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2019年06月17日

元アイドルが所持で逮捕された大麻、見抜ける?| 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

薬師寺 泰匡

(岸和田徳洲会病院救命救急センター)

 

 

人気アイドルグループ「KAT-TUN」の元メンバー、田口淳之介さんが大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕されたというニュースが流れました。

 

KAT-TUNという文字列は見たことがあるのですが、読み方が分かりません。

 

カツーン? カートゥーン? カトゥーン? 読み方が分からないと、自分がおじさん化してしまったように感じます。

 

 

そういえば、紅白歌合戦に登場した米津玄師さんも読み方が分からず、看護学校でだいぶバカにされました。

 

バカにされましたけど、何て読むのか学生に聞いたらみんな曖昧でした。今のところ、「よねづけんし」さんだと思っています。

 

みなさん正直になった方がいいですよ。

 

KAT-TUNと米津玄師、両方とも自信を持って読めた人だけ、僕をバカにしてください。

 

ピエール瀧さんの件(記事全文をご覧いただくためには「日経メディカル」の会員としてのログインが必要です)を以前書きましたが、薬物で逮捕される人が後を絶ちませんね……。

 

芸能界には昔から大麻がはびこっていたのか、多くの人が逮捕されています。

 

ピエールさんの時に、日本で薬物事犯の検挙人数は圧倒的に覚醒剤が多いという話をしましたが、2016年の覚醒剤の検挙人員が1万5374人で、大麻の検挙人員が2722人ということなので(参考)、大麻もわりとはびこっているのが現状かもしれません。

 

巷では大麻は比較的安全であるという言説が流れており、簡単に始めてしまう人が多いというのも残念な追い風となっているのではないかと思っています。

 

大麻が体に良いか悪いか、医療上必要かどうかという議論を今回するつもりはありません。

 

自分の診療上は今のところ必要ないですし、全ての薬物はよほどのベネフィットがない限り投与すべきではないというのが基本的な考え方ですので、「よほどのベネフィット」が示されるまでは僕から積極的に「使いましょう」と言うことはないと思います。

 

 

大麻で急性中毒!?

ただ、経験上、大麻の急性中毒症状で搬送された人を診療したことはありません。

 

危険ドラッグを使用した人の診療に携わったことはあります。

 

危険ドラッグによく使用されるのは、合成カンナビノイドです。これらは、大麻の主成分であるテトラヒドロカンナビノールと比べて、カンナビノイド受容体との親和性が数十倍高く、交感神経作動薬を使用した時のような変化が出るとされております。

 

そういえば、最近は危険ドラッグを使用して運び込まれる人を見なくなりました。

 

純粋な大麻との関わりとしては、以前、大麻所持で捕まった人が、留置所の中で様子がおかしくなった(徐々に食欲が低下して、呼びかけに反応せず興奮し、汗をかいて痙攣した)ということで搬送されてきたときに診療したことがあります。

 

大麻の中毒症状か禁断症状を疑われての搬送だったのですが、僕は大麻による影響ではないのではと思いながら応需しました。

 

僕らが急性中毒疑いの患者さんの診察をするときは、トキシドロームという考え方を参考に診療を進めます。

 

トキシドロームは1970年にMofensonとGreensherが使い始めた言葉で、Toxic Syndromeが元になった造語です。

 

中毒物質を症状や身体兆候から大まかに分類し、中毒物質が分からない段階でも、身体診察から推定するものです。一般的には興奮性、鎮静・催眠薬、麻薬、抗コリン性、コリン作動性に分類されることが多いですが、当院では以下のをERに置いて診療しています。

 

 

表1中毒物質と症状の関連(日本中毒学会「急性中毒標準診療ガイド」を基に筆者作成)

 

 

意識障害はアッパー系とダウナー系に分かれます。

 

興奮状態で発汗して痙攣したとなると、このを参考にすると覚醒剤か、鎮静離脱かと疑うことになります(ミオクローヌスであればセロトニン症候群も考えておいたほうが良いかもしれません)。

 

大量の大麻を使用すると痙攣が誘発されるという動物実験結果があるようですが、頻度を考えれば他の物質ではなかろうかと思うのが自然です。

 

まぁそもそも、留置所で大胆に覚醒剤や大麻を使わないでしょうから、たぶん鎮静剤の離脱じゃないかということで、ジアゼパムを投与したところ、瞬時に元気になってくれました。

 

捕まる前まで、睡眠薬を定期的に飲んでいたそうで、逮捕されて投薬が切れたため離脱症状が出たという状況だったわけです。

 

大麻の症状としては、何ともいえないメンタル面での変調や、バイタルサインでいうと血圧上昇などがあるとされています。

 

しかし正直、目の前に慢性中毒の人が現れても見抜く自信はありません。「分からないような変化しかないなら使っても大丈夫だろう」というのはとんだ誤解ですが、我々は大麻についても勉強して精進しなくては……。

 

 

救急診療と大麻

よく言われることで、大麻を使用している人を見かけたらどうするかということに触れておきます。

 

大麻は、尿の乱用薬物スクリーニングキットにおける感度特異度が高いです。

 

もちろん例外はあり、HIVの治療に用いられる抗レトロウイルス薬であるエファビレンツで偽陽性になるという報告があったりします。

 

まぁしかし、大麻の項目(THC:テトラヒドロカンナビノール)が陽性であれば、大麻の使用がかなり疑わしいということになります。

 

なかなか診察だけで見抜くのは難しいですから、偶発的に検査キットで知ることになる場面が多いのではないかと思われます。

 

では、麻薬中毒者に出会ったら、どこに通報しましょうか?

 

麻薬及び向精神薬取締法では、医師は麻薬中毒者と診断したら都道府県知事に届け出ることが義務付けられています。

 

この法律内で、麻薬中毒は「麻薬、大麻又はあへんの慢性中毒をいう」と記載されておりますので、大麻の慢性中毒の人は都道府県知事に届け出なければなりません。

 

「元」とはいえ、今回は若者に影響力のあるアイドルのしたことです。薬物へのハードルが変に下がらないことを願うばかりです。

 

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

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