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2019年06月12日

増え続ける医療・介護現場の腰痛…。労災認定は?対策は?

腰痛で困っている看護師

 

看護師や介護士で、腰痛に困っている人は多いですよね。

 

労災として認定されることはあるのでしょうか?

 

また、腰痛対策はどうなっているのでしょう?

 

 

増える看護師や介護士の腰痛

すべての労働者で最も多い「職業病」は、腰痛です。

 

厚生労働省の調査によると、2017年に4日以上休む必要があった仕事による腰痛の発生件数は5078件。

 

そのうち、看護師や介護士が従事する「保健衛生業」は1596件と最多で、全体の3割を超えています。

 

特に、社会福祉施設での増加が問題となっているようです。

 

しかも、ここ10年の腰痛の発生件数をみると、ほとんどの業種で減少や横ばい傾向であるのに対し、保健衛生業だけは目立って増え続けています。

 

休業4日以上の腰痛発生件数

厚生労働省「業務上疾病発生状況等調査」を基に、看護roo!で作成

 

 

労災で認定されるのって、どんな腰痛?

医療や介護の仕事をしていて業務に支障が出るほど腰痛になった場合、労災として認定されるかどうかはケースバイケースです。

 

腰痛は前述したように原因が複雑なため、厚労省は労災かどうかを判断するための認定要件を設けています。

 

その認定要件で、腰痛は下記のように2種類に区分されています。

 

 災害性腰痛

 非災害性腰痛

 

腰痛の労災認定要件/災害性腰痛:負傷などによる腰痛で、仕事中の突発的な出来事で生じたことが明らかなもの。腰にかかった力が腰痛を発症させたり、腰痛を著しく悪化させたりしたと、医学的に認められるもの。/非災害性腰痛:慢性的な腰痛で、腰に過度な負担のかかる仕事をしている人が発症した腰痛。業務内容や働いた期間などから考え、仕事が原因と認められるもの。

厚生労働省「腰痛の労災認定」を基に看護roo!で作成

 

災害性腰痛は、仕事中のけがなどによる腰痛です。

 

非災害性腰痛は、腰に過度な負担がかかる仕事で、長い期間にわたって腰への負担が蓄積された腰痛です。

 

どちらの腰痛も、原因が業務によることが明らかで、医師から療養の必要があると診断された場合に限られます。

 

実際に労災として認定された腰痛の件数は公表されていませんが、労災として認定される腰痛の多くは転倒や転落事故などによるきっかけが明確な災害性腰痛で、日々の業務の蓄積による腰痛はなかなか認められづらいといわれています。

 

労災認定とは直接は関係なく、労災として認定されていないものも含まれますが、前述の業務上疾病発生状況等調査(2017年)でも、4日以上休む必要がある腰痛が発生した件数のうち災害性腰痛は約99%と圧倒的多数を占めています。

 

 

「腰痛予防対策指針」はあるが…

医療や介護現場で増え続けている腰痛は、これまでも問題視されてきました。

 

厚労省が2013年に改訂した「職場における腰痛予防対策指針」でも、福祉や医療分野などでの介護・看護作業の腰痛予防対策が盛り込まれています。

 

具体的には、

 

 原則、人の力だけで抱え上げ作業を行わない

 福祉用具を積極的に利用する

 ケアの対象者の残存機能を活用する

 

などの対策が示されています。

 

しかし、この指針には強制力がなく、対策をしない職場への罰則などはありません。

 

また、持ち上げてもよい重さ制限が「人」には適用されないなど、指針の内容が不十分との声もあります。

 

そうした事情もあり、医療・介護現場での腰痛対策は今ひとつ進んでないと言われています。

 

 

ストレスが強い職場では、腰痛が増える!?

腰痛予防対策指針の改訂を話し合った検討会で座長を務めた甲田茂樹さん(労働安全衛生総合研究所)は、次のように話します。

 

「腰痛の原因は複雑で、必ずしもフィジカルなものに限らないことが知られています。メンタルなもの、仕事へのやりがい、職場の環境、困った時に相談に乗ってくれる上司がいるか、組織が何かあった時に対応してくれるか、そうしたさまざまな要因が影響します」

 

また、医療や介護が人を相手にした仕事である特性上、患者や利用者から受けるハラスメントなども、健康状態に影響する要因の一つと言います。

 

そのため、物理的な腰への負担の対策だけでは不十分で、看護師や介護士が気持ちよく仕事ができる職場づくりが大切だと甲田さんは強調します。

 

労働安全衛生総合研究所 所長代理の甲田茂樹さん

労働安全衛生総合研究所 所長代理の甲田茂樹さん

 

看護roo!の調査による、業務中に腰痛で困ったことがある看護師は8割を超えています。

 

看護師不足が問題となる中、貴重な人材を失わないようにするためにも、もっと実効力のある本気の腰痛対策が求められます。

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

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(参考)

業務上疾病発生状況等調査(厚生労働省)

腰痛の労災認定(厚生労働省)

職場における腰痛予防の取組を!(厚生労働省)

職場における腰痛予防対策指針(厚生労働省)

職場における腰痛予防対策指針及び解説(厚生労働省)

この連載

  • 増え続ける医療・介護現場の腰痛…。労災認定は?対策は? [06/12up]

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