2015年08月31日

心電図(12誘導心電図)|循環器系の検査

看護師のための検査本『看護に生かす検査マニュアル』より。
今回は、心電図検査について解説します。

 

〈目次〉

 

心電図検査とはどんな検査か

心筋細胞が興奮し、収縮するときに微細な電流が発生する。この電気現象を心電計で記録したものが心電図である。

患者に苦痛を与えないので、循環器系では最初に行われる検査である。

電気的な活動は、①洞房結節→②心房筋→③房室結節→④ヒス束→⑤左右脚→⑥プルキンエ線維→⑦心室筋と伝導され、波形として表示される。

 

心電図検査の目的

心疾患の存在を示唆する症状(胸痛、動悸、労作時息切れ、欠神など)がある場合や、以下の診断または判定に利用される。

  1. 不整脈
  2. 心筋梗塞、狭心症
  3. ペースメーカ機能
  4. 心房・心室の肥大・負荷
  5. 電解質異常(カリウム、カルシウム)
  6. 薬剤の影響(ジギタリス、抗不整脈薬など)

 

心電図検査の実際

図1心電図検査

心電図検査

 

  1. 上半身は脱衣し、靴下を下げて足首を出し、ベッドに仰臥位になってもらう(図1)。
  2. 電極装着部位にペーストをつけ、四肢と胸部電極を定められた正しい部位に装着する。
  3. 胸部吸着電極がつけられない患者や乳幼児は、シール貼り付け電極を使用するとよい。
  4. 心電計のアースを確実につけて電源を入れ、記録感度は1mV/cm、ペーパー(紙送り)速度は25mm/secであることを確認する。
  5. 安定化してから記録を始める。

心電図検査前後の看護の手順

心電図検査に関する患者への説明

  1. 心臓の動きが正常であるか調べる検査で、体に電極をつけるが、痛みはないこと。
  2. 記録中は会話、体動、深呼吸をしないこと。
  3. リラックスすること。
  4. 胸部吸着電極を装着した跡は時間が経てば消失すること。

心電図検査環境の整備

  1. プライバシー保護のため、カーテンを閉める。
  2. 上半身は脱衣しているため、室温を保ち寒くないようにする。

 

心電図検査の準備するもの

心電計一式:電極、ペースト、ティッシュペーパー、記録用紙

 

心電図検査において注意すべきこと

心電図検査前

  1. 尿意の確認をし、排尿を済ませてもらう。
  2. 近くにME機器や電気製品がある場合は、交流が混入するので電源を切る。
  3. 皮膚の汚れや汗は基線の揺れの原因になるので、酒精綿や蒸しタオルで拭き、電極を付け直す。

心電図検査中

  1. 患者の体に触れたり、話しかけたりしない。
  2. 呼吸が深く、胸郭の動きが大きいときは、自然な呼吸をしてもらう、もしくは息を止めてもらう。
  3. 通常、記録する場合はオート設定で記録するが、記録中に不整脈が出現した場合、マニュアル設定に切り替え、必要な部分の記録をする。
  4. オート設定で記録する場合、自動で波高が1/2mVに切り替えられることがある。その誘導はマニュアルで必ず1mV/cmの記録をする。
  5. 緊急を要する不整脈やST異常が出現した場合は、直ちに医師に報告する。

 

心電図検査後

電極のペーストをよく拭き取り、いつでも使用できるように、心電計は充電しておく。

 

その他

  • 記録した心電図波形に必ず、月日、時間、氏名を記入する。
  • 手術創などがあり、その部位の記録が不可能な場合は、その旨を記録用紙に記載する。
  • モニター心電図は現時点の心拍数、リズム、波形を知ることができる。異常波形の出現や胸部の違和感を訴えたときは直ちに12誘導を記録する。

《きれいな心電図の取り方》

1)交流障害(ハム)除去方法

  • 心電計用アースとベッド用アース線をつないで一点アースをとる。
  • 電極の皮膚への接着が不十分なときはペーストをつけ、電極の付け直しをする。
  • 誘導コードの断線が原因のときは誘導コードを交換する。

