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2018年11月14日

夜勤明けも勤務、1週間休みなし…|医師の激務、医療者は驚かないけど、一般には知られていない?

ある1週間の勤務状況/Y医師の場合:日曜は日中から夜間まで、月曜は外勤で日中のみ、火曜は日中から夜間まで、水曜は明け、木曜は休みだが夜間に移動、金曜は日中から夜間までで外勤、土曜は日中から夜間までで研修/A医師の場合:日曜は夜間のみで外勤、月曜は日中のみ、火曜は日中から夜間までで外勤、水曜は日中のみ、木曜は日中、金曜は日中のみで外勤、土曜な日中から夜間まで/出典:第2回「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」資料4赤星参考人発表資料を基に看護roo!編集部で作成 

 

日中から夜間まで連続で働く日が1週間のうちに数回。

休日が1週間に一度もない。

 

実際の勤務表から抜粋した医師らの勤務状況ですが、これを見て看護師のあなたはどう思いますか?

 

「別に驚かない。よくある話じゃないの?」

「前からこんな感じだったと思うけど…」

 

そんなふうに思った方もいるのではないでしょうか。

 

しかし、医師の過酷な働き方は、医療者以外にはまだあまり知られていません。

 

厚生労働省の「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」では、医師が自己犠牲的に働くのが当たり前の現状を変えるため、一般の人にもこうした事実を知ってもらう必要性やその伝え方について話し合われています。

 

また、看護師にも影響が大きい、医師の負担を減らす「タスク・シフティング」「チーム医療」はどうあるべきかについても意見が交わされていますので、そのポイントを紹介します。

 

 

「救急医も一人の人間である」 

赤星昂己さん(東京女子医科大学東医療センター救命救急センター・医師)

「常に本気で働いていますが、わたしたちも人間。長時間働き続けると疲れます」と赤星さん

 

2018年10月22日に開かれた懇談会第2回の会合で、参考人として招かれた赤星昂己さん(東京女子医科大学東医療センター救命救急センター・医師)は、冒頭に示した実際の勤務表などを見せながら、若手救急医の勤務環境について紹介しました。

 

赤星さんが勤務する救命救急センターは、年間1800件以上の重症患者さんが搬送されてくる病院で、集中治療室20床、一般病棟10床の管理も行っています。それを医師8人で回していますが、そのほか複数の関連病院での勤務もあるといいます。

 

そして、

 

  • 睡眠時間が全く取れないこともある
  • 朝から一度も食事を取れないこともある
  • その結果、無意識に集中力が低下していることもあるかもしれない
  • それでも、患者さんが来院されれば、全力で診ている

 

と、救急医の勤務状況を説明しました。

 

しかし、大変な状況ではあるとしながらも、「これでも、まだいい方」と赤星さんは言います。地方の救命救急センターでは、医師1人や2人で踏ん張っているところも多くあると話しました。

 

そして、現在、厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」で話し合われている医師の労働時間の上限規制について、「必要ではあるけれど、現実的に現状のままでは不可能」と話し、患者や家族の医療への考え方の転換や、医師の働き方への理解が必要不可欠と主張しました。

 

そのため、下記のような時間外受診のデメリットの周知、緊急かどうかを相談する仕組み、受診を迷った際に適切な医療機関を教えてくれるアプリの開発などを提案しました。

 

時間外受診は医師も受診者もお互いに損/お金が余分にかかる、検査が完璧にできない、お薬も数日分しか処方できない、いずれにしろ後日日中に受診をお願いする、緊急疾患でなければわからないこともある、経過を追うことができない、疲弊した医師が対応する可能性がある

 出典:第2回「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」資料4赤星参考人発表資料を基に看護roo!編集部で作成

 

 

「日本の医療は危機に瀕している」

デーモン閣下さん(アーティスト)

「赤星先生の話を聞けば、『これは大変だ』とみんな思うはず」とデーモン閣下さん

 

赤星さんの話を聞き、懇談会の構成員であるデーモン閣下さん(アーティスト)は、「こうした状態が全国的なのだとすれば、相当、日本の医療は危機に瀕している」と驚き、積極的な情報発信をしていく必要があると訴えました。

 

構成員の佐藤尚之さん(株式会社ツナグ代表取締役)も、赤星先生の話に「心が動かされた」と言い、赤星さんのような医師の生の声を100人くらい撮影し、動画で拡散してはどうかと提案しました。

 

ほかの構成員らも、赤星先生の話に心を打たれたと口々に言いました。

 

 

「医療者は驚かない」「取材先の確保が難しい」

鈴木美穂さん(NPO法人マギーズ東京共同代表理事)

「過重労働の現場を取材したくても、なかなかできない」と鈴木美穂さん


そうした中、構成員の鈴木美穂さん(NPO法人マギーズ東京共同代表理事)は、過重労働や、うつで自殺を考えている医師の取材をさせてもらえる病院を探すのが難しいと指摘。モザイクをかけるなど匿名の発信では共感を呼ばないとし、どのように取材協力先を探すかが課題としました。

 

