本特集(循環器ナーシング2013年10月号)を通してさまざまな病態での輸液療法を学んでいきましょう。

 

[関連記事]

 


[引用・参考文献]

  • (1)深川雅史(監修):より理解を深める!体液電解質異常と輸液 改訂3版.中外医学社,2007.
  • (2)飯野靖彦(編):レジデントノート輸液療法パーフェクト.羊土社,2009.
  • (3)菱田 明ほか(編):標準腎臓病学.医学書院,2002.

[Profile]

酒井健史(さかい たけし)
北里大学医学部 腎臓内科 助教
2007年 北里大学医学部卒業後,同大学病院にて初期研修を行い,同大学腎臓内科に入局し,現在に至る。

竹内康雄(たけうち やすお)
北里大学医学部 腎臓内科 准教授
1989年 北里大学医学部卒業,1996年3月 同大学大学院卒業,医学博士号取得。その後米国留学などを経て,現在に至る。

*略歴は掲載時のものです。


本記事は株式会社医学出版の提供により掲載しています。/著作権所有 (C) 2013 医学出版
[出典]循環器ナーシング 2013年10月号

循環器ナーシング2013年10月号

P.16~「水と電解質の基礎知識」

著作権について

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