2015年09月30日

肺機能検査|呼吸器系の検査

『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、肺機能検査について解説します。

〈目次〉

肺機能検査とはどんな検査か

肺機能とは通常、肺の呼吸機能をいう。

呼吸機能の異常は、換気(肺胞の空気の出入り)、肺循環、ガス交換、呼吸中枢の機能障害の4つに大別される。

肺機能検査は、肺への空気の出入りに関する機能を調べる検査である。呼吸計(スパイロメーター)による呼吸曲線(スパイログラム)によって測定する。

また、アイソトープを用いた肺換気シンチグラフィーの進歩により肺局所の換気機能を知ることができる。

 

肺機能検査の目的

肺機能検査はこれら生理機能を臨床的に評価する検査法で、疾病の病態把握、診断、治療法の選択、経過観察、手術適応の決定に有用となる(COPD、肺結核、気管支喘息、肺気腫、気管支拡張症など)。

換気機能はスパイログラム、ガス交換機能は動脈血ガス分析を中心に行う。

〈換気機能検査、表1表2

  1. 肺活量:深く息を吸い込みすべて吐き出した際の空気量。
  2. %肺活量:年齢・性別から算出した予測肺活量(基準値)に対しての実測肺活量の比率。
  3. 努力性肺活量:深く息を吸い込み一気に吐き出した空気量。
  4. 1秒量:努力性肺活量のうちの最初の1秒間に吐き出した空気量。
  5. 1秒率:努力性肺活量に対する1秒量の比率。
  6. 残気量:息を吐ききった後に肺内に残っている空気量。

表1肺活量

肺活量

※全肺気量…深く息を吸い込んだ時に肺にたまった空気量のこと

表2検査値の判定

検査値の判定

図1肺気量分画

肺気量分画

 

肺機能検査の実際

  • 肺機能検査の多くは呼吸に関するものであり、患者にとってはかなり苦痛な呼吸を要求されることが多い。
  • また、患者の意志や感情によって大きな影響を受ける。

 

肺機能検査前後の看護の手順

患者への説明

初めに肺活量を測定するため、をノーズクリップでとめ、呼吸管に接続したマウスピースを口にくわえ、静かな呼吸を数回繰り返した後、一度大きく息を吐き(最大呼気)、次に大きく行きを吸い(最大吸気)、さらに大きく息を吐く(肺活量)。これを2〜3回繰り返すことを伝える(図2)。

次に、努力性肺活量、1秒量を測定するため、静かな呼吸を2〜3回繰り返し、大きく息を吸い、一気に強い息を全部吐き出す(努力性肺活量)ように伝える。

図2スパイロメーターによる検査

スパイロメーターによる検査

 

準備するもの

 スパイロメーター

検査後の管理

呼吸状態の変化に注意する。

 

肺機能検査において注意すべきこと

  • 骨折、肺炎気胸禁忌
  • 3回施行して最もよい値を参考にする。
  • 疲労感が強いときはピークフローを行う。

〈メモ:ピークフロー、図3

スパイロによる苦痛が強く検査が不可能なとき

図3ピークフローメーター

  • 検査の目的:ピークフロー値の客観的データに基づいて喘息の重症度の判定が可能である。ピークフローの測定記録により、気道の閉塞状態を知ることができる。
  • 検査の実際:ピークフローの値として喘息状態が把握でき、自覚症状だけでは難しい発作の予測が可能である。
  • ピークフロー値の減少:予測値や個人の最高値から喘息発作が始まることが考えられる。

 

肺機能検査現場での患者との問答例

これから呼吸状態をチェックします。全力で息を吐かないと測定できません。苦しくなったら言ってください。検査は10分くらいで終了します。

辛いですか。

大きく息を吸って完全に吐いてを繰り返すので苦しいと思います。3回繰り返し一番よい値を参考にします。まず、身長、年齢を教えてください。鼻をクリップで止めます。思いっきり吸って、吐いて見てください。よろしいですか。

はいわかりました。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典]『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』(編著)高木康/2016年3月刊行

新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版

参考文献

著作権について

この連載

  • 肺生検|呼吸器系の検査 [10/05up]

    『看護に生かす検査マニュアル』より転載。 今回は、肺生検について解説します。 〈目次〉 肺生検とはどんな検査か 肺生検の目的 肺生検の実際 肺生検前後の看護の手順 肺生検において注意すべきこと ... [ 記事を読む ]

  • 血液ガス検査|呼吸器系の検査 [10/02up]

    『看護に生かす検査マニュアル』より転載。 今回は、血液ガス検査について解説します。 〈目次〉 血液ガス検査とはどんな検査か 血液ガス検査の目的 血液ガス検査の実際 血液ガス検査前後の看護の手順 血... [ 記事を読む ]

  • 肺機能検査|呼吸器系の検査 [09/30up]

    『看護に生かす検査マニュアル』より転載。 今回は、肺機能検査について解説します。 〈目次〉 肺機能検査とはどんな検査か 肺機能検査の目的 肺機能検査の実際 肺機能検査前後の看護の手順 肺機能検査に...