また、構成員の豊田郁子さん(NPO法人架け橋理事長)は、病院の事務員として30年以上働いてきた医療関係者の一人として次のように話しました。

 

「危機的な状況を伝えるのは大賛成ですが、医療者はみんな知っていて、恐ろしいことに驚くような新しい情報ではありません。感覚が麻痺している医療者だけで発信するのは危険。みんな耐えてきてしまっているので、『前からじゃない?』となりかねません。状況説明が必要ではないかと思います」

 

こうした意見を受け、懇談会の座長の渋谷健司さん(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)は、「現状を話してもらうだけでも心を打つので、やり方はいろいろあると思います」と話し、危機感を煽るのではなく、事実を冷静に伝える方法を探していく必要があるとしました。

 

 

「タスク・シフティング」は進んでる?進んでない?

裴英洙さん(ハイズ株式会社)

「看護師にお願いできる業務がたくさんある」と裴英洙さん

 

第2回懇談会では、構成員の医師で経営コンサルタントの裴英洙さん(ハイズ株式会社)が、医師の負担軽減で重要になってくる「チーム医療」について発表しました。

 

裴さんは、

 

  • 医療は医師だけが提供するわけではない
  • 「何でも医師」から「これは医師」へ
  • 意外に多い“裏”仕事がある

 

と3つのポイントを挙げ、医師が本来業務へ専念できるようにする必要があると説明しました。

 

具体的には、多職種連携やタスク・シフティングの推進特定行為研修を修了した看護師や医師事務作業補助者の活用複数主治医制の導入などで、そのことを患者や家族にも理解してもらうことが大切だとしました。

 

裴さんの説明を受け、構成員の記者である岩永直子さん(BuzzFeed Japan News)は、チーム医療推進会議を取材した際に感じたことを、次のように話しました。

 

「タスク・シフティングやタスク・シェアリングを広げるために特定看護師をつくろうとしましたが、国民の理解がないというよりは、医師会・薬剤師会の反対が強く、国家資格という話が途中で認証制度に変わり、最終的には研修制度に変わり、だんだん骨抜きにされてしまったという経緯があります。まずは業界内での意見の整理が必要と思います」

 

それに対し、構成員の城守国斗さん(日本医師会常任理事)は、「少し誤解があります。特定行為研修制度も含め、ほかの制度もそうですが、メディカルスタッフへ業務を移行しても、患者さんにとって有効で、安全で、その責任の所在が明確かを検証しながら行っており、少しずつこの流れは進んでいると思います」と反論しました。

 

また、城守さんは、看護師も決して充足しているわけではないため、タスクシフトされる側の仕事量も検討する必要があると主張しました。

 

二人のやり取りを聞いて、「タスク・シフティングやタスク・シェアリングはどんどん進めていくべきだと思っていたが、ちょっと温度差があると感じました」とデーモン閣下さん。どの程度、業務の移管や共同化を進めるべきかの考えをまとめる必要があるのではないかと意見しました。

 

 

では、どのように周知するのがベストか?

佐藤尚之さん(株式会社ツナグ代表取締役)

「SNSは万能ではない」と佐藤尚之さん

 

2018年11月12日に開かれた懇談会第3回の会合では、構成員の佐藤尚之さん(株式会社ツナグ代表取締役)が、第2回での議論を受け、医療の現状を広く知ってもらうための方法を提案しました。

 

前提として、

 

  • 正しい情報を集約したサイトの作成は必須だが、みんなが見るわけではない
  • SNSをやっている人は少数である
  • 動画やテキストでよいコンテンツをつくっても紛れてしまう
  • 生活者が一番信頼する情報源は「家族や友人」
  • 伝えたい相手が誰かを絞り、それに応じて伝わる経路を考える

 

こうしたことを意識して考えていく必要があるのではないかと話しました。

 

その上で、サイトだけでなく、病院や街頭に掲示するデザイン性の高いポスターインパクトのあるCMやネット動画ママ友ネットワークの活用など、さまざまな案を紹介しました。

 

 

年内に「医師の働き方改革に関する検討会」へ提案

今後、懇談会では、年内に意見を取りまとめ、「医師の働き方改革に関する検討会」に提案する予定です。

 

どのような提案がなされ、具体的に何が実現の方向に向かうのかが注目されます。

 

【坂本朝子(看護roo!編集部)】

 

 

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タスク・シフティングで看護師に移管する業務とは?

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(参考)

第1回上手な医療のかかり方を広めるための懇談会(厚生労働省)

第2回上手な医療のかかり方を広めるための懇談会(厚生労働省)

第3回上手な医療のかかり方を広めるための懇談会(厚生労働省)

医師の働き方改革に関する検討会(厚生労働省)

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コメント一覧(2)

2ぽい2018年11月15日 12時41分

看護師も手一杯。
これ以上仕事量を増やさないで欲しい。
増えるとなると、看護師不足は改善されません。

1みみ2018年11月14日 14時22分

看護師にこれ以上まわさないで。リハや検査はやる部門が迎えに来るべきと思う。なせすべて病棟の人員で搬送しないといかんのでしょうか

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