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2019年08月06日

「運転免許本部」で働くナースがいるって知ってる?

 

高齢ドライバーによる交通事故が繰り返し報道されるようになり、運転免許証を自主返納する人が増えたことが話題になっています。

 

ところで、運転免許本部で働く看護師や保健師がいるのを知っていますか?

 

いったい、どんな仕事をしているのでしょう?

 

免許の返納とはどんな関係があるのでしょう?

 

都内で初めて保健師を配置した警視庁運転免許本部におじゃまし、あれこれ話を聞いてきました。

 

 

白衣姿で、ひときわ目立つ存在

警察のシンボルマーク・旭日章を見ると、自然と身が引き締まります

 

お話をうかがったのは、総合病院での脳神経外科病棟の勤務を経て2009年に警視庁に警察行政職員として採用された本田睦美さんです。

 

本田さんは、保健師として警視庁で働く職員の健康管理を行っていましたが、2017年4月から免許本部で勤務しています。

 

白衣姿の本田さんは、警察官や警察行政職員らに交じると、ひときわ目立つ存在です。

 

さりげなく胸ポケットにある、警視庁のシンボルマスコット「ピーポくん」のボールペンを発見!

 

 

どんな仕事をしているの?

さて、気になる本田さんの仕事ですが、

 

病気や障がいがある人が運転できるかの判断をサポートする業務

 

を担当されています。

 

「臨時適性検査」(医師の診断)にかかわる仕事で、専門医の受診や診断書の提出を促したり、その必要性を説明したりするお仕事だとか。

 

職場でも保健師の存在は珍しいようで、「お話をしたことがない人にもいつの間にか知られているんですよ」と照れくさそうに笑う本田さん(左)

 

また、社会問題化している高齢ドライバーの事故を防ぐため、運転免許を持つ高齢者やその家族の相談に乗ることも仕事の一つといいます。

 

池袋の暴走事故が報道されて以降、免許の返納に関する相談が増えているといいます。

 

2019年6月は、都内で免許を返納した人が月間で過去最高の約6000人に上ったそうです。

 

現在、道路交通法では75歳以上の高齢者には免許の更新時に「認知機能検査」が義務付けられており、認知症の恐れがあると判定されれば、専門医の受診もしくは診断書の提出が必要となります。

 

しかし、中には「自分は大丈夫だから!」と主張し、受診や診断書の提出を拒む人がいるそうです。

 

本田さんは、そうした人一人ひとりに、電話をかけたり、手紙を出したり、運転の危険性を理解してもらうよう説得を重ねているそうです。それが本田さんの日課でもあります。

 

一回の電話で20分、30分と話し込むこともあれば、毎日のように電話がかかってくることもあるそうです(※写真はイメージです)

 

時には、電話口で怒り出す人もいるそうですが、そういうときはひたすら「傾聴」に徹し、相手の話に耳を傾けるそうです。

 

「相手にとってあまり“いい話”ではありませんからね。でも、ずっとお話を聞いていると『あなたに言ってもしょうがないのは、わかっているんだけどね…』と態度がほぐれたり。人と人ですからね」(本田さん)

 

 

免許の取り消しや停止になるケースは意外と少ない!?

認知症の恐れがある高齢の人でも、病気や障がいのある人でも、医師の診断によっては一定の条件付きで免許が継続されることもあります。

 

認知機能が低下していても、その時点では運転に支障をきたすほどではない場合、半年後に改めて状況が変わっていないか判断する、というようなケースです。

 

実際、警察庁によると、医師の診断を受けた1万6470人のうち、1万3063人が免許継続となり、そのうち9563人が一定期間後に改めて診断書を提出するという判断がなされています(2017年3月12日~2018年3月31日の暫定値)。

 

医師の診断を受ける前に免許返納に踏み切る人が多いことも影響していますが、免許の取り消しや停止となったのは、医師の診断を受けた人の1割強にとどまっています(同)。

 