  • 胸腔穿刺|呼吸器系の検査 [09/28up]

    『看護に生かす検査マニュアル』より転載。 今回は、胸腔穿刺について解説します。 〈目次〉 胸腔穿刺とはどんな検査か 胸腔穿刺の目的 胸腔穿刺の実際 -胸腔穿刺の適応 -臨床所見 -胸腔穿刺の必... [ 記事を読む ]

  • 気管支鏡検査|呼吸器系の検査 [09/25up]

    『看護に生かす検査マニュアル』より転載。 今回は、気管支鏡検査について解説します。 〈目次〉 気管支鏡検査とはどんな検査か 気管支鏡検査の目的 気管支鏡検査の実際 気管支鏡検査前後の看護の手順 気... [ 記事を読む ]

もっと見る

関連記事

  • FASTのエコー像(右胸腔、左胸腔) [10/26up]

    画像検査のなかでも、エコー(超音波)検査は、侵襲度が低く、簡便に行える検査です。 外来や病棟で、看護師が目にすることの多いエコー検査について、コツやポイントを消化器内科医が解説します。 〈前回の内容〉 FASTのエコー... [ 記事を読む ]

  • 聴診器が医師の命を救った!? 聴診器がもたらした200年 [12/13up]

    聴診器を使用する際のコツや、疾患ごとの聴診音のポイントについて、呼吸器内科専門医が解説している『聴診スキル講座』ですが、ここでちょっと一息。 今回は、本編とは別に、聴診に関する豆知識やグッズを紹介します。 コラムの第6話は、... [ 記事を読む ]

  • 看護師さんにオススメする聴診の勉強会・研究会 [12/20up]

    聴診器を使用する際のコツや、疾患ごとの聴診音のポイントについて、呼吸器内科専門医が解説している『聴診スキル講座』ですが、ここでちょっと一息。 今回は、本編とは別に、聴診に関する豆知識やグッズを紹介します。 コラムの第7話は、... [ 記事を読む ]

  • 喀痰・咽頭分泌物の細菌検査 [08/03up]

    看護師のための検査値の解説書『検査値早わかりガイド』より。 今回は、喀痰・咽頭分泌物の細菌検査について解説します。 〈目次〉 喀痰・咽頭分泌物の細菌検査の目的 検体の種類 喀痰・咽頭分泌物の細菌検査の検体... [ 記事を読む ]

  • 肺炎【疾患解説編】|気をつけておきたい季節の疾患【21】 [11/30up]

    来院された患者さんの疾患を見て季節を感じる…なんて経験ありませんか? 本連載では、その時期・季節特有の疾患について、治療法や必要な検査、注意点などを解説します。また、ナースであれば知っておいてほしいポイントや、その疾患の患者さんに... [ 記事を読む ]

いちおし記事

自主プチカンファ|マンガ・ぴんとこなーす【217】

始まるとつい長くなってしまう休憩室でのプチカンファレンス。 [ 記事を読む ]

不穏とは?せん妄とは?

不穏とせん妄、実は明確な違いはないんです。でも、それぞれ知っておくべきポイントがあることは知っていますか? [ 記事を読む ]

人気トピック

もっと見る

看護師みんなのアンケート

【転職経験者さん限定】以前の職場、戻りたい?

投票数:
1085
実施期間:
2019年04月30日 2019年05月21日

病院で好きな場所はどこ?

投票数:
1252
実施期間:
2019年05月03日 2019年05月24日

自分が描いていた理想の看護師になれている?

投票数:
1051
実施期間:
2019年05月10日 2019年05月31日

【新人限定】「配属先、いつ決まった?」

投票数:
714
実施期間:
2019年05月14日 2019年06月04日

ケアの優先順位(多重課題)で困った経験はある?

投票数:
928
実施期間:
2019年05月14日 2019年06月05日

看護書や医学書で見かける表現で「これどういう意味?」なものある?

投票数:
831
実施期間:
2019年05月17日 2019年06月07日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者3310

以下のうち、OHスケールの評価項目に含まれないのはどれでしょうか?

  • 1.関節拘縮
  • 2.自力体位変換
  • 3.浮腫
  • 4.湿潤
今日のクイズに挑戦!