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2019年02月12日

子育て離職したナースが子育てカフェで働いて感じる「この時間、この資格が生きる場所」

子育てカフェ「ごろねのくに」で働く看護師の佐藤夏未さんの写真

 

看護師の資格が生きる場所は、医療機関や介護施設だけではありません。

 

そう、たとえば、焼きたてのパンの匂いがする街のカフェでも――。

 

看護師や保育士などの有資格者たちでつくる子育てカフェ「ごろねのくに(東京都墨田区)のスタッフ、佐藤夏未さん(31)。カフェを訪れるママたちの、ちょっとした子育ての不安や疑問に、看護師ならではの知識と経験で応え、子育て世代がほっと安心できる場所づくりをしています。

 

 

子育てで大学病院を退職、でも「誰かのために働きたい」

子育てカフェ「ごろねのくに」外観写真

看護師や保育士が見守る子育てカフェ・ごろねのくに(東京都墨田区)

 

2018年4月にオープンした子育てカフェ「ごろねのくに」。運営する一般社団法人うちナースのメンバーは、自身も子育て中の看護師や保育士たちです。

 

佐藤さんは、新卒で東京都内の大学病院に勤務。産婦人科と小児科の病棟を経験し、27歳で長男を出産しました。育児休業からの復帰後は、夜勤が難しいため、外来に異動になったものの、ほどなく「救急外来の当直をしてほしい」とプレッシャーがかかるように―。

 

今は子どもとの時間を大切にしたいという思い、そして育児と仕事の両立に体力的な厳しさを感じていた佐藤さんは、退職を選択しました。

 

ミーティングするスタッフと子どもたちの写真

 全員が集まる月1回のミーティング。スタッフの多くは子連れ出勤

 

医療の現場から離れ、専業主婦になって約4年。

2人目の子どもも2歳になり、ほんのちょっとだけ落ち着けるようになった佐藤さんが考えたのは、

 

子育ての隙間のこの時間、看護師の資格を生かして、誰かの役に立ちたい

 

ということ。

 

とはいえ、クリニックなどの求人を探しても、日中の短時間だけという条件で働けるような職場はそうそうありません。そんなとき、「今度ここのカフェ、行ってみよー」と回ってきたママ友情報が、ごろねのくにでした。

 

 

看護師として、カフェの店員として「押し付けない距離感」

親子連れのお客さんに接する佐藤さんの写真

”復職”した場所は子育てカフェ。「週2~3回×3~4時間」の無理しない働き方を選んだ佐藤さん

 

子育てカフェの名の通り、ごろねのくには「乳幼児連れでも気兼ねなく安心して過ごせる空間」がコンセプト。スタッフが看護師や保育士なのも「安心」の一つです。

 

カフェを訪れるママたちの会話には、わざわざ医療機関や行政に相談に行くほどでもない、けれども「みんな、どうやってるの?」と必死にネットで検索しているような、子育ての疑問や迷いがこぼれ出ています。

 

そんなお客さんたちに看護師として、カフェ店員として、目を配る佐藤さん。

 

「ちょっと風邪気味なのかな? 気になる咳は出てないかな」

「このママたち、卒乳のタイミングと夜のねんねで困ってるみたい」

「完母と完ミ(母乳だけとミルクだけ)、やっぱり授乳で悩んでる人が多いな…」

 

押し付けにならない適切な距離を測りながら、専門職の知識やスキル、自分の子育て経験を生かして接しています。

 

ごろねのくに店内の写真

お客さん親子もスタッフ親子も一緒にいる店内。自然な会話から、いつの間にか子育て相談に

 

「あんまり聞きすぎても、かえって話しにくいですもんね。注文のときに『うちの子、アレルギーがあって…』という話から相談に乗ったり、普通の世間話の流れで少しずつ話を聞いたり、です」(佐藤さん)

 

お互い初対面なのに、育児の話題でいつの間にか会話が弾んでいる“小さい子ども連れママあるある”。その輪に交じる一人として気負わずに見守ります。

 

 

看護師は傾聴と共感のプロだから

うちナース理事長の銭谷さんの写真

「家(うち)にいるナース」が自分らしく働ける場をつくりたいと、うちナースを立ち上げた銭谷さん(左)

