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2014年09月27日

死なせないためには必要な措置?囚人に対する経管栄養―グアンタナモ収容所の看護師がNO

中心静脈や胃ろう、経鼻チューブなどを使い、患者さんに対して経管栄養を行うケースは臨床現場ではよくあります。しかし、それはあくまでも「治療」であり、その治療も基本的には患者さんからの同意を得たうえで行われるものですよね。

 

しかし、海外では治療以外での目的――具体的には「収監されている囚人を死亡させない」ようにするために、しかも「強制的」に経管栄養を行うことがあるようなのです。非人道的とも捉えられる処置。それに対して真っ向から異を唱える看護師がいました。

 

死なせないためには必要な措置?囚人に対する経管栄養―グアンタナモ収容所の看護師がNO|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

グアンタナモ収容所の実態

キューバにあるグアンタナモ米海軍基地内の収容所――ここはテロ容疑者を収容する施設です。かつては不法入国者の収容所だったのですが、2001年に起きたアメリカ同時多発テロ事件以降、テロ容疑者を収容しており「対テロの象徴」ともなっています。

 

また、長期の拘束や厳しい尋問、さまざまな拷問といった行為が世界的に問題になっている場所でもあります。その理由としては、ここがキューバ国内のアメリカ統治施設だからという事実が関係しているようです。国内の法律やジュネーブ条約などが適用されず、ある意味「無法地帯」となっているとか。

 

 

アメリカ軍の方針に「NO」を突きつけた看護師

グアンタナモ収容所内で働く職員は被収容者のある行動に悩まされていました。それは多くの被収容者による「ハンスト(ハンガーストライキ)」です。ハンストとは、飲食を断ち自らを餓死の危険に追い込むことで自分の主張を表明する行為です。被収容者たちがハンストをはじめたきっかけは、イスラム教を冒された、起訴も裁判もないまま長期間拘留されている、などといったことに対して不服を感じたことにあるようです。

 

アメリカ軍は、ハンストによって被収容者が餓死しないよう強制的に経管栄養を実施しました。それは被収容者を生かしておくための人道的な方法であると主張しています。

 

しかし、収容所に勤務するアメリカ海軍の看護師(男性)は、被収容者らへの強制的な経管栄養を犯罪行為とみなし、この行為を拒否すると断言したのです。

 

 

各方面から「彼はヒーローだ」と称賛されたものの……

シリア出身の42歳のディアブは、かつてグランタナモに収容され、そこでハンストを行った人物の1人です。彼は当時、当該看護師が被収容者に対して非常に同情的であった事実を明かしています。また、そのころ他の看護スタッフらも「経管栄養を施したくはないけど、それを行う以外の選択肢がない」と嘆いていたそうです。

 

「あの看護師は真の勇者だ。任務を拒絶した彼の行為は歴史に残る」ディアブは看護師を称賛しています。

 

さらに、イギリス弁護士コリ・クライダーは「彼こそが拘留者へ倫理的に適切なケアを行うにふさわしい人間だ」と述べています。

 

勇気ある男性看護師の言動は各方面で称賛されました。しかし、当該看護師はこの「経管栄養にNOを突きつける」という行動の後、収容所内での別の仕事を割り当てられたことがわかっています。

 

 

二転三転する措置命令、かみ合わない主張

連邦判事は、ディアブの証言を元にグアンタナモの実態を調査するように命じました。その結果、裁判官は「グアンタナモは被収容者に不必要な苦痛を味わわせている」として、強制的な経管栄養を禁止する一時命令を出しました。

 

しかし、やはり経管栄養は「被収容者を餓死から守るために必要な処置」として、後に禁止命令は取り消されました。

 

その後も、医師らによって「経管栄養をすべきでない」と主張されたり、医学雑誌の社説に「強制栄養は道徳的価値観に反する」という見解が掲載されたりしましたが、どれも徒労に終わっているようです。

 

 

「悪の撲滅」と「施設の閉鎖」どちらが優先されるべきか

現在、グアンタナモ収容所内には149人の被収容者がいます。その中の約34人がハンスト中で、うち18人が強制栄養の対象になっていると推測されています。しかし、アメリカ軍は昨年12月以来、ハンスト中の被収容者数を明らかにすることを拒絶しており、その正確な数値はわかっていません。

 

オバマ大統領はかつて施設の閉鎖を表明していましたが、議会では「代替地がない」という理由や「テロ容疑者が国内外に広まる」という懸念からかその実施は先送りとなっています。

 

今回の話は、各国の思想や倫理観など複雑な事情を含む難しい問題です。しかし「看護師の仕事は人に対して容易に苦痛を与えうる仕事」であることは忘れないようにしたいものです。

 

 

文:宮川梨沙

 

(参考)

Guantánamo nurse refuses to force-feed prisoners

グアンタナモ収容所で52人ハンスト、コーラン禁止きっかけ 無期限拘留に抗議

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コメント一覧(19)

19ハルカ2018年12月29日 16時12分

当該収容所の非人道的扱いは以前から話題になってますが、そもそも刑罰が確定した犯罪者が刑務所に収監されているわけではなく、テロ関係者の疑いをかけられた民間人が軍施設に長期拘束されている不適切な状態です

18匿名2015年03月15日 16時01分

17さん、それは言い過ぎです

17匿名2015年02月03日 10時43分

囚人に人権なんてないから当然。

16匿名2014年11月29日 09時49分

はぁ・・むずい

15匿名2014年11月03日 13時24分

難しすぎて判断はおろか理解できなかった。

14匿名2014年09月28日 12時32分

難しいですねー。

13匿名2014年09月28日 07時01分

どんな刑で入所してるのか分からないけれど、犯罪者の人権は難しい問題ですね。

12匿名2014年09月27日 21時52分

税金の無駄遣い

11匿名2014年09月27日 21時45分

難しい

10匿名2014年09月27日 19時40分

ふーん。囚人のことなんてどうでもいい。

9匿名2014年09月27日 19時26分

個人だけでなく、国によっても倫理感って違いますから難しいですね。

8匿名2014年09月27日 17時16分

ジレンマ〓

7匿名2014年09月27日 16時44分

本当に難しいな〓

6匿名2014年09月27日 15時50分

難しい。

5匿名2014年09月27日 14時08分

何がよくて何が悪いのかなんて、一言では片付けられない。

4匿名2014年09月27日 12時15分

難しいな。

3匿名2014年09月27日 11時41分

難しい問題ですね。

2匿名2014年09月27日 08時01分

各国の思想や倫理観など複雑な事情を含む難しい問題。命とはが問われる。

1匿名2014年09月27日 07時43分

難しい問題。
経管栄養以前の拘留背景にも問題ありそう

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