1. 看護roo!>
  2. ステキナース研究所>
  3. 日経メディカルAナーシング>
  4. 「リハビリパンツ、はきません!」の意外な理由|ぐるぐる訪問看護

2019年08月05日

「リハビリパンツ、はきません!」の意外な理由|ぐるぐる訪問看護

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

菊間はっか

 

リハビリパンツ(リハパン)って、便利ですね。

 

リハパンは私が臨床で働いていた20年以上前には、今ほどメジャーではありませんでした。

 

今は薄型やローライズタイプのリハパンも出てきて選ぶのに迷ってしまうほどです。

 

ちょっとした尿漏れ対策などに抵抗なく取り入れている方もいますが、「自分には必要ない」とかたくなに拒否される方もいます。

 

そのような場面に遭遇すると、「外出のときだけでもちょっとはいておくと安心なのに。

 

やはりオムツを使うということはプライドが許さなかったりするのかしら?」などと思っていました。

 

リハパンをはくか迷う高齢女性

 

リハパンを薦めてみたら…

キクコさん(88歳)は息子さんと2人暮らしです。

 

キクコさんは、パーキンソン病と診断されて内服治療を続けています。

 

息子さんは仕事があり日中は独居、週3回デイサービスを利用しています。

 

動きは緩慢ですが料理や洗濯など丁寧に行っていて、それが生活の張り合いにもなっている様子でした。

 

ある時期から、キクコさんに尿失禁が見られるようになりました。

 

デイサービスでも間に合わずに洋服まで汚してしまい、着替えを借りて帰宅することが何回か続いたようです。

 

ケアマネさんからも、「デイでもリハパンをおすすめするのですが、絶対に嫌だと言ってはいてくれないんです。訪問看護師さんからも説得してください」と電話が入りました。

 

次の日、キクコさんを訪問しました。

 

ケアマネさんから電話があったと言うとご気分を害されるかもしれないので、「たまにはデイサービスの連絡帳を見せてください」という話から切り出し、ページをめくり、「あれー? キクコさん、トイレに間に合わないことが増えているのかしら」と初耳感を前面に出して、失禁の話題に持っていきました。

 

キクコさんは不機嫌そうな顔をして、「漏らしてないよ。トイレが間に合わないなんてことはないよ」と言います。

 

彼女の言い分は聞きつつも、「最近は紙でできているパンツとか、良いものがたくさん売られていて、実はみんなひっそりとはいていたりするんですよね」と、やや強引な提案。

 

ステーションにあった試供品を見せて、「結構温かいし、うっかりちびってしまっても安心なんですよ」と、触ってもらいます。

 

キクコさんは、試供品のリハパンをじーっと見ていました。興味がないわけではなさそうです。

 

そして、「でも、自分で買いに行けないよ。息子にこんなの頼むわけにいかないでしょ。あと、どこに捨てたらいいのか分からないよ」と話したのです。

 

 

提案を拒むのには理由がある

そういえばキクコさん、いつも、ごみの心配ばかりしている人でした。

 

朝一で訪問すると「ごみ、回収されていた?」と聞かれることが多かったのです。

 

キクコさんの暮らしている自治体のごみ分別はとても細かくて、きちんと分別できていないと回収されずに残されてしまいます。

 

上手に分別できないことが多いキクコさんはごみを回収してもらえないことも多く、ちょっとナーバスになっていました。

 

さっそくスマートフォンで市のホームページを開いて、おむつの出し方について2人で確認しました。

 

キクコさんの自治体では、オムツはコンビニエンスストアの袋などにまとめて入れて「オムツ」と記載しておけば可燃ごみで回収してもらえることが分かりました。

 

また、購入については息子さんにメモを残して用意してもらうようにしました。

 

翌週、ケアマネさんから電話があり、「キクコさんがリハパンをはいてデイに来るようになりました。洋服も床も汚すことがなくなってよかったです」との報告を受けました。

 

訪問時に、胸とお腹の音を聴診するのですが、ズボンを少し下げて聴診器をあてたときに、リハパンのゴムがちらりと見えました。

 

「おお、はいてる、はいてる」とほくそ笑んでいると、キクコさんも「ちゃんと、燃えるごみで出しているよ」とニヤリ。

 

キクコさんがリハパンをはきたくない理由は、プライドを保ちたいというよりも、「どうやって捨てたらよいのか分からない」部分が大きかったようです。

 

その部分が解決したら、比較的あっさりと受け入れてくれました。

 

そして、履いてみると快適に生活できるということが分かり、気に入ってくれているようです。

 

リハパンに限らず、新しい提案を受け入れてもらえないときは、意外なことが理由だったりするものです。

 

じっくりと話を聴いたり、生活の様子を観察することによって解決策を見いだしたりできることが、訪問看護のやりがいだったりするのかもしれません。

 

ここで一句。

 

夏の昼 残されてゐる ゴミ袋

 


 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

Aナーシングは、医学メディアとして40年の歴史を持つ「日経メディカル」がプロデュースする看護師向け情報サイト。会員登録(無料)すると、臨床からキャリアまで、多くのニュースやコラムをご覧いただけます。Aナーシングサイトはこちら

この連載

もっと見る

コメントを投稿する

コメント入力
(100文字以内)
ニックネーム
(12文字以内)

コメント一覧(2)

2匿名2019年08月06日 20時06分

なるほど

1あゆみ2019年08月05日 10時08分

言い回しの例など、とても参考になりました!!

関連記事

いちおし記事

【マンガ】それでも看護をする理由~Case.3 ゆい~(1)

主人公の2年目ナースが受け持つ認知症の患者さん。転棟から間もなく、ある悩みが…。 [ 記事を読む ]

人工呼吸器はどんな種類がある?どう使い分ける?

手動式、機械式、体外循環式(ECMOなど)それぞれの特徴をわかりやすく解説! [ 記事を読む ]

人気トピック

もっと見る

看護師みんなのアンケート

小さい頃の将来の夢はなんだった?

投票数:
1365
実施期間:
2020年03月13日 2020年04月03日

「新人だった頃の私」に言いたいことは?

投票数:
1188
実施期間:
2020年03月17日 2020年04月07日

実習中の看護技術、どれに苦労した?

投票数:
2717
実施期間:
2020年03月20日 2020年04月10日

1日がかりの院外セミナー。ランチは何がベスト?

投票数:
1054
実施期間:
2020年03月24日 2020年04月14日

【エイプリルフール】人生最大級の「嘘」おしえて!

投票数:
954
実施期間:
2020年03月27日 2020年04月17日

めちゃくちゃ疲れたときの「自分へのご褒美」ある?

投票数:
723
実施期間:
2020年03月31日 2020年04月21日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者7121

◆精神看護の問題◆精神障害のある患者さんが、「自分の求める生き方を主体的に追求すること」をストレングスモデルの中では何というでしょうか?

  • 1.エンパワメント
  • 2.ストレングス
  • 3.レジリエンス
  • 4.リカバリー
今日のクイズに挑戦!