そのほか、脳梗塞の後遺症があるケースなどに、車を改造し、条件付きで運転が可能になることがあります。

 

その場合、シミュレーターを使うなどして運転が可能かの確認を行っている担当部署につなぎます。

 

 

運転者との面談に同席することも

警察官や警察行政職員と一緒に仕事をしている本田さん

 

本田さんは、難病など特異なケースで判断が難しい場合、警察官や警察行政職員が運転者と行う面談に同席することがよくあるそうです。

 

たとえば、パーキンソン病の人であれば、

 

「いつから発症して、どのくらい進行していますか?」

 

「服薬の状況はどうですか?」

 

「日内変動はどうですか?」

 

というような、病気と運転を関連付けた質問をして情報収集を行う必要があるからです。

 

こういう場面では、看護師としての臨床経験が大いに生きているといいます。

 

本田さんは脳神経外科病棟での勤務経験があるため、脳の障害が判断力や注意力に与える影響などの知識があることも強みになっているようです。

 

 

同僚から「助かる!」と言われる業務は?

医師の手書きによる診断書は、判読するのが難しいことも…

 

ちなみに、こうした臨時適性検査にかかわる業務は、本田さんが配置される2年前までは、警察官や警察行政職員だけで行っていたといいます。

 

同僚の方々に、本田さんの働きぶりを聞いてみたところ、やや前のめりに、

 

「診断書の解読・・で助かっています!」

 

という答えが返ってきました。

 

というのも、診断書は様式が決まってはいるものの、専門用語が多く、医師によって書き方が違っていたり、判読しづらい字があったりと、何を書いているのかわからないことがよくあったからだそうです。

 

「今はインターネットで何でも調べられる時代ですから、調べればわかるとは思いますが…、『こういう脈絡だから、たぶんこうだな』というように、わかる部分はありますね」と本田さん。

 

看護師の臨床経験が、診断書を読み解くスキルに大いに役立っているようです。

 

 

「相談できるところがあると知ってほしい」

免許相談の目的は、病気や障がいのある人が免許を持てる可能性を探り、支援すること

 

免許相談の仕事を通して感じた思いを、本田さんは次のように話します。

 

「ここに来て初めて、こうした病気や障がいがある人が免許を持つために支援する場所があることを知りました。医療機関で患者さんに対する説明の仕方に悩んでいる医療関係者の方にも知っていただけたら」

 

たとえば、運転と病気をつなげるとどうなるのかや、本来は運転してはいけない患者への説明の仕方などでアドバイスできるといいます。

 

また、運転に不安がある高齢者の家族に対しても、

 

「家族だけでは説得が難しいときは、抱え込まないでほしい。頼ってほしい」

 

と、本田さんは言います。

 

高齢の男性で妻や子どもが注意しても耳を傾けないというような場合、第三者から毅然と伝えることで本人が納得する場合があるからです。

 

免許の自主返納を呼びかけるチラシを作成することも

 

こうした運転適性の相談窓口に看護師や保健師などの医療専門職を配置する動きは、2015年に熊本県が全国で初めて看護師を配置して以降、全国に広がりを見せています。

 

2017年5月時点で19の都府県の免許センターなどで配置されており、今後もこの動きは加速していくとみられます。

 

ナースの力が必要とされる場所が、増えています。

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

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(参考)

認知機能検査について(警察庁)

運転適性相談窓口について(警察庁)

運転免許の拒否等を受けることとなる一定の病気等について(警察庁)

改正道路交通法の施行状況【高齢運転者対策】(警察庁)

運転適性相談の充実・強化について(通達)(警察庁)

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コメント一覧(1)

1免許定年制推進中2019年08月07日 11時14分

ある程度、法律で年齢で区切りをつければ、事故の確率も減るし、家族や周りが大変な思いをする事もないのに。経済の為にお金のある高齢者に車を売りたがるから、罪もない若者や子供が犠牲にな。

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