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2019年05月30日

「認知症の徘徊事故で賠償金…!」を助ける自治体が増えている|看護roo!ニュース

ある日、認知症の高齢男性がいつの間にか自宅から行方不明に。

 

家族が必死で探していると、警察から「お宅のおじいちゃんが線路に立ち入った」という連絡。電車運休で損害が出てしまい、家族は鉄道会社から数百万円もの賠償を請求されてしまったーー。

 

 

こうした「徘徊による事故やトラブル」は、認知症の患者さんが自宅退院するときに家族が感じる不安の一つです

 

認知症の患者さんや家族に接する看護師にとって「病院からの退院が不安な気持ち」に寄り添うのも大切なポイント。「本人の安全はもちろん、よその誰かに被害を与えてしまったらと心配で、素直に退院を喜べない…」という家族の声はよく聞かれるところです。

 

そんな中、認知症の人の事故による損害を「自治体が」独自に補償しようという動きが最近、相次いでいます。

 

 

認知症の人が起こした事故の損害を補償する賠償保険、どんな仕組み?

認知症の人の事故で生じる損害賠償責任の負担を自治体がサポートする取り組み。多くは次のような仕組みになっています。

 

 

▼市や区など自治体は、民間の保険会社と契約(または事業を委託)します。

 

▼認知症と診断され、徘徊の恐れがある住民に登録・加入してもらい、その保険料は自治体側が負担します(本人・家族の自己負担なし)。

 

▼登録者が事故を起こして、家族が損害賠償責任を負うことになった場合、最大で数億円の補償金が支払われます。

 

 

全国に広がり始めた認知症事故保険

こうした独自の保険に全国で初めて取り組んだのは、神奈川県大和市。2017年11月、最大3億円を補償する内容でスタートしました。

 

その後、愛知県大府市栃木県小山市福岡県久留米市兵庫県神戸市などが続き、さらに2019年度からは、東京都葛飾区など幾つかの自治体が事業をスタートさせます。

 

 

 

加害者にも被害者にもなる認知症700万人時代

「認知症の人が原因で事故が起きてしまったとき、その損害賠償の責任を誰が負うのか」は、高齢化が進むにつれて、大きな社会問題になっています。

 

特に注目されるきっかけになったのは、2007年に愛知県内で起きた鉄道事故の訴訟です(※)。

 

※2007年12月、愛知県大府市で認知症の90代男性がJR東海の線路内に入り込み、列車にはねられて死亡。JR東海は、この事故の影響で発生した損害約720万円の賠償を遺族に求めて提訴した。一審、二審は遺族側に全額または半額の支払いを命じたが、2016年、最高裁は遺族側の支払い義務はないとしてJR東海の請求を退けた。

 

都内初の取り組みとなる葛飾区。区内の徘徊高齢者の保護人数が2018年に714人と増加傾向にある=葛飾区内

 

この事故に「他人事じゃない」と感じた人は多く、この訴訟は大きな議論を巻き起こしました。

 

医療・介護の関係者からも

 

「認知症介護のマイナスイメージが強まり、自宅退院・在宅復帰が敬遠されてしまう」

 

「病院や施設でも責任を恐れて、徘徊リスクのある人の受け入れ拒否や身体拘束、閉じ込めが増える」

 

などの批判が上がっていました。

 

この事故では、最終的に家族側が勝訴しましたが、最高裁判決は、家族の生活状況などによっては賠償責任を負う可能性を残しています。

 

今回紹介した自治体による取り組みは、これから迎える「認知症700万人時代」への備えの一つと言えるでしょう。民間の保険会社でも、認知症の徘徊事故に対する補償を手厚くしたプランが増えています。

 

「認知症の人や家族を社会で支えよう」という取り組みが広がっていること自体、当事者たちにとって大きな力になります。看護師として、ちょっと頭に入れておきたい話題ですね。

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

 

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「身体拘束」と「徘徊・失踪」のはざまのジレンマ

住民全員が認知症の村とは?画期的すぎるオランダの新しい取り組み

 

(参考)

葛飾区おでかけあんしん事業(葛飾区ホームページ)

はいかい高齢者SOSネットワーク(大和市ホームページ)

認知症の人にやさしいまち「神戸モデル」(神戸市ホームページ)

 

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