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2018年12月07日

忙しい医師に聞きにくければ、日頃の体調管理は看護師に、薬のことは薬剤師に!?

「日頃の体調管理は看護師に、薬のことは薬剤師にまず相談しましょう」-

 

これは、医師の激務を解消するために、患者や家族に医師以外の専門職も活用してもらおうと、一般市民に啓発するために考えられたメッセージの一つです。

 

12月6日に開かれた第4回「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」で、これまでの議論をまとめた厚労省の提案に盛り込まれました。

 

提案は、上手な医療のかかり方を実現するために、市民・民間・医療提供者・行政がそれぞれの取り組むべきことを示した「提案(案)」と市民へのメッセージとして考えられた「5つのポイント」の2部構成で、冒頭のメッセージは双方に明記されています。

 

これらの提案がどのような形で発信されるかは明確に決まっていませんが、一般市民に医療のかかり方を考え直すきっかけにしてもらうため、広く周知される予定です。

 

懇談会の構成員からは、他職種に相談できる体制が整っていない中で、伝え方に問題があるのではないかと異論が続出しました。

 

座長の渋谷健司さん(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)

座長の渋谷健司さん(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)

 

 

看護師や薬剤師が相談に応じる体制は整っていない

口火を切ったのは、岩永直子さん(BuzzFeed Japan News)。

 

「看護師や薬剤師に相談しましょうと言われても、どの看護師、どの薬剤師に聞けばよいのかわからないのではないか」と述べ、相談体制を整備する道筋まで考えた提案をする必要があると意見しました。

 

また、豊田郁子さん(NPO法人架け橋理事長)も、「たとえば、院外薬局の薬剤師はカルテを見ることができず、患者さんの病名がわからない」と指摘。院外薬局の薬剤師は、患者との会話の中で、医師からどのような説明がなされたかを探りながらアドバイスしているのが実情とし、現場の混乱を心配しました。

 

城守国斗さん(日本医師会常任理事)も、患者の背景がわからない薬剤師が相談に応じることは難しいとの考えを示しました。

 

懇談会からの提案(案)一部抜粋~上手な医療のかかり方実践のための関係者の取り組み~/市民がやること: #8000や#7119にまず相談します。信頼できる医療情報まとめサイトを活用します。花粉症のときは市販されている薬で対応するなど、セルフメディケーションを心がけます。風邪のときに、抗生物質をもらう目的の受診は控え、出社や登校せずに自宅で休養します。日頃の体調管理のことは看護師に、薬のことは薬剤師に聞きます。自分の聴きたいことを紙に書きだしたりウエブ問診票などで整理し、ためらわないで医師に聞く習慣を持ちます。/民間がやること:AIを活用した相談アプリの開発を進めます。ユーザーフレンドリーなまとめサイトや患者相談体制の構築を支援します。健診時に医療のかかり方研修を行います。健康経営の一環として、フレックスタイム制や休暇が取得できるといった柔軟な働き方に関する指標を可視化します。インフルエンザの診断書を強制しません。/医療提供者がやること:待合室、健診(母子、小児、学校、職域)など、あらゆる機会を捉えて上手な医療のかかり方を啓発します。電話相談や医療情報まとめサイトのコンテンツの作成監修と品質保持を行います。タスクシフト・シェアを通じて、患者相談体制について地域の医療機関やコメディカルなどと連携を促進します。健康管理のために、きちんと休暇をとることを恐れません。/行政がやること:#8000や#7119などの相談ダイヤルの周知を徹底します。信頼できる医療情報まとめサイトや患者相談体制の認証や支援をします。医療のかかり方を議論するための素材(動画等)や場を地域で提供します。医師の健康管理と労務管理を徹底します。看護師や薬剤師などが能動的に活躍できるための制度を確立します。社会保障教育の中で、上手な医療のかかり方についても盛り込みます。/出典:第4回「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」資料2

さまざまな指摘があった「提案(案)」の中の「上手な医療のかかり方実践のための関係者の取り組み」

 

 

医療の危機的状況をもっと強く発信を

この日の懇親会では、厚労省からの提案書類が全般的にわかりにくいとの声が上がりました。

 

構成員のデーモン閣下さん(アーティスト)

提案がわかりにくいと指摘する構成員のデーモン閣下さん

 

デーモン閣下さん(アーティスト)は、「インテリジェンスにあふれすぎていて、一般の人には難しすぎる言葉遣いが多いと感じる」と述べ、もっとシンプルでキャッチーにしなければ伝わらないと指摘しました。さらに、自身も驚いたため、日本の医療の危機的状況をとっかかりに関心を持ってもらうのがよいのではないかと提案しました。

 

小室淑恵さん(株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長)も、「医師が楽をするためだと誤解されないために配慮をし過ぎて、医療の深刻な状況が伝わらなくなっているのではないか」と指摘。

 

危機感をもっと伝えるべきとし、疲れた医師のイラストや、日常的に自殺や死を考えている医師が3.6%もいるデータなどを活用する発信方法を提案しました。

 

また、佐藤尚之さん(株式会社ツナグ代表取締役)は、早急にクリエイティブを作成しようとするムードになったところ「みなさん、伝えることをなめていると思う」とピシャリ。年内にクリエイティブを作成するのは無理があるとし、誰にどう伝えるのかというコンセプトづくりから丁寧に進めていくべきだと主張しました。

 

 

今後の動き

この日の議論を受け、提案内容は修正され、12月17日に開催される次回の懇談会で、取りまとめとして発表される見通しです。

 

ただし、厚労省は、構成員の意見を踏まえ、取りまとめの段階では何を伝えるべきかを整理するにとどめ、どう伝えるかは、今後、専門家等と相談しながら広報の仕方を検討するとしています。

 

そのため、何らかの形で「上手な医療のかかり方」が周知されるのは、少し先になるとみられます。

 

【坂本朝子(看護roo!編集部)】

 

 

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(参考)

第1回上手な医療のかかり方を広めるための懇談会(厚生労働省)

第2回上手な医療のかかり方を広めるための懇談会(厚生労働省)

第3回上手な医療のかかり方を広めるための懇談会(厚生労働省)

第4回上手な医療のかかり方を広めるための懇談会(厚生労働省)

医師の働き方改革に関する検討会(厚生労働省)

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