 

「単に医療の知識を披露してほしいわけではないんです。なんと言っても、看護師さんは傾聴のプロ、共感のプロですから。そのコミュニケーションスキルを存分に生かしてもらいたいなと思っています」

 

うちナース理事長の銭谷聖子(ぜにたに・さとこ)さんは、こう話します。

 

看護師ではありませんが、銭谷さんも、製薬企業や国立がん研究センターなどで勤務していた“医療畑”の人。ナースたちが出産や育児を機に現場を離れていく姿に「もったいない」と感じていました。そして、銭谷さんも育児とキャリアの板挟みになり、仕事を辞めて専業主婦に――。

 

看護師が自分のライフスタイルを保ちつつ、資格とスキルを生かして働ける場」と、「子育て世代の悩みやニーズに応える場」がマッチングしたサービスをつくろうと、2015年にうちナースを立ち上げました。

 

ミーティング風景の写真

 

立ち上げ当初は、まずLINEでの子育て相談サービスを展開(※利用者増と人員不足などのため、現在は一時休止中)

 

急な発熱に医療機関を受診するべきか、授乳や離乳食はこれでいいのか、予防接種ってどうしたらいいの――。

 

こんな悩みや質問に、佐藤さんたち看護師スタッフが返信するというサービスです。たくさんの利用者から好評を得て、よりリアルなコミュニティをつくるべく、子育てカフェ「ごろねのくに」をスタートさせました。

 

「次第に保育士さんのメンバーも集まってきてくれて、おもしろい場所ができてきたなと思っています」(銭谷さん)

 

 

看護師が街のカフェにいるということ

厨房の銭谷さんにオーダーを伝える佐藤さんの写真

ランチタイムには予約のお客さんも多いそう

 

「LINE相談でもカフェでも、ものすごく専門的な医療相談というのは少なくて。子育てしている人なら、誰しも悩むようなことがほとんどです。『看護師さんに聞けて安心しました』と言ってもらえると、やっぱりうれしいですね」

 

そう話す佐藤さん。看護師としての新しい経験は、病院時代とは違う学びが多いと言います。

 

「まさに地域に密着した活動って言うんでしょうか。大学病院にいたころは患者さんとの距離がもっと遠くて、仕事もどこかルーティン化していたところがあったなと気づきました。

 

今は接する対象も違いますし、医療の世界では出会わなかっただろう保育士さんたちと一緒にこの場所をつくっている。いずれ医療現場に戻るようなときにも、この経験がすごく生きると思います」

 

ホットサンドがおいしそうな、ごろねのくにの料理写真

銭谷さんが毎朝焼いているモチモチのパンも人気

 

同じ看護師のスタッフ(33)も、街のカフェに看護師がいることのメリットを見出しています。

 

「病院にいると、患者さんの入院前や退院後を知ることができませんよね。私は行政保健師の経験もあるんですが、それもアプローチできる範囲に限界を感じたりしました。

 

ネットには正しくない情報が流布している中、専門職と気軽に雑談しながら、コアな相談もできるこんなカフェは、看護師という職業の新しい生かし方なのかなと思っています」

 

 

活躍の場はまだまだ広がる

「看護師と保育士が見守る」と書かれたカフェのウインドウの写真

 

銭谷さんは「このカフェが、うちナースのゴールだというつもりはない」と話します。

 

たとえば、休止中のLINE相談サービスだったり、保育園で発熱した子どもを仕事中のパパママの代わりに迎えに行ってくれるサービスだったり、子育て世代の抱えるニーズはまだまだ幅広く、看護師や保育士が活躍できる場もまだまだ広がっていくはずと銭谷さん。

 

「せっかくの国家資格。それぞれのスキル、専門性、得意なことを生かしてできることがもっともっとあると思います」

 

ごろねのくにでのびのび遊ぶ子どもたちの写真

 

【烏美紀子(看護roo!編集部)】

 

子育てカフェ ごろねのくに

一般社団法人うちナース(銭谷聖子理事長)が運営。営業時間は9~17時(定休日=水曜・祝日)。東京都墨田区太平3-7-3-101(JR・東京メトロ錦糸町駅北口より徒歩約5分)。

 

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