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2019年06月13日

緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン処方が解禁って?|看護roo!ニュース

緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン処方が解禁されることになりました。

 

医師による対面診療を受けなくても、ビデオチャットなどを使ったオンライン診療で処方してもらえることになりますが、利用できる条件はかなり限定的。解禁とはいえ、期待された「アフターピルの入手しやすさ」には遠い形になるようです。

 

 

緊急避妊薬オンライン処方の厳しい条件

緊急避妊薬(アフターピル)は、性暴力の被害に遭ったときや避妊に失敗したときに、望まない妊娠を回避するための手段の一つ。性交後72時間以内の服用が必要です(妊娠阻止率84%)※1

 

※1 日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針」より

 

日本では処方薬となっていて原則、医師による対面診療が必要ですが、

「地方は産婦人科の医療機関が少ない」

「性被害に遭った女性にとって、医療機関を受診するのは、精神的なハードルが高い」

という現状があります。そこで、例外としてオンライン処方が認められることになったのです。

 

ただし、問題はその条件。

 

厚生労働省の検討会では、次のような方針が決まりました。

 

厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」資料を基に看護roo!編集部作成

 

 

オンライン処方を受けるには?

オンライン処方を利用できるのは、

 

地方に住んでいるなど、対面で処方してくれる医療機関が近くにない女性か、

 

「『女性の健康に関する相談窓口等』の医師が、女性の心理的に対面診療が困難と判断した場合」

 

に限られます。

このうち「心理的に対面診療が困難」なケースは、性暴力の被害者を想定したものです。

 

「女性の健康に関する相談窓口」とは、各自治体などに設けられている

女性健康支援センター

婦人相談所

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター

などのこと。

 

つまり、緊急避妊薬のオンライン処方を希望する場合、

 

1)いったん相談窓口に連絡して「心理的に対面診療が困難かどうか」を医師に判断してもらった上で、

 

2)オンライン処方に対応してくれる医師の診療を受け、

 

3)郵送された処方箋を持って調剤薬局に行き、

 

4)薬剤師の前で服用する

 

ーというステップを72時間以内に踏むことになります。

 

緊急避妊薬の入手しづらさを解消するためのオンライン処方でしたが、「入手までのハードルが劇的に下がったわけではない」と言わざるを得ないでしょう。

 

 

オンライン処方のリスクは?

日本産科婦人科学会などは「産婦人科医による対面診療が原則」を主張

 

なぜ、ここまで厳しい制限が設定されたのでしょうか。

 

厚労省の検討会では、

  • 簡単に手に入るようになれば、適切な避妊が行われなくなる
  • 性犯罪被害が疑われるケースに対して、十分な対応ができない
  • 転売や悪用など、不正利用のリスクがある
  • 緊急避妊薬を服用しても完全に避妊できるわけではないなど、十分な知識が伝わらない

―などの懸念があるためだとしています。

 

また、検討会に出席した日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会の医師が

 

「(緊急避妊薬の処方は)かなり高度な産婦人科の専門知識を要する」

「処方するときの責任は非常に重い。付け焼き刃の研修では、なかなか会得できない」

 

と、処方のハードルを下げるのに反対したことも大きく影響しています。

 

 

海外ではOTC薬、日本でも望む声

指摘されているような問題は確かにあり得るかもしれません。しかし、「だから簡単に入手させない」とガチガチに制限するのは、望まない妊娠で起こり得る健康や人生上のリスクから女性を守ることにつながるのでしょうか?

 

安全性はもちろん考慮されるべきですが、緊急避妊薬は、海外ではすでに薬局で購入できるOTC薬(市販薬)になっています。

 

日本でも過去にOTC化が検討されましたが、やはり日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会の反対で実現しませんでした。

 

今回のオンライン処方解禁をめぐっても、今後さらにOTC薬やBPC薬※2にすることを検討すべきだという議論があらためて起きています。

 

※2 BPC薬…Behind the Pharmacy Counter:薬剤師の説明が必要な販売薬、BTCとも

 

 

今回の緊急避妊薬オンライン処方の指針は、パブリックコメントを経て2019年7月に改定される見通しです。

 

日本では、年間16万4621人が人工妊娠中絶を行っています

 

緊急避妊薬(アフターピル)について、看護師として、女性として、皆さんはどう思いますか?

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

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(参考)

オンライン診療の適切な実施に関する指針 新旧対照表(厚生労働省)

オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会(厚生労働省)

緊急避妊法の適正使用に関する指針 平成28年度改訂版(日本産科婦人科学会)

緊急避妊薬について産婦人科医を対象としたアンケート調査の結果

平成29年度衛生行政報告例 母体保健関係(厚生労働省)

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コメント一覧(4)

4匿名2019年06月14日 22時14分

ちょっと調べてみましたが、ネットで診察し、ネットで処方、翌日着で郵送とのことでした。望まない妊娠→望まない出産→虐待→死がこれで少しでも少なくなると良いです。

3ニッシー2019年06月13日 23時31分

日本は、避妊を男性に依存する傾向が、欧米より高い。アフターピルもそうですが低用量ピルの使用についてももっと積極的にするべきだとは思います。そもそも男性避妊具は性病を予防するだけで避妊を防ぐには役不足。

2匿名2019年06月13日 10時46分

行きずりの性暴力被害にあったことのある身としてはこういうの切実です 犯罪被害者だけでもハードル下げてほしい 

1匿名2019年06月13日 06時38分

考え無しにする人が多いのが原因。
益々増えるんじゃない?

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