2)筋電図除去方法

  • 緊張が原因の場合は話しかけてリラックスさせる。
  • 寒さに対しては適切な室温にする、またはタオルケットなどをかける。
  • 手または足の下にタオルなど入れて楽な姿勢にする。

3)基線の動揺除去方法

  • インスト・スイッチ(安定スイッチ)を押すと、動揺した基線を中央に戻すことができる。

4)フィルタの使用

  • 交流障害を取り除くハムフィルタ、高域周波数の筋電図を取り除く筋電図フィルタ、低域周波数のドリフトを取り除くドリフトフィルタなどは周波数特性に影響を及ぼし、波形の変化をきたすので、通常は使用しないほうが望ましいが、緊急時には使用する。

5)心電図ペースト

  • ペーストには電解質が含まれ、電極と皮膚間の分極を少なくする。
  • 分極電圧が発生すると、基線が激しく動揺するアーチファクトとなって現れるので、ペーストを付ける。
  • ペーストの塗りすぎや電極同士の接触による電極間ショートに注意する。

 

心電図検査現場での患者との問答例

これから心電図検査を行います。

どんな検査ですか。

心臓の動きを確認する検査です。体に電極をつけますが、電気が走ったり、痛みがあるようなことはありませんので安心してください。

どうしたらいいですか。

ベッドに仰向けになって、胸を出してください。体の力を抜いて、検査中は話をしたり、動いたりしないでください。では、心電図を記録します。

はい。

 

参考

参考1誘導法

標準肢誘導
Ⅰ誘導(右手と左手の電位差)
Ⅱ誘導(右手と左足の電位差)
Ⅲ誘導(左手と左足の電位差)
増大単極肢誘導
aVR aVL aVF
単極胸部誘導図2
V1 V2 V3 V4 V5 V6

図2電極位置(単極胸部誘導)

電極位置

 

参考2正常波形(図3

図3心電図波形

心電図波形

 

心拍数:60以上100未満
P波:心房の興奮
幅2.75mm未満、高さ2.5mm未満
PQ間隔:房室結節内伝導時間
3mm以上5mm未満
QRS波:心室の興奮
幅1.5mm〜2.5mm
高さは誘導により異なる
ST部分:基線の高さ
T波:心室の興奮の消退

参考3異常な心電図(図4

緊急度1
心室細動、倒錯型心室頻拍(torsadesdepointes)、アダムス・ストークス症候群、徐脈頻脈症候群、心筋梗塞、洞停止
緊急度2
完全房室ブロック、Mobitz型房室ブロック、心房粗動、心室性期外収縮
緊急度3
心房細動、心房性期外収縮、Wenckebach型房室ブロック、洞房ブロック
緊急度4
洞性頻脈、脚ブロック、第Ⅰ度房室ブロック

図4異常な心電図(1)

異常な心電図

 

図4異常な心電図(2)

異常な心電図(2)

 

図4異常な心電図(3)

異常な心電図(3)

 

図4異常な心電図(4)

異常な心電図(4)

 

心電図検査に関する患者さんへの説明用資料

説明用資料心電図検査

心臓は血液を全身に送り出すポンプの役目を果たす臓器です。心臓の筋肉(心筋)は体内で生じる電気の刺激で収縮しますが、心電図は心筋が収縮するときに生じる電位変化を体表面から記録するもので、心臓の収縮のリズムの異常や心筋の肥大、もしくは虚血といって心筋に酸素が十分に供給されない状態を検出する検査です。
両手首と左足首、胸部の6か所、計9つの電極を装着し、心臓に流れる電流を様々な角度からキャッチして、異常がないか調べます。数分で終わります。胸や手足につけた電極に電流が流れるわけではありませんし、痛みもありません。

 

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典]『看護に生かす検査マニュアル』(編著)高木康/2015年3月刊行

看護に生かす検査マニュアル

引用・参考文献 

著作権について

この連載

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