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2019年07月08日

糞便移植療法で患者が死亡、FDAが警告を発出

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

増谷 彩=日経メディカル

 

 

「糞便移植療法(FMT)には、深刻な、または命にかかわる感染リスクが潜んでいる可能性がある」――。

 

米国食品医薬品局(FDA)は2019年6月13日、「Important Safety Alert Regarding Use of Fecal Microbiota for Transplantation and Risk of Serious Adverse Reactions Due to Transmission of Multi-Drug Resistant Organisms」と題した警告を発出した。

 

FMTとは、腸内細菌叢が乱れた患者の腸内に健常者の便を腸内細菌叢ごと移植することで、患者の腸内細菌叢を再構築する治療法のこと(関連記事:腸内細菌叢を大きく変える抗菌薬併用糞便移植〈※記事全文をご覧いただくためには「日経メディカル」の会員としてのログインが必要です〉)。

 

欧米の診療ガイドラインでは、Clostridioides difficile感染症(CDI)を原因とする偽膜性大腸炎などに対して適応を持つ。

 

今回の警告は、CDI患者に対し、同一のドナーが提供した便から調製されたFMTを行ったところ、免疫不全状態にあった2例に侵襲性感染症が発生し、そのうち1例が死亡したことから発出に至った。

 

2例は、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌に起因する侵襲性感染症を発症。

 

有害事象発生後に保存してあった同ドナーのFMT調製物を調査したところ、死亡患者から単離されたESBL産生大腸菌と同一の菌が検出された。

 

FDAは本事例について、「ドナーの便がESBL産生大腸菌のスクリーニングが行われることなく移植されてしまったこと、こうした致死的な菌が免疫低下状態の患者に移植されてしまったことで起きた」とし、FMT実施時は移植前にスクリーニングを行うことや、患者にリスクの説明をすることなどを要求した。

 

 

潰瘍性大腸炎に対し、FMTの前処置として抗菌薬3種類を投与する「抗菌薬併用糞便移植」の研究を行っている石川大氏(順天堂大学医学部附属順天堂医院)は、今回の警告について

 

「今回の警告は、免疫不全状態であった患者に対してFMTが行わた結果であり、健常者の腸内細菌が免疫抑制化したことで引き起こした大腸菌感染症と考えられる。通常このようなことは起こらないが、重症の白血病や抗癌剤治療中、HIV罹患など患者側の免疫状態が著しく低下している場合には十分に注意する必要がある。研究段階の適応であれば、もちろんこのような対象にFMTを行うべきではない」

 

と話す。

 

一方で、「CD感染性腸炎は欧米のガイドラインで適応のある唯一の疾患であり、多くの症例に対して一般臨床でFMTが施行されているが、これまで大きな有害事象の報告はなかった。また、研究レベルで行われている潰瘍性大腸炎やクローン病、過敏性腸症候群に対しても、国内外で大きな有害事象はない」と強調する。

 

CDIはそもそも免疫不全者で再発しやすい疾患であり、患者の選定は重要だろう(関連記事:C. difficile感染症に日本初の診療ガイドライン〈※記事全文をご覧いただくためには「日経メディカル」の会員としてのログインが必要です〉)。

 

石川氏は、「我々の研究では、免疫能が低下した患者の研究参加は行っていない。FMTが癌などの難病にも効果が証明されたかのように喧伝し、高額な医療として行われている事実があるが、国内外で行われている臨床研究の結果を踏まえ、しかるべき環境を整えて行うべきだ。根拠のない疾患に対する安易な施行は、感染症のスクリーニングが十分でない可能性もあり、避けるべきだ」と話した。

 

 

<掲載元>

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