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2019年03月14日

「看取りの家」問題で注目されるホームホスピス|看護roo!ニュース

神戸市須磨区で、患者が最期を迎える場所を提供する「看取りの家」開設計画に対し、「死を日常的に見たくない」などと地域住民が反対していることが一部メディアで報じられました。

 

SNS上では、

「誰でもいつかは死を迎えるのに…」

「いい取り組みだと思うけど」

「ネーミングのセンスが悪い」

など、さまざまな意見が飛び交いました。

 

そうした中、形態が似ていることから話題となった「ホームホスピス」について紹介します。

 

 

ホームホスピスって?

ホームホスピスは、2004年に宮崎市で誕生した「かあさんの家」がはじまり。

 

民家に5人から6人の住人が共に暮らし、そこに介護または看護スタッフが常駐。必要に応じて訪問診療や訪問看護と連携しながら、入居者が日常生活を送れるようにサポートする、暮らしに主眼を置いたホスピスです。

 

自宅でもない、施設でもない、新たなホスピスの形として注目を集め、全国各地に広がりをみせています。

 

2015年には、「かあさんの家」を創設した市原美穂さんらが中心となり、全国ホームホスピス協会を設立。2019年3月時点で、全国で41法人、54軒のホームホスピスが協会に所属しています。

 

協会では、ケアのクオリティを保っていくために、ホームホスピスの名称を商標として登録。名称を使用する場合、クリアすべきケアや運営に関する基準を設けています。今回、騒動になっている「看取りの家」は協会には所属していません。

 

市原さんは、ホームホスピスと看取りの家とでは理念や運営方針が異なるとし、次のように話します。

 

「ホスピスはもう治らない病の人が最後に行く病院・施設というイメージで受け取られることが多いのですが、本来のホスピスの意味は、苦しみを和らげるために配慮する、気遣うという、考え方そのものを表す言葉です。ホームホスピスは、それを病院ではなく地域の住まいで実践する在宅ホスピスの一つの形だとも言えます。

 

ですから、ホームホスピスとは、そのような仕組みを持つ『家』であり、その地域の医療や福祉とつながって、最期まで安心して暮らしていけるまちづくりを目的とした活動の拠点と考えています。地域の中にホスピスケアの種を蒔いて育てていくことが重要ですから、地域住民の方々の理解なしには成り立たない実践活動です。

 

『看取りの家』の言葉には、どうしても『死』というイメージがあります。もちろん、誰もが死を避けることはできないと理解していても、非日常なのです。にもかかわらず、『死』をどう考えるのか、看取りとは何なのかを考えることは、今大切なことなのでしょう。

 

わたしは『看取り』は特別なことではなく、日々の暮らしの中で、与えられた時間を精いっぱいに生きる、その延長上に看取りがあると考えます。また、『死』という瞬間は生ききった生の完了だとも言えます。それまでのプロセスを丁寧に紡いでいくことが『ホームホスピス』の目指すところです」

 

また、市原さんは「開設前からも、開設してからも、自治会活動や地域の行事に参加したり、地域にサロンを開いたり、介護などの相談に乗るなど、自分の暮らす街にホームホスピスがあって安心だと思ってもらえるような取り組みが重要です」とも言います。

 

 

「最期を迎えたい場所」と「最期を迎える場所」

ホームホスピスが誕生した背景には、介護力不足などで自宅に帰りたくても帰れない患者が増えていることがあります。

 

日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の2018年の意識調査(20歳から79歳までの男女1000人)によると、余命が限られている場合、実現可能かどうかは別として自宅で過ごしたいと考えている人は7割を超えていました。

 

 

しかし、厚生労働省の人口動態統計調査(2017年)では、病院で亡くなった人が7割を超え、自宅で亡くなった人は13.2%にとどまっています。

 

 

国は在宅医療を推進していますが、自宅での看取りはそれほど増えていないのが現状です。

 

***

 

神戸で計画されている「看取りの家」は、一部報道によると、地域住民への説明不足や配慮不足が指摘されていますが、SNS上では開設の趣旨に賛同する声も上がっています。

 

自宅に帰りたくても帰れない患者の地域での受け皿となる場所づくりが、こうした形で注目されてしまったことは残念ですが、終末期医療や介護、地域での看取りについて考えるきっかけになったとも言えるのではないでしょうか。

 

 

看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

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(参考)

全国ホームホスピス協会

余命短い患者の「看取りの家」 計画に住民反対「死を日常的に見たくない」 神戸(神戸新聞)

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今日の看護クイズ 挑戦者2512

以下の患者さんを、PAT法を使ってトリアージをした場合、適切な評価はどれでしょうか?
50代の女性。呼吸回数24回/分。血圧80/40mmHg。脈拍120回/分。
橈骨動脈微弱で末梢冷感あり。声かけに容易に反応あり。『お腹が痛い』と話している。
右上腹部打撲痕および、右腹部圧痛あり。

  • 1.生理学的評価では循環に異常があるため、カテゴリーは赤。解剖学的評価は腹部圧痛、右上腹部打撲痕があることから、カテゴリーは赤となる。
  • 2.意識レベルは低下していないため、生理学的評価ではカテゴリーは黄。解剖学的評価は、右上腹部に打撲痕があるため、カテゴリーは黄となる。
  • 3.橈骨動脈微弱のため、生理学的評価ではカテゴリーは赤。解剖学的評価は、右上腹部打撲痕があることから、カテゴリーは黄となる。
  • 4.呼吸回数24回/分、意識レベル清明で生理学的評価は黄色のため、最終的な優先順位のカテゴリーは黄となる。
今日のクイズに挑戦!