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2018年12月03日

誤嚥させない、肺炎にしない、苦しませない|実は多い口腔ケア中の誤嚥にも注意

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

 

吉松 由貴(飯塚病院 呼吸器内科)

 

これまで誤嚥性肺炎の診断と治療についてお話ししてきましたが、実は予防の方が奥深いのです。単に肺炎を予防すればよいわけではありません。

 

誤嚥性肺炎=悪、誤嚥性肺炎がない状態=最善とは限らず、価値観は十人十色です。誤嚥性肺炎を繰り返しても「あのうどんは最高においしかった」と満足そうな方もおられれば、一度も再発しなくても「糊みたいな食事ばかり」と不愉快な方もいるのです。

 

誤嚥性肺炎の予防は、3段階で考えるようにしています。誤嚥をしないように、誤嚥をしても肺炎にならないように、そして肺炎になっても苦しまないように、です。

 

※この記事は「日経メディカル」で掲載された連載の一本です。

 

生活に組み入れた嚥下訓練を

予防と言われて想像しやすいのが、「誤嚥をしないように」でしょう。誤嚥をしやすい食物は、ご本人やご家族が一番よくご存じですが、なかなか医療者に相談できずにいます。こちらから具体的に聞いてみれば、薬が引っかかる、ミカンを食べたら咳が止まらなかった、などと教えてくれるでしょう。

 

食事の工夫に関しては(食いしん坊の筆者が語り始めると止まりませんので)今回は省略しますが、苦手な食物を全て避ける必要はなく、誤嚥をしやすい食物なのだと意識して食べるだけでも、誤嚥は減らせます。これは「think swallow」という、れっきとした嚥下法です。

 

嚥下訓練は、生活に取り入れるのが有用です。朝から元気よく挨拶をして、はきはき大声で話してもらい、喉や声帯を動かします(見当識も保てて一石二鳥ですね)。

 

 

カラオケや、食前の合唱もおすすめです。日中は座位や、せめてギャッジアップで過ごすだけでも頚部筋の訓練になります。食前の「嚥下おでこ体操」を日課にするのもいいですね(私が国内留学でお世話になった、浜松市リハビリテーション病院のウェブサイトを参考にしてみてください)。

 

 

食前に口腔内をきれいにするひと手間を

「誤嚥をしても肺炎にならないように」というのは、違和感があるかもしれません。誤嚥というのは声帯を越えて気管に入ることですが、例えば気管支鏡検査で必ずしも肺炎にならないように、入ったものがきれいで、刺激が少なく、上手に出せれば、肺炎にはなりません。

 

原因菌のほとんどは口腔内の常在菌です。歯磨きをきちんとしても、1時間もすれば菌量は倍になると言われます。

 

ですから、食前に口腔内を徹底的にきれいにする一手間こそが誤嚥性肺炎予防への近道なのです。特に舌の奥や、前歯の裏は見落としがちです。歯磨きを自分でしていても、汚れがたくさん残っています。ライトを活用し、観察しましょう。

 

また、実は多いのが口腔ケア中の誤嚥です。口腔ケアに必死になるあまり「気道確保」の姿勢にさせていませんか? 誤嚥してください、と言っているようなものです(せっかくの予防策のはずなのに)。

 

口腔ケアの姿勢も食事と同じです。頭部挙上、頚部前屈(または側臥位)とし、使用する水は最小限に、すぐに吸引するようにしましょう。ガラガラうがいが危なそうであれば、ブクブクうがいにします。

 

誤嚥をしても喀出ができれば、肺炎のリスクは減らせます。喀出しやすい姿勢(座位)を保ち、呼吸リハビリテーションや排痰練習を行い、栄養状態を改善し筋力を保持します。肺炎球菌も重要な原因菌ですので、ワクチン接種を促しましょう。

 

欧米ではインフルエンザワクチンと両方を接種することで高齢者肺炎が激減したことが報告されています(日本人での両ワクチン同時接種の安全性と有効性は、当科でも懇意にさせていただいている亀田総合病院呼吸器内科の中島啓部長が報告されています。関連記事〈※記事全文をご覧いただくためには「日経メディカル」の会員としてのログインが必要です〉)。

 

 

かかりつけ医による定期的な診察を

「肺炎になっても、苦しくないように」。肺炎の症状緩和はもちろんのこと、誤嚥性肺炎を繰り返している方では、咳や痰の性状、息遣い、体温、活気などをご家族に観察してもらい、通院治療ができる段階で見付けられるようかかりつけ医で定期的な診察をしてもらうことで、つらい入院が減らせます。

 

肺炎になってつらいのは本人だけではありません。ご家族のつらさや衝撃も防げるよう、肺炎は「想定外」ではなくいつでも起こりうることを共有しておくことも大切です。

 

今年から院内で定期開催している「えんげ塾」の内容を、この3回でまとめてみました。こうした取組みも肺炎予防の1つかな、と思っています。みなさんの周りではどのような予防策をされているでしょうか。お知恵を聞かせてください。

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

Aナーシングは、医学メディアとして40年の歴史を持つ「日経メディカル」がプロデュースする看護師向け情報サイト。会員登録(無料)すると、臨床からキャリアまで、多くのニュースやコラムをご覧いただけます。Aナーシングサイトはこちら

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◆がん看護の問題◆Cさんは40歳代の営業職の仕事を行っている男性です。非小細胞肺がんと診断され、「今後も仕事を継続しながら治療を行いたい」と話しています。
Cさんの治療は、抗がん剤であるビノレルビン酒石酸塩+シスプラチン療法を行うことになりました。
今後、骨髄抑制の副作用が予測されるCさんに対してどのような説明が必要でしょうか?

  • 1.抗がん剤投与から1週間は特に貧血に注意して生活をしてもらう。
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