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2019年12月04日

【マンガ】大切な人が死ぬとき~私の後悔を緩和ケアナースに相談してみた~(5)

緩和ケアの現場が舞台のマンガ、期間限定の出張連載です(前のお話はこちら)。

漫画家・水谷緑さんが、父親が亡くなった日に考えたこと・感じたこと。

 

亡くなる前日のこと。病院の廊下を歩いていると水谷は看護師に呼び止められた。看護師は焦りながら「先ほどお父様が混乱されて暴れて…ミトンを付けさせていただきました」と水谷に説明。水谷は『暴れる…?お父さんが…?』と疑問を持った。それはがん患者の死の直前などにもよく現れる「せん妄」という意識障害だったが、そのときの水谷は知識もなく、父の姿にショックを受けた。水谷が父に「お父さん?緑だよ」と声をかけると…

 

 

ボーっとしていた父が、ハッと目を輝かせて「緑ちゃん!?」と返してきた。水谷は『今までこんなことなかったのに…』と思った。父はベッドの上で「……怖くなってきたよ…」と小さく呟いた。そばにいた水谷も恐怖を感じ、何も言えなかった。水谷は、『せめてその時に手を握ればよかった』と思っている。なぜならその後、父の意識はなくなり、それが最後の言葉となったからだ。

 

 

「これが話せる最後の瞬間」はわかるものだと思っていたが、実際は流れるようだった。ベッドに横たわり、少し上を向いている父の横に心電図が持ち込まれ、いよいよという感じになった。一晩中心電図は乱高下していたが、明け方に下がり続けたまま上がらなくなった。水谷は『ほんとうに…ほんとうに死んじゃうの!?』と涙があふれ、横たわる父にしがみ付きながら、子どものようにワーワー泣いた。悲しさや怖さがたまらず水谷が泣いていると…

 

 

「わああぁ」「わああ」と泣き声が聞こえてきた。水谷は『私…じゃないよね?私と同じくらい泣いている声がする…』と周りを見ると、看護師のSさんが泣いていた。Sさんは真面目で、世間話はしないタイプでいつもテキパキと父を看てくれていた。そのときはいっぱいっぱいだったが、あとからSさんが泣いていたことを自覚して、水谷はうれしく思っている。そしてついに心電図が0を表示し、父が息を引き取ろうとしたとき、「あきちゃん、いかないでー!」と母が泣きながら父に抱きついたのだ。

 

 

水谷はそんな母を見て、『お母さん…そうだよ、お母さんまだ52歳なのに…いい人なのに…何で…』と思っていると、うつむいて泣いていた母がスッと顔を上げて、はっきりと「ありがとうね!」と父に言った。すると父がスーと上半身だけ起き上がり、目を瞑ったまま「うん」とうなずいたのだ。

 

 

父はその後すぐにまた、スーと横になった。それは機械のような一定の動きで、幽霊の動きに似ていると水谷は感じた。心臓が止まっても耳の機能は最後まで残っているので、『よっぽどお母さんに答えたかったんだな』と水谷は思った。しかし、その後病室は心電図のピーという音だけを残して静まり返っていた。心電図はゼロだけど先生も来ないし看護師もなにも言わない…。水谷は『え…っとこれって…』と思い、「死んだ?」と流れる涙をそのままに、驚いた顔をしながら呟いた。

 

 

父が死んだら爆発するのでは?と思っていたが、病院は爆発しなかったし、現実はあっけなく、ものすごくふつうだった。先生は15分後に現れ「8時30分ご臨終です」と告げた。父の死後、病室で母が泣きながら父との思い出を話していた看護師は、いつも父の点滴チューブを踏んでた看護師だったので、人を選んで!と水谷は思った。慌しく、看護師が身体を綺麗にしにきたり、葬儀屋が訪れたりして、もう少し待ってもらいたいと水谷は感じた。水谷は、病院をあとにするとき、『もう会わないのか…少し寂しい』と思った。

 

 

水谷の父が亡くなり、家に連れて帰ってきたその日は、秋晴れの気持ちのよい日で、父が植えた庭の花々が燦燦と咲いていて、水谷はギャップについていけず、暫しそれを眺めた。水谷は「お父さん!誰も見ていないから起きていいよ!」と父に声をかけたり、父の頭のにおいをかいで『お父さんのにおい…というか病気のにおい』と思ったりした。母に「お父さんの髪の毛切って持って帰ってもいいかな?」と聞くと「やめな!引きずるよ!」と止められた。布団に寝かされた父の顔を見ると、顔が横に伸び始めていた。父の顔は人間っぽくなく「モノ」のようで「もうここにはいない」感じがした。

第6話は、12/11(水)公開予定です。

(閲覧期限:2019/12/18)

 

『大切な人が死ぬとき~私の後悔を緩和ケアナースに相談してみた~』が単行本になります(竹書房)

2020年2月13日(木)発売予定!

 

○●既刊情報●○

『32歳で初期乳がん 全然受け入れてません』

『精神科ナースになったわけ』が大ヒット! 
医療系コミックエッセイを多数描き続けてきた水谷緑が
自身の体験を元に描いた乳がん闘病コミックエッセイ! 

6年前に膵臓がんで父を亡くした私が、32歳で初期乳がん…。
人にがんを伝えれば引かれるし、妊娠に影響があるかもと聞いたし、私、独身だし、将来どうなるの?

 

○●既刊情報●○

『精神科ナースになったわけ 』(コミックエッセイの森)

精神科ナースになったわけ

人はなぜ心を病むんだろう
普通のOLだった太田良枝は、肉親の死による悲しみで、心のコントロールが利かなくなってしまった経験から心の病に興味を持つようになり、精神科の看護師になることを決意。

ー精神科のリアルな現場を新人看護師の目線で描くコミックエッセイ。

 

○●既刊情報●○

2年間の連載に加えて、50P以上の描きおろし&「腐女医」さーたりさんからの寄稿を含むオリジナルコラムも掲載しました。

Amazonや各書店で好評発売中です。

『じたばたナース 4年目看護師の奮闘日記』(KADOKAWA)

 

【著者プロフィール】

水谷緑(みずたに・みどり)HP

水谷緑

著書は「コミュ障は治らなくても大丈夫」(吉田尚記、水谷緑)「まどか26歳、研修医やってます!」「あたふた研修医やってます。」(KADOKAWA) 他。小学館「いぬまみれ」にて犬漫画「ワンジェーシー」連載。

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コメント一覧(2)

2リポ(ビタン)2019年12月07日 07時04分

涙が出る

1ハッピィ2019年12月04日 16時18分

お母さんが「ありがとね」って言ったあとに起きあがって「うん」ってうなずくのがよかった。生きたい命、生命ってすごいちから。(^_^)

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